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公式設定はだいたい正しい。2 と オマケ



やっぱり、この王子苦手よ。

さっさとヒロインと出会ってイチャコラしてちょうだい!

私の欲望が満たされる前に、ストレスでハゲるわっ。



お母様だって気付いてないのに!

え、気付いてないよね?


あっ、ちょっと。

呼んでないからコッチ来ちゃダメよ。

「よんだぁ〜?」と精霊達がワラワラ集まって来る。

呼んでない。しかもエリオットの頭と肩にわんさかww


とりあえず否定も肯定もせずに、会話を繋ごう。

今の段階であまり付加価値が付くのは好ましくない。

婚約に一歩近付いてしまうもの。



「私がですか?

どうしてそう思われるんです?」



「ん〜、視線かな。

決まって、庭に出る時はいつも何かを追っている。

虫や鳥だったら分かるけど、そうではないし。

それにメイド達が言ってたよ?

シルヴィアお嬢様が水やりした後は、必ず植物がキラキラ光って見えるって。

それって、特別な何かがあるって事だよね」



余計な事を〜〜っ!



「きっとヴェルトハイムの人間だからですわ。

お父様やお兄様が水やりすると、花が生き生きしますもの。当然、私にもその血が流れていますから」



「そうかなあ」



「ええ、そうですわ」



「ふ〜ん……僕が視えているって言ったら?」



「へ? 」



「さっきから、僕の頭と肩にちらちら視線をやってるよね。視えてるよ、僕」



・・・・・そんなのアリ?

何でも出来るの?チートなの?

ヒロイン必要なくない?


魔法の習得とっくに始めてるって仰ってましたもんね。魔力通ってるよ、そりゃ。

攻略対象だもん、視える視えないで言ったら

視えるさ!

メインヒーローだもん。


公式設定きちんと書きなさいよ!重要って言ってるじゃない!



「でしたら、そんな回りくどい言い方をせず、

最初からそう言って下されば良かったのでは。

そういうところありますよね、エリオット様って」



ヒロインにはゲロ甘だけど、周りにはこうなのね。

気の毒だわ。

顔はこんなに良いのにぃ〜!



「意外と言うんだね。 もしかして、それが素なの?」



「あら、困りまして?」



「――っハハ、本当に面白い子だ。

ますます興味深くなったよ」



うげ。変人と認定されるつもりだったけど、彼の方が変人だったようね。



「私。観察されたり、試されたりと言いますか、

値踏みされるのが、とてもイヤですの」



「僕も嫌だな」



「エリオット様がしている事は違いますの?

私が、婚約者としてふさわしいか否か、見極めていらっしゃるのでしょう」



「……見極めるのは当然だと思うけど。

気に障ったなら謝るよ。

君とは仲良くしたいと思っているから」



「婚約者を見定めるのは当然ですわ!

でも前提から違いますの、私は婚約者の座を狙ってなどおりません。

そもそも、()()に意味がないのです。

ご理解頂けまして?」



―――ぱちくり



「アハハッ! 驚いた! 君には驚かされてばっかりだっ」



あのエリオットが涙目で大爆笑してる。

ビックリ‼︎

ヒロインに笑いかける時も、もう少し上品だったわ。

いや、十分上品ではあるけれど。



「ハアーっ、ん、何? 僕だって笑うよ。人間だから」



さいですか。



「では、婚約はなかったという事で宜しいですね?」



「いや、婚約はする」



「お話聞いてらっしゃいました?

頭イカれてしまいましたの」



「至って正常だよ。ずっと婚約しなくて良い。

そうだな……高等部卒業するまでの婚約はどうかな」



バカなの。

卒業する時に断罪されるんでしょうがっ!

まんまシナリオ通りだわ、恐ろしい。



「イヤです。理由は何ですの」



「婚約して、基盤を固めていけって周りがうるさくてね。かといって薦められたままに婚約するのは嫌だ。その点、君の事は気に入っているし、退屈もしなさそうだ。

家柄もトップクラス、礼節も弁えている。

あ、今を除いてね」



「私を隠蓑、、、盾にするおつもりで?」



「やだな、言葉が悪い。

取引をしよう、シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム。

応じなければ、魔力を通さず精霊が視える、精霊王の愛子の再来。

もしくは、違法にもかかわらず、10歳未満で魔法を教わった公爵令嬢。

と、陛下()に報告しよう」



「性格が悪くていらっしゃるわ。

婚約は中等部卒業まで、私がしたい事に反対しない。むしろ協力する事。

殿下に好きな人が出来れば、すぐ解消する。

これが条件ですわ」



「良いの? 僕はシルヴィアに好きな人が出来ても解消する気はないけど」



「何の問題もありませんわ!

中等部までの辛抱ですものっ」



それまで我慢してあげるから、

しっかりイチャラブ&スチル絵GETに協力しなさい!

特等席で見させてもらうからねっ。

それぐらいしてもらってもバチは当たらないわ。



「そっか、僕としては好都合だ。

全て呑もう。

確認なんだけど、仮に中等部卒業後もお互い関係を継続したければ、解消はなし。

構わないかな?」



「⁇ お互いであれば構いませんわ。

あり得ませんけど」



「言質はとったよ。

それじゃあ、お互い良い関係を築こう」



「ええ、win-winの関係ですわ!」



予定は狂ったけど、結果オーライ。

中等部卒業までなら、アリア姉様を推す必要はないわね。ヴェルトハイム(ウチ)としては都合が良いけど、ヒロイン出てきちゃうから無理だわ。

アリア姉様とエリオットが婚約者になった場合は、

全力でエリオットルート潰そうと思ってたんだけどなぁー。

無駄な労力が減ったから、いっか。

もちろんアリア姉様が望めば、応援するわ!

ランドルフルートにでも誘導して、エリオットルートはぶち壊す。

もちろん、ヒロインに対するサポートだって忘れるつもりはない。

婚約さえしていなければ、シルヴィアが悪役令嬢として邪魔する必要はなくなる。

つまり!どのルートでも、程々であれば関わって良し。


にしても、精霊が視えるんだったら色々相談しようかしら。案外シルヴィアの資料少ないから、疑問だらけなのよねー。

ベーヴェルン王国についてもだし。


予習って大事。

そして断罪回避おめでとう、私!(←完全にフラグが折れたと思っている)


ん?エリオットではない、副音声が聞こえたような。





* * * * * * *



「シルヴィアって、知らない単語をよく使うよね。

どこで覚えてるの?」


「どこだと思います?」


「さあ。あ、明々後日空いてる?

デート行こうよ。王都散策しよう(マルニーが装飾店貸し切ったから)」


「でしたら市場も連れて行って下さいませ。

珍しい調味料のお店がありますの(ビルクいるかしら)」


「良いね、

ガトーショコラはどうなった?」


「カカオが手に入りませんの。

エリオット様、探して下さいませ」


「分かったよ、特徴は?」



―――――

――


「殿下、シルヴィア嬢と仲良くなられたようで!

何よりでございますっ。(ほろり)

……しかし、何故でしょう。あの立派な殿下が、尻に敷かれた姿が目に浮かびます」


「「同感です」」



―――――

――


「はあっ・・・」


「何だよ、毎日溜息ばっかりうるせーなあ」


「今頃、可愛いシルヴィーの手作りカレーをクソ殿下が召し上がってるんだろうな……」


「ぅおーい! 言葉遣いと内容が合ってないぞ。気を付けろ! 」


「ああ、すまん。今頃クソ殿下が食べてるんだろうな……」


「もっとヤベーよ! 」


「嗚呼っ!シルヴィーが足りない! 」


「微笑みの貴公子が聞いて呆れるな。

令嬢達が聞いたらブッ倒れるぞ」


「僕にはシルヴィアだけ居れば良い。

あ、そうだ。預かってたのすっかり忘れてた。ハイ」


「帰って来たの4日も前だよねえっ!

――何だ?コレ。俺の薬か?」


「シルヴィーがブレンドしたんだ。

お前如きにお礼だってさ。優しい子だ、全く。

それ、カレーの素。材料入れて溶かしたら完成」


「え、妹ちゃん、薬で味付けしたの?

やっぱ変わってんなぁ」


「要らないなら返せ、そして出てけ」


「お前の優しさは全部妹ちゃんに持ってかれたんだな。心の豊かさも」


「あ゛? 」


「カレーの素、アリガトウ。妹ちゃんにヨロシク」


「ああ」


今日も夜は更けて行く。

シルヴィアが兄の性格を知る日が訪れる事は、ない。





お読み頂き有難うございます。

初めて異世界転生日間[恋愛]部門ランキングで、

90位に入りました!(5/21 21時現在)

とても嬉しいです。

総合ランキングは次元が違いました笑

凄すぎます。羊

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほぼ主人公視点で展開される中、最後に余談のような会話文があって、楽しく読めた。 [気になる点] 他の攻略対象がいつ出てくるのか気になる。 [一言] 前話の後書きにあった中等部編の展開を楽し…
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