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王都は出会いがいっぱい? 3



「ベイ穀届けに参りましたー!」



「そのまま、裏門へ回って下さい。

厨房の者が向かいますので」



「かしこまりましたー」





「やあ、ご苦労様」



「って、あれ? 何で殿下がお出迎え? え゛?」



かわいそうに。混乱するのも無理ないわ。

私だって、だしとってたらエリオット様が来て

「来たよ。今厨房の裏に回ってるはずだから行ってくるね」なんて急に言われたもんだから、理解するのに時間かかっちゃった。

気さくすぎるのも問題よね。

だって使用人の仕事を王子がしに行ったのよ?

マルニーさんの死んだ顔見た?

彼には、休暇が必要だと思う。



「ビルク、ありがとうっ。

あとベイ穀炊くの手伝って欲し………い゛っ⁉︎ 」



誰その、ビルクの幼いバージョンの子!

瞳は本人より若干優しげだけど、リトルビルク!



「お嬢様。このだし、どうすれば良いですか? 」



「(無視)

その子はだあれ? 」



ビルクの後ろに隠れていたリトルビルクが、ビクッと震えて私を見る。

可愛い!

ウチの子にした、、、げっふん。



「なんだ、シルヴィアお嬢様居たんですか(何でまだ殿下居るの?)

コイツは弟のリアムです。

ほら、挨拶しろっ」



リアムきゅんっていうのねっ

ん、リアム?

待てよ、何か大事な事を見逃しているような。



「リアムです。宜しくお願い致します」



声ちっさ、カワイイ〜〜 

にしても聞いた事ある声だな、どこかで。

さっきからキョロキョロしてるけど、厨房が珍しいのかしら?



「リアム君ね、私はシルヴィア。厨房が気になるなら見ていく?」



「あっ、いや……」



「あー、違うんだ、ですよ。

リアムは執事になるのが夢で、それで探してるんだと……」



執事?

ナニソレ、鴨がネギ背負ってきた状態。

ウチで雇えば良いのよ!

そしたらウチの子になるわっ(錯乱)



「別に敬語使わなくて良いわ。

あ、エリオット様には使ってね?

私が立派な執事を見せてあげる!

ビルクはベイ穀炊いてて。彼借りてくわよー」



慌てるビルクを無視して、リアム君とエリオット様の手をとる。

スチュワートに上手く言って、彼を雇うように協力してもらおう。

幸い、マルニーさんも居るし。

公爵家の家令に、王子付き執事って完璧でしょ!

執事の天辺よ。

なんとしてもウチに引き込むわ、自宅からの通いで良いから(乱心)



「えっ⁉︎ あ、おいっ―――」



「さっ、こっち来て!

エリオット様も行きますわよっ」





「おや、お嬢様。もう出来たのですか? 」



スチュワート、ナイスタイミングよ!



「それはトマスとビルクに任せてきたわ」



「左様でございますか。

お茶をお淹れしましょうか?」



さすがスチュワート、分かってる。

実は心が読めると言われても驚かないわ、私。



「シルヴィア、これはいったい……」



「彼にスチュワートを紹介しようと思いまして。

あ、マルニーさんもお借りして宜しいですか?」



「はぁ〜っ、どうぞ。マルニー、彼女のお願いをきいてやれ」



さすがエリオット、話が早いところもポイント高いぞ。

まずは、自己紹介、執事2人と会話してもらいつつ、

志望動機、希望を聞いていきましょう。

見習いの間は大した額はあげられないけど、公爵家で修行出来るなら、儲けもんよね。

お父様はどう説得しよう。

エリオット様に口添えしてもらう?

もしくは自分で稼いで雇う、か。


カレー屋でも開こうかしら。

―――ダメね。

店舗代、人件費を考えたらすぐに儲けは出ない。

見習いに払う賃金は投資であって、

その場ではマイナスにしかならないもの。


店舗代は最悪必要でも、人件費はかからない事業が望ましい。

となれば、今出来るとしたら化粧品ね。

材料はお庭でとれるし、精霊達に協力してもらえば収穫量だってアップ出来る。

エリオットも強制的に巻き込もう。

ひとまず明日にでも、簡易蒸留器を作りましょう。 

化粧品は口コミが大事だから、その点有利ね。

公爵夫人のお母様に一言宣伝してもらえば、あとは勝手に広まるはずよ。


うん、コレだ。



「スチュワートが淹れるお茶は、とても美味しいのよ? 今用意してくれているから、しっかり見ておくと良いわ」



「あの、どうして?」



「執事になりたいのでしょう?

執事ってね、上を目指せば目指すほど天井がないと思うの。だから最高のお手本を見て勉強するだけでも、良い経験になるでしょう」



「あっありがとうございます‼︎

貴族の方って、やっぱり元が違うんですね。

僕と歳が変わらないように見えるのに、まるで大人みたいだ」



ギクっ。子供って鋭い。

エリオットに慣れすぎて感覚がおかしくなってたわ。



「シルヴィアは特別賢いだけだよ。

貴族がみんな、()()だったら怖いだろ?

君はいくつなんだ?」



()()って何、

喧嘩売ってらっしゃるの? 買うわよ。

貴方ほど子供らしさ皆無の9歳は居ないわ。

さりげなく、リアムきゅんに変な情報与えるのやめて下さる?



「8歳です」



年上だとっ。



「じゃあシルヴィアの1つ上だね。

彼女は7歳、僕が9歳だ。

急に連れて来られた部屋で、こんなに冷静に対応出来ているんだ。 君は十分賢いと思うよ」



否定は出来ないけど、私が非常識だと非難されてるみたいで嫌だ。


あ。スチュワート戻って来たから、頼もうっと。



「彼を執事見習いにしたいの。協力してくれない?」



「ふむ、旦那様に聞かねば判断は出来ませんが、悪くないかもしれません。

お嬢様と歳が近い方が、お付きとして学園にも入りやすいでしょうし」



リアム君を私付きの執事にするって事?

何か引っかかるわ。

私付きの・・・リアム!

7人の騎士(ナイト)では、悪役令嬢(シルヴィア)の執事はリアムという名の男子。

マリエラはゲームに出て来ないじゃない。

そうよ、だからこんなに既視感があったんだわ!

正直、顔は2〜3回しか出て来なかったから気付かなかったーっ。

勿体ないわ、脇役中の脇役まで顔が良いだなんて。

製作陣ムダに頑張ったのね。


別にエリオットとの婚約については、中等部までと解決したんだから、シナリオ通りリアムを執事にしたって問題ないのよね?

大丈夫……よ、ね。うん。



「そう、ね。とりあえずスチュワートに任せる。

お茶の淹れ方を見せてあげて。喜ぶから」



「かしこまりました」



さっそくリアム君に話しかけ、解説しながらすぐ側でお茶を淹れ始めた。

瞳が輝いてるわ。憧れの職業の人に教えてもらえるって幸せだよね。うんうん。

私が聞きたかった事とかは、上手く聞き出してくれるだろうし、する事なくなったわ。

マルニーさんも彼らを見て、ケーキのサーブし始めたし。

……エリオットと私にケーキはないのかい?



「お嬢様ーっ!炊けましたよ」



トマス!すっかり忘れてたけどお米‼︎



「弟は何をしてるんだ?」



トマスとビルクが、炊き立てのご飯とお味噌汁を目の前に置いてくれる。

おっと、よだれが。



「何って、、お勉強………?

ねっ、もし彼がウチで働きたいと言ったら働かせても良い?」



「良いぜ」



早っ、良いのっ⁉︎

本当にもらうわよ。



「マリエラ、お父様って帰って来てる?(コソッ)」



「はい、先程。殿下にご挨拶されるタイミングをどうしたものか悩んでらっしゃいますよ。

スチュワートさんまで、こちらにいらっしゃいますし(チラリ)」



よし、サクッと許可を取ってこよう。



「エリオット様、私お父様のところに行って来ます。先にコレ食べていて下さいませ。

とっっても美味しいはずですから!」



「うん、いってらっしゃい」




――――コンコン



「お父様、お願いがありますの!」



「良いよ」



「え、内容聞かなくても良いんですの?」



「しまった、つい。

で、お願いは何かな? 可愛いシルヴィア」



親バカを拗らせている……心配だわ。



「執事志望の子を雇いたいのです。

リアム8歳ですわ。まずは見習いとして働いてもらおうかと!」



「うーん、シルヴィー。そのリアムはどこの子かな?

安全な子か調べたのか。

まさか拾って来たんじゃないだろうな。戻して来なさい」



「王都の小さい食品屋の次男ですわ(たぶん)

安全性は保証致します!(私の勘が)

今、スチュワートが面接?中です!(違うけど)」



「まあ、良い。今から調べさせる。

スチュワートが良いと言ったら雇っても構わない」



娘よりスチュワート(家令)への信頼が厚い。くっ。



「ありがとうございます!お父様っ。

いずれお給料は、私が出しますわ」



「んー、いつになるのやら。

気持ちだけ受け取っておくよ」



「あら、すぐですわよ?

1ヵ月で見習い執事の賃金2ヵ月分稼いでみせますわ」



「え゛?」




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