転生者仲間と正体。2
「ごめんなさい、お父様 (しゅん)」
「かわっ! いや、いいんだよ。どうしたんだい、私の可愛いシルヴィー」
「お願いがあって――――――…」
あっという間にOKもらえました。
子爵ともセッティングしてくれるらしい。
すごく有難いけど、それでいいのか。我が父よ。
教会の方はどうするかな。
正攻法で依頼して連れてく?
「辛気臭いな、娘。最近やけに考え事が多いようじゃの。話してみよ」
どうするか考えていると、ひょっこりオーベロン様が現れた。
私のプライバシーって、、、。
「オーベロン様……私、お聞きしたい事がいっぱいありましたの。
さっ、お座りになって」
「む。用事を思い出した。話はまた聞こう」
「まあ、どこへ行かれますの」
乙女の部屋に、音もなく入って来るのが悪いのよ。
知りたい事は二つ。
治療法と、ある植物の安定した栽培方法。
「――人間とは難儀よの。
しかし、お主に生命維持の光魔法に代わる力はない。
要は、その令嬢が起きれば良いのだろう。
それならお主でも出来るぞ」
「本当ですか⁉︎ 」
「うむ、薬を煎じてやればよい。
栽培に関しては、問題なかろう。
現地の精霊に頼めば、喜んで育てるはずだ」
私って、いつから薬作れる様になったの。
医学の知識ゼロですけど。民間療法さえかじってませんけど。
あと、精霊が育てるって言うのは、ちょっと。
それって売って大丈夫なの?
領民の雇用とかもあるだろうし。
「薬の材料は何ですの。
出来れば早めに作りたいのですが」
「庭にあるだろ、青いのが」
「青? まさかブルーローズですか? 」
「あれは薬としての価値が高いからの。
薬屋がこぞって欲しがっておったな」
初耳よ。
観賞用の価値としてしか知らないわ。
そんな効能があっただなんて。
これが知れたら大変だわ。
貴族がこぞって群がって来そう、ひぇー。
「花弁とヒール草に魔力を込めた水を入れて濾せばしまいだ」
まあっ簡単。3分クッキングね。
で。ヒール草って、どこで買えるの。
「今から用意して参りますわ」
「待て、何処へ行く。庭はあっちだ」
とりあえずスチュワートつかまえて、ヒール草の入手を。と思ったんだけど。
違うの?
「小娘。まさかヒール草を知らんのか」
「……えへ」
「自分の庭で育てているものくらい、覚えんか。
そこらに生えてるであろう。それだ」
オーベロンさんや、それ雑草だよ。
生い茂ってるやつでしょ。抜いても抜いても生えてきて困ってるのよ?
「何だ、その視線は」
「え、本気で仰ってるんですか」
「薬師を敵に回したぞ、お主」
なんか、すみません。
材料があっという間に揃ったから、すぐ作業に取りかかれたわけだけど、力加減を間違って色々作ってしまった。
この薬は、所謂ポーションと呼ばれる類で、オーベロン様の鑑定曰く――…
《緑の一族》特級ポーション×5
《緑の一族》上級ポーション×3
《緑の一族》中級ポーション×7
《緑の一族》下級ポーション×1
前に気になる単語がついてるけど、今は無視しよう。
なかなか注ぎ込む魔力の調整が難しくて、必要な上級ポーションを作るのに、日が暮れてしまった。
どんな味がするのかしら。見た目は透き通った緑茶だけど……。
健康な人間が飲んでも問題ないのかな。
貴族に飲ませようとしてるんだし、毒味って必要よね。
下級いってみるか、――リアムが。
「リーアムっ! ちょっとコレ飲んでみて。
あと許可 取れたから」
いかにもな瓶に入れると不審がられるから、ティーカップに並々注いでおいたわ。
「新しいハーブティーですか?(親娘揃って馬鹿だな)」
「うん」
「…いただきます」
「(飲んだっ)ど、どう? 」
「味がないですね。美味しい水です。
何入れたんですか」
まさかの無味無臭。
変な味がしないだけ儲けもんと思いましょう。
予想では、すごく不味いかビックリするほど美味しいかの、二者択一だと思ったのに。残念。
「薔薇と(薬)草よ」
「蒸留水みたいなものですか?
色があるわりに、本当にただの水としか」
「何か、変わった感じはする?
体力回復したみないな」
「……お嬢様、何飲ませたんですか」
「ハーブティー」
「嘘つけ、このお転婆娘! 」
おかしいわね、やっぱり健康体には意味ないのかしら。
下級は1個しか作れなかったから、逆に貴重なのに。
「まあいいじゃない。悪いものではないから」
「おい」
――――――――――――
――――――
―――
2日後。
「おはよう、シルヴィー。
この間の件だが、明日はどうかな。
グラビエル子爵が、快く招待してくれたんだ」
「まあ! 本当ですのっ、お父様ステキ! 」
「ハッハッハ! シルヴィーの可愛いお願いだからね。
お父様、早馬で城に送っちゃった」
………? 城? 何故。
「旦那様は、エリオット殿下宛てにお手紙を書かれたのですよ。
お嬢様が、新事業を始めようとしていますよ。と」
「それだけ? 」
「ええ、殿下にはそれだけで十分でしょう。
子爵を通さず、国から直接土地を貸してもいいぞと仰るくらいですから」
スチュワート、貴方それシャレにならないわよ。
子爵どころか、貴族派に一気に睨まれるじゃない。
というか、約束取り付けてくれたのエリオットなのね。
娘の為に王家使うの良くないと思うわ、お父様。
「お気持ちだけ有難く。
それではグラビエル卿が可哀想ですもの」
「私のシルヴィーは、やはり天使の生まれ変わりに違いない! 」
どうしよう。お父様が暴走しないか不安。
一応、頭の隅に入れとこう。
そうね。少し早めに学園へ行って、ランドルフに明日お家にお邪魔出来るか聞かなきゃ。
「シル、おはよう」
「ロイド様、おはようございます。
時に、こういった機械は作れまして? 」
意外。あのロイドがこんなに朝早く来ているなんて。
変な物でも食べたのかしら…
不思議と恐怖を感じるわっ。
「なーに、これ」
「こちらはですね――――――」
「ふーん、面白そうだからイイよー。じゃ、1週間後に」と、快諾してくれたのは、良かったんだけど。
帰っちゃった。嘘でしょ⁉︎ 授業は?
もしかして1週間、休む気?
私のせいなの? コレって私のせいになるのかなぁー⁈
「あら、シルヴィア様、ごきげんよう。
お早いですわね」
「エリザベス様、ごきげんよう」
「ところで、今ユースルンが出て行かれましたけど、どちらへ」
ロイド、エリザベスに呼び捨てにされてるよ。
嫌われたな、本当に。
「えっと、創作、に? 」
「はい? 」
「私っ! ランドルフ様に用がありますので、失礼致しますわ。授業まで時間もありますしっ、おほほ」
せっかく、エリザベスが私を気に入ってくれているかもしれないのに、ここで好感度を落とすわけにはいかないわ。
機械製作を依頼して、授業サボらせたなんてエリザベスに嫌われちゃう。
そこまで発明バカだとは思わなかったのよ!
そのまま逃げる様に生徒会室へ行き、「明日学校終わり、遊びに行くから。エリオットも強制で」的な約束を無理矢理取り付け、なるべくエリザベスを避けながら家に戻りました。はい。
てなわけで、決戦日です。
授業? 今からのシュミレーションしてたら、放課後になってたわ。
「では、ランドルフ様、エリオット様、参りましょう。
あ、ちゃんとジーモ様にも伝えて下さりました? 」
「ああ、兄にはシルヴィア嬢が会いたがってるから、家にいるように言っておいた」
「ランドルフ。別にシルヴィアは用があるだけで、会いたがっているわけじゃないよ。
誤解を生むような言い回しは気をつけるように」
「…ああ、そうだな。すまない、シルヴィア嬢」
「いいえ、事実ですからお気になさらず。
ねぇ、リアム? 」
「はい(帰りたい。何でこのメンツに囲まれて使用人まで馬車に乗ってるんだろう。
くそ、せめて爺ちゃんも一緒だったら。ライアン様とミルラ様はいるのに、何故爺ちゃんがいないんだっ!)」
お、着いたわね。
ひょー! さすがローレヌ公爵邸。
王都の立派な貴族街の中でも、一際目立つわね。
大きさもさることながら、作りが素晴らしいわ。
お金持ちってスゴイ!
「「「おかえりなさいませ、坊ちゃま。
殿下、ヴェルトハイム嬢、お待ちしておりました」」」
お出迎えのメイドの数が、我が家の倍はいるわ。
同じ、公爵でもこうも違うのね。迫力!
「殿下、ようこそお越し下さいました。
シルヴィア嬢、直接お会いするのは初めてだね。
君のお兄さんから話はよく聞いているよ」
「ええ。初めまして、ジーモ様。お会い出来て嬉しいですわ」
――さあ、始めましょうか。




