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前世は突然に。2



――――――――――――

――――――

―――


「殿下、こちらが我が家のバラていえんですわ。

代々うけついで、庭師と一緒にお世話してますの」



「一緒に?君もするの?」



「ええ。といっても私がするのは水やりくらいですが。お父様とお母様はせんていなどもしますけど」



そう、庭師のトミー爺と一緒に

作業着でお父様達もガーデニングしてるのよね。

私はそれを見て育ったから何も思わなかったけど、

初めてウチに来たメイドが驚いてたわ。

水やりも止めようと必死だったし。



「ヴェルトハイム公もか、驚いたな」



くりっと瞳を丸めた王子が、お庭を見回す。

はぁっ、驚いた表情も美少年ですわ。

ぐっじょぶ!

ん?ぐっじょぶって何だったかしら。



「このバラは魔法のバラですのっ。

つみとっても1ヶ月は枯れずに咲きますわ!」



「……そうか、すごいな!

母様の冗談かと思っていたが、本当だったのか」



瞳を輝かせて、バラを見つめる王子。

なんて絵になるのかしら…

せいべつを間違えて生まれてしまったんじゃなくて?

あと、母様って王妃様ですか?

ねぇ、そうなの?



「よろしければ、少しお持ち帰りになりますか?」



「いいのかっ?」



「…………ぐはっ」



もちろんですとも、美少年。

いっぱい持っておかえり。



「シルヴィア嬢?」



「はっ!――いぇ、も、もちろんですわ!」



「ありがとう!…その、持ち帰るバラは君が選んでくれるだろうか?」



私よりトミー爺が選んだ方が良いと思うけど‥



「分かりましたわ」



「ありがとう、シルヴィア嬢」



フワァッ――――


花が咲いたわ。

もちろんお庭だから、咲いてるけども、咲いたわ。

王子のバックにまんかいのお花が見える。

これが、キラースマイルなのね!

……きらーすまいるって何だったかしら。



「お、おまかせ下さいませっ!」



眩しくてギュッと目を閉じながら

しぼり出すように応えてしまった。

ひゃー、顔が良いのも問題ね。

私の目がもたないわ。



「くすっ、そんなに緊張しないで。

歳だって2歳しかかわらないし――」



王子が9歳で、私が7歳だから確かに2歳差。

しかし子供の2歳は大きい。

というか、そもそも貴方は王族だ。

あのバカでかいお城に住んでるの貴方よね!



「――それに、()()()()()()()()()()()。…ね?」




………………、…………………………、

………………………………………………………………………………………………………………………………………はい?



「殿下、それはっ」



控えていたミルラさんが、

思わず、といった感じに口を出す。

そうよね、こんらんするわよね。

ね?って何だ。ね?って。

何を仰っているのかしら、この王子。

ミルラさん、言っておやりなさい。



「ミルラ、決めたよ、シルヴィア嬢(彼女)に」



「さ、左様でございますかっ……」



まてまてまて、引き下がるな。

お願い、やめて、誰か来て。

お父様ーーーっ!



「えっと…殿下?

どなたとどなたが、ご婚約、、を?」



「君と僕だよ?シルヴィア嬢」



何言ってんだコイツみたいな、目で見ないで下さい。

てか、むしろ何言ってんだアンタ。



「ま、まぁっ!

殿下ったらご冗談を。ねぇ?ミルラさん!」



「…………おめでとうございます。殿下、シルヴィア様」



ちょぉっとミルラさあ゛ん?



「ありがとう、ミルラ」



まずいわ、今このポジションはまずいと

何かが私に告げてるわ!



「の、喉がかわきましたでしょう?

サロンに戻りましょう」



とにかく、お父様にバトンタッチしなきゃ。



「え?いや、先程頂いたから、喉は……」



「違うしゅるい!違うしゅるいのオススメがありますの!」



早く戻るのよ!シルヴィア!



「そ、そうか。

―では()()()()()()()オススメを頂こうかな」



「よしっ、あ、違った。こほん。

ええ、()()()()オススメがございますわ」





「スチュワートっ!殿下に新しいお茶を淹れて差し上げて。

―――お父様、戻りましたわ」



「お帰りなさいませ、殿下。

シルヴィアはちゃんとご案内出来ましたでしょうか」



オジサマ改め、殿下の執事マルニーさんと

和やかにお話ししていたらしい、

お父様達がスッと立ち上がり、あいさつする。

私もその中に居たかったわ。



「ああ。素晴らしい庭だったよ!

それに公自ら 世話をしていると聞いて驚いた」



「ハハッ、代々家の者が育てる決まりなのですよ。

殿下にお褒め頂くとは光栄ですな」



「お父様。私、殿下に差し上げるバラを選んでまいりますわ。

殿下、失礼致します」



やっと解放される!

そそくさとその場を離れようとする私に

待ったがかかった。



「シルヴィア嬢。嬉しいが少し待って欲しい」



「え゛?」



「ヴェルトハイム公、今日はあくまで()()()に会う事が目的だったが、気が変わった」



「―――と、言いますと?」



良くない流れだわ、



「ぁ、あの殿下っ、私ようじを――


「僕は正式にシルヴィア嬢を婚約者にする事にした」


―――おぅ、ジーザス‼︎」



言いやがりましたわっ

誰か嘘だと言って。



「それは誠ですか⁉︎殿下!」



わぁっ、みーんなビックリしてる!

うふふ!


なんて、現実とうひ出来れば良いのだけれど…



「詳しい事は追って連絡があると思う。

それで構わないか?」



「もちろんにございます!


良かったな、シルヴィーっ」



「「「おめでとうございます!殿下、シルヴィア様!」」」



よろこぶ家族と、お祝いをのべる使用人達。


……誰か、説明してーー‼︎



「殿下、そろそろ」



「…そうだね。

ヴェルトハイム公、それでは後日。


シルヴィア嬢、バラを一緒に選んで帰りたいんだが、良いかな?」



マルニーさん、そろそろじゃないです。

お話がまとまってません!

王子もなに照れくさそうに言ってんですか。

大人達が微笑ましそうに見てるから!

私を巻き込まないで下さいませー!



「え‥え。そう致しましょう」




はい、さっきの今で戻ってまいりましたわ。

とりあえず今日はさっさと帰ってもらいましょう。

つかれて頭もまわりませんし。



「こちらのバラなんて、いかがでしょう?

7分咲きですし、香りも良いのですよ」



7〜8分咲きのブースを指して、王子に確認する。



「すごく良い香りだね。

ねぇ、このバラにも()()()()()()()()()()()()()?」



「??えぇ、今朝私が水やりしましたわ」



トミー爺と手分けしてだけど。



「そう、じゃあコレをもらおうかな」



「分かりましたわ、殿下」



うーん、小さなブーケくらいの量で良いかしら。

多過ぎると困ってしまわれるわよね。



「ありがとう。

―ところで、、殿下でなく、名前で呼んではくれないだろうか?」



え゛?名前?

えぇ〜っと、たしか―――ん?

そういえば存じ上げないわ。

いいえ、そんなわけないじゃない。

自国(ベーヴェルン)の王子よ⁉︎



「あ、の。私が殿下のお名前をお呼びするのは…」



―――スッ



「どうかエリオットと呼んで欲しい、()()()()()



手がっ!

王子が私の手をっ!

離してっ、

というかいきなり呼び捨て⁉︎ 

どうしようっ

キャパオーバーよ!


…あれ、きゃぱおーばーってどういう意味だったっけ。



「ぁぅ、ぇりおっと様?」



「ん?」



はぅっ、

そんな優しくほほえまないでー!



「ぇと、エリオット様っ」



「嬉しいよ、シルヴィア。

これからもそう呼んでね?でも様はいらないよ」



まぶしいっ!



「そんなっ、エリオット様を呼び捨てにだなんて、

……エリオット様を、えりおっと様を――?」



エリオット、、

エリオット・ファン・ベーヴェルン?



「どうしたの?大丈夫?」



「それって、」



「シルヴィア?」



「それって、『ベーヴェルン王立学園〜光の聖女と7人の騎士(ナイト)〜』の、

氷の第1王子(腹黒)じゃないっ‼︎

――っ、そして私はシルヴィア、シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム!」



「シ、シルヴィアっ?」



ああ、なんて事!

私っ、私、悪役令嬢のシルヴィアになってるーー⁈




「――あっ、意識がっ」



バタリ――――






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