114.5:ここまでの設定
※フヴィシュナ
元は豊かな自然と気候に恵まれた山と緑の王国だったが、三百年前に起きた大災害で気候が狂い、今は台風や川の氾濫、鉄砲水他諸々の災害が増加している。
丁度この大災害の時期に当時の王室による権力争いが重なったため、上層部から有能な人材の大半が消えた。その悪影響が尾を引き、実は近年まで割とゴタゴタしていたらしい。そのうち元に戻ると思っていた災害の多発が三百年経っても収まらず、お陰で対策がいまいち進んでいない。
家畜は山羊に似た獣のコトン。魔術師は非常に貴重。現在『浮島問題』の渦中にある。
※ザレフ帝国
南方の隣国。トップは皇帝。侵攻と植民地支配で勢力を伸ばしてきたが、近年植民地の独立が始まっている。現在『浮島問題』の渦中にある。
※新ルシャリ公国
数国挟んで東寄りの国。五年前にザレフから独立した小さな公国。ただし今も争っている。エンジェ大樹海を擁する古い歴史の国。現在『浮島問題』の渦中にある。
※アウグニス神国
国を複数挟んで南方の国。南は魔力が強い土地なので、魔力を持つ者や動物が多い。宗教が強い。大図書館の存在が有名。
※オーリリア・フォン・ブランジュード
〔装備〕
・ナイトグリーンの上着と帽子(量産品)
・革の鞄(量産品)
・ブーツ(複数ギミック付加)
・【まつろわぬ影の眼】(黒石の首飾り。幻術特化の高位魔術具)
〔付加〕
・神性:微
主人公。濃茶の髪に青みがかった灰色の瞳を持つ八歳の少女。王国フヴィシュナ、シェパの街在住の侯爵家息女であり、現代日本からの転生者。
家ネズミ、猪、剛猿、仔猫、モモリネズミ、子雀、天通鳥など、数々の呼び名を持つ野生系幼女。
領地振興計画のため、日々街や農村でボランティアに勤しむが、そこでは素顔も本名も知られておらず、「天通鳥」の二つ名で通っている。
呑気で快活、マイペースだが、児童虐待関連でブチ切れると鬼のように怖い。
身体能力がやたらと高く、薬物にも多少の耐性がある。
恒久発動型の魔術で日々無意識に身体強化をしているが、それ以外の基本スペックはあくまで「チートになりたい凡人」。昔は色々あって鬱一歩手前だったこともあるが、今は開き直って元気にやっている。
時々米と漬物と味噌汁の禁断症状が出る。オコメクワセロー!
屋敷外では変装として、魔術具の黒石を用いた幻影を纏っている。その時の容姿は濃茶色の髪に灰色のやや垂れた目、東方の血筋が垣間見えるものになる。
転生前の日本では、「鷺原桜璃」という名で普通の家族と普通に生きていた一般人。厳密には日本人だったのは「前世」ではなく「前々世」なのだが、その辺の記憶は最近ようやくちょっと思い出しかけてきたところ。
※ラトニ・キリエリル
〔装備〕
・フードの千切れたダークブラウンの上着(量産品)
・布の鞄(量産品)
・大きな紺色の帽子(低位魔術具。軽度の認識阻害効果付き)
〔付加〕
・神性:???
・水系特化魔術師
・『蒼柩』
オーリの相方にして主人公その2。天通鳥コンビの片割れ。
シェパの街唯一の公営孤児院である「イグリット孤児院」に所属する七歳の少年。人目のある所では、オーリとは「リア」「ラト」と呼び合う。
琥珀色の瞳に、ショートの深い群青色の髪。髪は茶色みがかった斑な黒に染めている。強い魔術を使うと染め粉が落ち、また瞳が金色に光る。『蒼柩』と呼ばれる特異な存在だが、詳しいことは未だ不明。
氷の精霊が間違って人に生まれてきたかのような凄まじい美少年だが、普段は顔の上半分を前髪や帽子で隠している。更に水魔術や魔術具で幻影を重ねがけして、顔が印象に残らないようにしている。
今から三百年前のフヴィシュナで、現代日本から転生してきたオーリ(当時の名前は『オウリ』)と出会い、共に十代半ばで死亡。その後正真正銘のチートと化して、記憶を保持したまま今の時代に生まれ変わった。
前世のトラウマから、赤色、特に黒みがかった濁った赤をオーリが身に着けているのが嫌い。現代日本云々の事情は知らない。オーリと一緒になら死んでもいい。
単体では極めて大人しい無関心系穏便だが、オーリが絡むと富士の樹海よりうっそり怖くなる。敬語で無表情、ツンの強いクールツンデレ、こっそりヤンデレ。
オーリに対する執着心はとことん強いが、一方それ以外の存在にはどうにも情が薄いドライな子。
最近は心に余裕が出てきたのか、周囲への態度も若干改善されつつある。とあるガキ大将が周りをうろちょろしているが、見事友達に昇格できるかはガキ大将次第。
遺跡事件でスパルタ師匠を手に入れて、めでたく魔術師として急激に成長中。
ただし暴虐の師匠に血反吐を吐く勢いでいたぶられているので、感謝はあるが殺意もある。充分成長したら、「お陰様でこんなに大きくなりました」という思いを込めて全力で逆襲に出ようと思っている。
※クチバシ
水色の小鳥の姿をした、ラトニの操る術人形。一時的に術者の意識を移すことも出来る、盗聴・監視機能付きの素敵仕様。ハイスペックストーカー。
※ノヴァ
年齢不詳、見た目青年。二十代後半から四十代の何処にでも見える。
髪の左側は暗い紫に近い黒、右側は薄鈍色をしている。紺瑠璃の目。
よく見れば整ってはいるが、特徴が薄い顔立ち。左右異色のちぐはぐで奇妙な服。外套の袖や裾も長さが揃っていない。全体的にアシンメトリーで、時々ほんのりとほの暗く濁った目をする。
オーリを仔猫、ラトニを番犬と呼び、二人の素顔と『蒼柩』のことを知る。
超級の魔術師で、遺跡や伝説級魔術の研究家。わざと貴族の不興を買って国を追われた魔術師であり、ラトニの師匠。魔力は一般的には底無し級だが、ラトニよりは少ない。
割と利己主義で知識優先派。聡明で理性的で尚且つ倫理と行動原理が破綻している、非常にイヤなタイプの狂人。
エネルギー補給のため、頻繁に甘いものを食べている。メープルシロップは聖なる飲み物、混ぜ物なんて冒涜だ。
気紛れで酔狂、無関心な相手にはそこそこ寛容だが、目の前で誰かの首がカッ飛ぼうが動じもしない。ひとたび敵と定めれば容赦はしない。
知識欲と得意魔術から、「暴食漢」の二つ名を持つ。笑顔で悪魔を足蹴にするタイプ。
※オルドゥル・フォン・ブランジュード
オーリの生父。ふっさりした茶髪とちょび髭の四十代。南方領主筆頭。
一見小太りで気の良いおじさん侯爵だが、目が笑ってない笑顔でさらりと人を陥れられる狂気があるので怖い。オーリのことはそれなりに可愛がっているようだが、家族としての情は意外と薄い。裏でイロイロやってる隠れ下衆な人。
仕事はやる気になれば割と優秀だが、領民の役に立つことはあまりしてくれない困った化け狸。色々策を練っている。
※レクサーヌ
オレンジがかった金髪、ごく淡い薄氷色の瞳の無表情美女。オーリの生母だが、屋敷にほとんど帰らない。
オーリのおねだりは大体ノータイムで聞いてくれるが、正直家にもオーリにもあまり興味がない。夫のやっている何やかやには直接関与していないが、目の前で起きていてもさらりと無視する無関心の人。
※アーシャ・マクネイア
薄い紫色の髪を後頭部で団子にした、オーリの傍付き侍女。非常に有能だが、オーリの猫被りの最たる詐欺被害者でもある。うちのお嬢様は今日もアホ可愛い。
※イレーナ・ジネ
シェパのストリートチルドレン最大勢力のリーダー。十代半ば。サイドで纏めた豪奢な金髪と鳶色の目を持つ美少女だが、中身はサバサバした姉御。
オーリに関しては、実家が貴族級の金持ちであることと「オーリ」という呼び名のみ知っており、相互協力関係にある。オーリのことは好きだが、あくまで仲間が第一の現実主義者。
※イルコード
十代半ばのストリートチルドレン少年。柔和な印象の美形。黄色い目に、海のように鮮やかなエメラルドグリーンのショートヘア。イレーナに片思い中だが、イレーナからはまだ「一番頼りになる仲間」認識。
※イアン・ヴィーガッツァ
シェパ警備隊の総副隊長。灰色がかった銀髪を短く整えた、二十代後半の男。
オーリの素顔も本名も知らないながら、その柔軟性によりひっそり相互協力関係を築く。下級貴族出身で、上級貴族の上司と不真面目な同僚たちに悩まされている苦労人。胃が……痛い……。
※ジョルジオ・ブルーローズ
並木通り近くの小さな診療所の薬師。やたらごっつい元気なじいさん。美麗な姓がコンプレックスの六十代独身。
※ルシア
ブランジュード家と何らかの縁がある、古い精霊。年初めの一日しか会えないものと推測される。金髪青メッシュに露草色の目を持ち、肌に青い石の飾りを埋め込んだ美少女だが、口調はとことん年寄り臭い。
※ゼファカ・サイニーズ
シェパの街のガキ大将。オーリに片思い中のヘタレ。ラトニが魔術師であると知ってから、一頻りガタガタ怯えた末、何を思ったのか積極的に交流を持つ方向にシフトチェンジした。
よくしばかれるしオーリからは全力で遠ざけられるし冷たい目で見られて心が折れそうになるが、しつこく追いかけ続けた甲斐あって、一種の信頼関係は築かれつつある……と思う。
※ジル
正体不明の、多分他国人。魔術師。肩まで伸びた薄い金髪とピーコックグリーンの垂れ目、間延びした口調の美青年。以前シェパで起きた連続誘拐事件の関係者。
※エイルゼシア・ロウ・ファルムルカ(エルゼ・マックルーア)
フヴィシュナの公爵家長子で、子爵位持ち。現王の降嫁した妹の子で、現王の甥。王位継承権持ち。
紫銀の髪と青い目の、水仙のような美貌の青年。大人びているが、まだ十代後半。オーリとは「エルゼ」という名の冒険者として王都で出会った。笑顔は爽やかだが、敵に回すと怖い人。色々策を練っている。
※リーゼロッテ
エルゼの妹。磨き上げられた紅玉のような、赤毛に赤い瞳の美少女。もしも将来兄が王位に就いたら、公爵家は婿に任せず、自分で実権を握りたいと思っている。
※ヴィアレンフィル・ロア・フヴィシュナ(レン)
現王の腹違いの弟。八歳。白皙の美貌に黒髪の少年。前髪で左目を隠しており、右目は髪と同じく漆黒をした『魔力を持たざる者』。
今一番興味がある相手はエルゼとオーリ。色々策を練っている。
※ギルヴィガーレ・ロア・フヴィシュナ
凡王。五十代に入ったばかり。同腹の妹にエルゼの母、異腹の弟にレンを持つ三人兄弟の長兄で、特にレンを溺愛している。
※魔石、素材
魔獣の体や地中から採取できる魔力の結晶体。
※封珠
魔石に魔力を込めることで、キーワード一つで炎や雷、光等々の魔術を発現できるようにしたアイテム。使うだけならほとんど魔力を持たずとも発動させられるため、少し裕福な家では明かりの封珠をランプ代わりにしたり、発熱の封珠を懐炉に使うこともある。
※魔術具
封珠よりも高度な魔術を生み出せるが、操作にも相応の技術が要求される。腕輪型、帽子型、時計型など、様々なタイプが存在する。高価。