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「いやはや。キミ、しぶといね。キミのことが大好きな桾ちゃんはもう死んでるのに、どこまでも薄情だね。結構結構。で、どう? キミは桾ちゃんを許せるかな? 無理だろうね。まあ、桾ちゃんは我儘だから。あの世で会ったらさ、嘘でも許すって言ってあげなよ。会えるわけないか。桾ちゃんは地獄行きだもんね、きっと」
暗闇の中、声が掛けられる。痛みならもはや麻痺し、なぜか聴覚だけが生きている。視覚も生きているだろうけど、こう暗いんじゃ、死んだも同然。
「……誰、だよ」
なんとか、声は、出た。
「私かい? 私は桾ちゃんの見守り人。ちょっと間違いがあるかな。まあ、桾ちゃんを守る人間にかわりないさ。色々桾ちゃんを助けてる。例えば――」
クヌギの殺人をばれないようにするとか――
声はおかしげに言う。楽しくてしょうがないという風に、物足りないとでも言うように。でも、楽しく。
「私が野良犬も人攫いも同級生も処理したのさ。クヌギは殺戮だけが取り得だからね。殺したあとの処理はテキトーなんだよ」
「わけ、わかん、ない、よ」
「わからなくて結構。わかっても仕方ないよ。それじゃあ、ご冥福を。安心してよ。佐田ちゃんとキミらは別々に葬るからさ。佐田さんは一人、キミと桾ちゃんは一緒。ハピハピハッピー。最高のバットエンドさ。つまりバットエンドの中じゃ最低さ」
さあて、キミもそろそろくたばろうか?――
…………。
……。