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ジーモとランドルフ。2



「母さん!

母さん、プレゼントを1つ渡し忘れ……て、え?

かあ、さ…ん?」



誰も居ないのか?



「ランドルフ様、戻っていらっしゃったのですね」


「ミレー、母さんは出かけたのか」



小さかったメイド(ミレー)も大きくなり、立派な女性へ成長した。



「本邸にいらっしゃいます」


「本邸? 戻れるようになったのか!」


「いいえ、療養中の為でございます」



療養?

たしかに彼女は日に日に弱ってはいたが、病気だったのか?

そんな事一言も聞いていない。



「どういう事だ。何故俺に教えなかった」


「ランドルフ様――いえ公(・)子(・)。

これはグラビエル家の問題であって、ローレヌ公爵家とは何ら関わりがございません。お引き取りを」


「何を言っているんだ、俺は母さんの、

テレサ・フォン・グラビエルの子供だぞ!」



どうなっている、

何が起こっているんだ。



「いいえ、貴方様はガルン・フォン・ローレヌ公爵とサラ公爵夫人のご令息にございます」


「ミレーっ‼︎ 」


「もうっ、もうテレサ様を苦しめないで下さいませ!」



俺が彼女を苦しめている?

そんなはずはない!



「テレサ様はランドルフ様がお帰りになられてすぐ、自殺未遂を図られました」


「――――は? 」


「体裁が悪いと旦那様の指示で本邸で秘密裏に治療を受けられています。

幸い、発見が早かった為、すぐにどうこうという事はないようです。――が、まだ目は覚まされておりません」 


「自殺……体裁、なん、どうして」


「ご自身の存在が、貴方様の邪魔になるとお考えになられたからですよ」


「邪魔っ? 」


「私はテレサ様に救われました。

ですから、テレサ様が目を覚まされて死にたい(無理だ)と仰ったら。

仰ったら、私は止めないでしょう」


「ミレー」


「お引き取りを」


「……今日は、帰る。コレを母さ、テレサ様に渡してくれ」



すまない、シルヴィーちゃん。

俺は何をしていたんだろうか。

何の為に今までっ

何の為に! 俺はっ、俺はっっ!!!!




* * * * * *



―――コンコン



「お嬢様、おはようございます」


「おはよう、リアム」


「珍しい事もあるんですね、お嬢様が自分で支度を終わらせているなんてっ!」



なーに、リアム。

朝から喧嘩売ってるの?

上等よ、表へ出なさい。



「リアム、貴方のお給料だけど」


「あっ、お嬢様、朝食はベイ穀にお味噌汁でございますよ」


「そう、早く行きましょう。冷めちゃうわ」


「かしこまりました(チョロい)」



あ゛ぁ〜、沁みるわぁ。

トマスのお味噌汁は最高ね。

もし彼が異世界転移して日本へ渡っても、暮していけるわ。

ミシュランの料亭で働くでしょうね。ええ。


何はともあれ新作発表会から5日。

サラ夫人は順調に回復しているそうね。


だけどランドルフの顔色は暗いままだわ、何故かしら。

アロマキーホルダーもちゃんと渡してくれたか気になるし、今日 生徒会室に顔出しとくか。





「じゃあ、後でね、リアム」


「はい、本日は午後まで授業が被りませんので、お昼にお迎えに上がります。

くれぐれも変な行動は慎むよう、お願い致します。

あ、あとそれから――」



おーい、リアム君や。

君は私の何なんだ。

あんまりしつこいと エリオット×リアムで妄想するわよ。



「(ぞわっ、何か寒気が)とにかく品位ある行動を」


「はいはい」



早く行きなさい。



「「ごきげんよう、シルヴィア様」」


「ごきげんよう、エリザベス様、アンネ様(2人で仲良く登校だとっ⁈ )」



何故なのアンネ様、

何故私よりエリザベスとなの!



「シルヴィア様は、本当に執事の方と仲が宜しいんですね」



はぅっ!マイエンジェル、今日も朝から笑顔が素敵ですね!



「まあ、そうかしら。普通だと思いますけど」



「「(普通じゃありませんわ)」」



「シルヴィア様、使用人と仲が良いのは別に構いませんが、学校(ここ)は人脈を広げる場所でもありますのよ?(だから私とも交流を!)」



エリザベスの正論が辛い。

どうせ私は友達いないわよ。

まともに会話出来るのは、リアム、マイエンジェル、エリザベス、ロイドだけ。あと生徒会役員。

あ、なんか悲しくなってきた…




「はい、皆さん おはようございます。

早速授業始めますよー」


「「「スカルティ先生、おはようございます」」」



1限目から歴史学かぁ。

面白いから好きだけど、朝一からはちょっとね。

というか、ロイド寝てるわ。堂々と。

めっちゃ見てるよ、先生。



「ロイド様っ、起きて下さい。授業始まってますよ(小声)」


「ぅ…ん、シル、うるさい」



うるさいだと。

私がわざわざ起こしてあげているのに、失礼ね。

だいたい何で彼は私の隣を陣取ってるのよ。

初めて絡まれてからというもの、毎回私の隣に座る。

クラス分けテストで全教科Aクラス。

つまり全ての授業、丸被り!


おかげで、私はより遠巻きにされているのよ?

お願いだから他の席行って。

寝るだけなら1番後ろに座りなさいよ!



「ハー、シルヴィア嬢。ロイド君の事頼みますよ。

私の授業(歴史学)はまだしも、他の授業はキチンと受けさせて下さいね。

他の先生方からクレームが来てしまうので、担任ですし」



いやいやいや、全面的におかしい。

何故、私。



「ぜ、善処いたしますわ」



「「さすがシルヴィア様ね、あのロイド様をお任せ出来るのは彼女しかいないわ!」」

「「ヴェルトハイム嬢は恐ろしいな、あのロイドを手名付けるなんて。彼女さえいれば安心だ」」



まって、誤解が進んでいく。

くっ、こういう学級委員長的な役割はエリザベスの役目でしょ⁈



「(エリザベス!ヘルプ!)」



「(まあっ、シルヴィア様からアイコンタクトが!

お任せ下さい、私が貴方をサポート致しますわ‼︎)」



何か頷いてくれたけど、伝わってない事だけは分かったわ。

思わずロイドの腕をつねってしまったじゃない。



「ぐっ、いっった。

ふぁ、おはよー。シル」


「……おそようございます。間違えた、おはようございます、ロイド様。

授業始まってますわ。早く教科書開いて下さい」


「あー、教科書忘れた。シル見せて? 」



グフっ、あざと可愛い!

机に顔を乗せながら上目遣いですって!

こんな生活力ゼロの人間が、可愛いだなんてっ。

これが攻略対象チートなのっ?

大変良いです。

教科書くらい、いつでも見せて差し上げますわ。



「――こほん。ええ、どうぞ。

一緒に見ましょう。その代わりしっかり授業受けて下さいませ」


「はーい」


「「「(すごい…素直に従ってるっ)」」」



残りの時間、非常につまらなそうではあったけど、

ロイドは真面目にスカルティ先生の話を聞いていた。



「次はマナーの授業ですわね。シルヴィア様、移動しましょう」


「ええ、エリザベス様 アンネ様。

……ロイド様も行きましょう」


「えー、マナーの授業めんどい。

オレ休むから、シルよろしくー」



馬鹿か、キサマは――おっと、口が滑りましたわ。



「何を言ってますの。マナーの授業は貴族として大事な授業ですわ(むしろ1番必要なのはオマエだ!)」


「……ねー、今シル、オレのこと馬鹿にしたぁ? 」


「はぁっ? じゃなくて、どうしましたの?(馬鹿にはしてない…よね? いや、したかな。したかも)」


「じーーーー」


「ゔっ」



―――バンッ



へっ?



「今のは聞き捨てなりませんわ、ロイド・フォン・ユースルン」


「エ、エリザベスっ? さまっ? 」



エリザベスが側にある机に、バンと教材を置いた。

貴方、そんな物音出すような令嬢(子)じゃないでしょう?



「シルヴィア様は黙っていて下さいまし」


「あ、はい。すみません」


「(ドンマイですわ、シルヴィア様っ)」


「なーに、エリザベス・フォン・メディス」



人を呼ぶ時に、敬称なしのフルネームって恐いよね。

緊張しちゃうわ。

私じゃないけど。

あと、移動教室だから早めに行かないと……


ねーったら、睨み合ってないで、まず移動しましょう?

マジで遅れるよ?

マナーの先生厳しいよ? そういうの。



あっ、待って、皆んな。

私達だけ置いて行かないで。

私も連れて行って!



「「「(何かヤバそうだけど、シルヴィア様(嬢)がいるから大丈夫か)」」」



待って‼︎



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