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フェザーフットVSノーム

作者: 大石次郎
掲載日:2026/03/31

もう勘弁ならねぇ。貸した物を返さない。度し難い悪行!!


俺はノーム族のタッナカの家に朝一で怒鳴り込みに行った。


「おいっ、タッナカ! 2万ゼム返せよっ! あとミスリル鍋も返せ!! 今日彼女がうちに来るんだよっっ」


土壁の丸っこい、いかにもノームな家から小柄で丸っこい体型のタッナカがだるそうに出てきた。


「近所迷惑ですよ? スズッキーさん。お金はその内返しますから。ミスリル鍋に関しては彼女が来るから、という理由は解せませんね。今日、ポークジンジャーを焼く予定なので」


コイツっ、俺がフェザーフットでノームより小柄だからって『行ける』と思ってんなっ!


「彼女にパンケーキ焼くんだよ! 俺はパンケーキを美味しく焼く為にミスリル鍋が必要。そのミスリル鍋の持ち主は俺、スズッキー。お前、タッナカじゃない? 俺がその鍋をお前に貸したのは2ヶ月前、要約すると···いい加減にしろやぁっ!!」


閉口、て顔のタッナカ。


「1回落ち着きましょうか?」


「落ち着かねぇ! 中で話すぞっ?」


入ろうとするとめちゃドアを狭めて最大のパワーで阻止してきやがったっっ。


隙間に革靴を入れて閉じるのを防いでやる!


「入れろやっ!!」


「どうでしょう? いやどうかな? ほら、散らかってるし、今日はポークジンジャーを焼くので」


「ポークジンジャーとは豪勢じゃねーかっ! だったら2万ゼムくらい返せるよなっ!!」


金も鍋も返さない。このノーム!!


「食堂なんかで頼むより自炊すれば安くあがりますよ? 今日ポークジンジャーを食べるのに、ここ数日節制してたんです。昼食は連日豆スープと干し葡萄でした。わかります? 今日は特別なんです」


「あーん? なんで今日なんだよ?」


「いや、だから」


「どうしたの?」


「「?!」」


振り返ると酒場で働いてるハーフノームのボニータが家の前まで来ていた。


「ボニータ! すぐ済むからちょっと散歩しててくれないか?」


「えー? ここまで歩くので疲れちゃったよ〜」


コイツらぁ〜っっ。


「ボニータ! 残念だがポークジンジャーは安鍋で焦げるし、お前の彼氏は月末に2万無くしてすってんてんだ!! ざまぁっっ」


「な、なによこの人〜。ちょっとタッナカくーん。フェザーフットの人なんとかしてよ〜」


俺も常連だが名前覚えられてねーしっ。圧倒的フェザーフットへの軽視!! もうっっ、限界だ!


「どらぁっ!!」


「うわっ?!」


俺はドアを逆に引いてタッナカをすっ転ばせ、中に飛び込んだ。フェザーフットの身のこなしと素早さ! 甘く見んなよっ。


ぬぬっ、キッチン! 豚の一枚肉! スパイスセット! パター壺! 塩! ···ミスリル鍋ぇっ!!


「GETぉっ!!」


ミスリル鍋回収。


「ああ酷いっ。友達じゃないか?!」


「友達は借りたもん返すんだよっ。お前はただの『返さない方のノーム』だっ!!」


次は金金···コイツは雇われ左官屋だ。仕事用の···泥まみれ、ウェストポーチ!! が棚にONっ!


「おらぁっ」


「それだけは〜っっ」


タッナカののろまな突進を掻い潜り、ウェストポーチを引ったって開け、中の財布の厳重な内ポケットから年季の入った小銀貨を一枚発見!


「よっしゃっ、2万ゼム回収ー!!」


「酷いっ、月末どうすれば···」


「そんなん簡単だろ? 戸口に『お友達』がいるぜ?」


2人の視線が集まるとボニータは、


「っ! あれ? なんかお腹一杯かも? じゃ、タッナカくん、またお店でね? あはっ」


ボニータはすごい早足で遁走していった。


「そ、そんな〜」


ヘタり込むタッナカ。···ふん。確か、ここ数年彼女がいないとか言ってたな。


「おっと〜! こんなとこに美味そうな豚肉あるじゃん? 鉄貨2枚で買ってやらぁ」


テーブルに2枚鉄貨を置き、安もんの皿と合わせても大体鉄貨1枚くらいだろう美味そうな豚肉の皿を取る。


「スズッキー···」


「じゃ、あばよ」


颯爽で出てゆく俺。


「あのさ!」


「んだよ」


「できれば鉄貨をもう一枚貸し」


バタンっ! 俺はドアを後ろ手で閉めた。


あー清々した。


今日は肉焼いて、鍋洗って、デザートにパンケーキ! いい日になりそうだぜっ、ひゃほう。

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