空箱
おもちゃの拳銃を握りしめて
殺してやる そう誓った
友達だと思ってたあいつらを
宝物を取り上げたあいつらを
変な名前をつけたあいつらを
割れた鏡の前に立ちつくして
死んでやる そう思った
無力で小さかった自分が
卑怯で小さかった自分が
我儘で小さかった自分が
どこまでも どこまでも小さかった自分が
憎たらしかった
死にたい でもそんな勇気はない
消えたい でもそんな力はない
溶けたい でもそんな甘くはない
散りたい でもそんな都合良くはない
真夜中の時計の針の音
誰かが何処かで叫ぶ声
僕は耳を塞いだ
死にたい でもそんな勇気はない
消えたい でもそんな力はない
溶けたい でもそんな甘くはない
散りたい でもそんな都合良くはない
遠くで楽しそうな人集り
広がる青空に偉大な太陽
僕は目を塞いだ
でも口だけは塞がなかった
僕は此処にいると叫び続けたから
無機質で無神経な他人にでも
無慈悲で無感情な動物にでも
なんでもいいから気づいて欲しかった
そんな僕を差し置いて
みんなは遠くへ行った
大きな大きな箱の中で
僕だけが取り残された