9歳 vs 7歳(25歳)。2
ブックマーク有難うございます!とっても嬉しいです!
※シルヴィアの一人称ですが、基本わたし(私)、人と話す時はわたくし(私)です。
スペシャルメニューを堪能し、お父様を見送った私は、早速準備に取りかかる。
正式な通達は、まだ先だろうから、
「やっぱりなしで!」って今のうちに言ってもらえれば万々歳よね。
嫌われ過ぎたり、無能だ。と思われると公爵家に迷惑がかかるし……
程よく、「コイツはないな」と思わせつつ
魅力的な相手を用意すればベスト。
位でいえば、メディス公爵家が妥当。
お母様について行ったお茶会で一度お見かけしたけど、、、気が強そうな子って印象だった。
うーん、彼女が1番まるくおさまる気がするんだけどなぁ。
ただ適性に問題があれば、ヴェルトハイム家や王家にも火の粉が降りかかる危険がある。
時間があればお会いする事が出来たのにー。
仕方ない。
大変かもしれないけど、アリア姉様を推そう。
公爵・侯爵を抑えてだから厳しいけど、
後盾にヴェルトハイムが付けば、無碍には出来まい。
エリオットの1コ上で10歳。
器量良し、性格良し。淑女としての勉強もしっかりされているはずだから資質として問題はないわ。
足りないものはサポート出来るし、ヴェルトハイムにとっても、強い結び付きのある伯爵家はメリットが大きい。
この路線でいきましょう。
アリア姉様メインに、滑り止めでメディス公爵家のエリザベス様よ。
嫌われず、無能とも思われずって難しいわね。
関わりたくない、ぐらいがちょうど良い…かな。
あら?それってもはや嫌われてる?
ゔぅ〜〜〜っん゛、、ハッ!
絡みにくい子!それが良いわ!
前世の言葉を濫用して、困らせるのよ!
エリオットの公式設定には「幼い頃より、神童と謳われ」って書いてあったもの。
知らない単語ばかり並べられたら、プライドが傷付くはず。
それに家に帰って調べても出てこないから、
「あの令嬢は頭がイカれてる」と認識する。
調べる事まで見越した、2段階作戦。
大人相手なら上手くいかないかもしれないけど、
子供には十分。
変人シルヴィアの完成よ!
「マリエラ〜っ、今日は自分でドレス選んで良い?」
「それは構いませんが……(きっと殿下の為に目一杯お粧ししようとされてるのねっ。お任せ下さい、お嬢様!マリエラが王国一の令嬢に仕上げてみせますわ‼︎」
なんか鼻息荒いけど、大丈夫?
この部屋暑い?
「えっとね、なるべくボリュームのない
シンプルなデザインが良いの。
いつも別荘で過ごす時に来ているようなやつ」
シンプルといえど、ドレスはドレス。
日本円にしたらいくらするんだろう。こわい。
「ええっ?シンプルなデザインも似合われますが、
少し地味ではありませんか?」
「良いの、何着か持って来てもらえる?」
明らかに不満そうな顔で、衣装部屋に行くマリエラ。
ごめんね、これも未来の為なのよっ。
さて、希望通りシンプルなドレスを持って来てくれたけど、どれにしようかしら。
どれも品があって綺麗。
大学の謝恩会で着たドレスワンピースより、断然華がある。
有難いけど、オカネモチ、オソロシイ。
悩んだ結果、裾にキラキラしたビーズ?がポイントのエンパイアラインドレス(*ⅰ)に決めた。
シャンパンゴールドだから、品があって素敵。
髪は三つ編みハーフアップにして、レースのリボンで結んでもらった。
「この三つ編み?ですか。初めてやりましたけど、可愛らしいですね。お嬢様の雰囲気にピッタリです!」
「ありがとう。マリエラも1回見ただけで出来るなんて凄いわ」
―そう、見本で見せた私より、1回見ただけのマリエラの方が100倍も綺麗に仕上げてくれたのだ。
解せないわ。
「おもてなしなんだけど、警備的に問題がなければ、お庭で小さなお茶会しても良いかしら?」
「んー、奥様とスチュワートさんに聞いてみなければ何とも言えませんね」
・・・・ですよね。
――――コンコン
「スチュワート、いる?」
「居りますよ。いかがなさいましたか?」
あ、お母様にはOKもらいました。
「殿下のおもてなしをお庭でしたいの。
ガゼボ(*ⅱ)があるでしょ?そこで……ダメかしら」
開放感あるし、会話につまってもイケる気がする。
何より絶対絵になるわ!
バラ庭園はイングリッシュガーデンみたいな感じだったけど、実はその奥に小規模な風景式庭園があるの。そこに建つ ロココ調のガゼボがとぉっても素敵!
ちょお美少年の王子様がソコで優雅に寛いで、
お茶を飲むのよ?
ナニソレ。そんなスチル、ゲームにはなかった。
見たいじゃない?
絶対、天使の空間じゃない。
関わりたくはないけど、楽しみたいじゃない。
見て楽しむのはタダよ。
誰も犠牲にならない。
もしかしたら、本人達は私という人間に消費されるかもしれないけど、私にはプラスしかないからオールOK。
素晴らしいわ。拍手っ。
「ふむ、良いかもしれませんね。
ただ、あちら側から許可が下りなければ出来ませんので、庭と室内、両方で準備を進めましょう。
昨日は数分のお散歩でしたが、
庭でお茶会となると、ある程度の時間、外で飲食する事になりますからね。」
おぉーっ
さすがスチュワート。
頼りになる。
「ありがとう!お願いするわ。
お茶菓子は、今朝のパンケーキの小さめサイズでも良い?」
「ははは、気に入られたのですな?
勿論ですよ、料理長も喜ぶでしょう。」
うっ、生暖かい視線が恥ずかしい。
「………っトマスに頼んでくるわっ」
「お気を付けてー」と笑われながら言われた。
なんだか子供みたい。いや、子供なんだけどね。うん。
トマスには普通の丸い一口サイズのパンケーキを3段に重ねて、上からソースが流れるようにお願いした。
あとトッピングにベリーフルーツを多めに頼んだ。
軽く「いいよー」って言われたわ。
神。
テーブルブーケは自分で作ったのよ?
ピンク系のバラを中心に、ダリア、ホワイトレースフラワーを添えてみた。
メイドからの評判は良いわ。
あとは何かしら、うーん………
「お嬢様っ。お城から先行で遣いの者が参りました。もう、間もなくでお着きになるそうです」
え、もう?
準備に集中しすぎて、お昼食べ損ねたんですけど。
「まぁ、大変!
最終確認急いで!お母様の準備は終わってるの?」
「見てきますー‼︎」
すごいわ。あんな重そうなメイド服で、階段駆け上がれるなんて。
メイドってすごい。
パチンっ。自分のほっぺを叩いて気合注入。
しっかりするのよ、シルヴィア!
「やあ、シルヴィア。具合はどうだい?
もう起き上がって良いのか?」
というわけで、王子いらっしゃいました。
今日もお顔が眩しいですね。
その後ろに見える大量の箱は何ですか?
「はい、殿下。昨日はご迷惑とご心配をおかけして申し訳ありません。
ミルラ様も、倒れた私を運んで下さったそうで…。
誠にありがとうございました」
お姫様抱っこで運んで下さったそうですよ。ミルラさんが。本当、申し訳ない。
「そんなっ、気にしないで。
大丈夫そうで安心したよ。
ミルラは力持ちだからへっちゃらさ」
「シルヴィア嬢、お気遣い頂き恐縮です。
ええ、殿下。羽のように軽うございました」
やだ、ミルラさんイケメン。
「―だ、そうだよ。
さて、
お見舞いの品を持って来たんだけど、シルヴィアの好みが分からなくて…たくさん用意してしまった」
まさか全部お見舞い品なの?嘘でしょっ⁈
「殿…下、お気持ちは大変嬉しいのですが、
こんなに頂けませんわ。
ご迷惑をおかけしたのは私の方ですし」
限度があると思うの。
「マルニーにも多過ぎるって言われたんだ。
でも、ぜんぶ君に似合うと思ったから選べなくて…。
気に入らないのは使用人達にあげて構わないし、
持って帰れと言うなら持って帰る」
「殿下……」
罪・悪・感
背景に雨の日に捨てられた仔犬が見える。
ていうか聞いた?
「君に似合うと思ったから選べなくて…。」って。
コレが攻略キャラ人気No.1のポテンシャルだというの?
まだ9歳よね?
実は彼も転生者で中身25歳だったりする?
驚かないわ、正直に言いなさい。
「だけど、もしシルヴィアが良ければ
ぜんぶもらって欲しいな――。ダメ、、かな…?」
グハァッッッ――――⁉︎⁉︎⁉︎
あざとい、超絶あざといっ。
ごちそうさまデス。ありがとうございます。
「ダメ、、かな…?」のため感まじパーフェクト。
おかわりお願いします。
*ⅰ;エンパイアライン
→胸下から切り替えがあり、ドレスが裾にかけて直線的に広がったシルエットのこと。
19世紀初頭フランスで流行。コルセットやパニエが要らないラクチンデザイン。ハイウエスト。
*ⅱ;ガゼボ
→日本でいう東屋。
色々タイプがあるが、今回は総大理石のロココ調様式をイメージ。