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調査報告

 次の日


 俺たちは生徒会室で昨日の出来事を生徒会長に話していた。


「ふーん、成程。能力は電気を扱うもの……、能力がうまく制御できず、バレー部に入ったのも能力を使わないようにするため……、そしてオカルト研究部へ入部するかの答えは保留と……。ありがとう、ご苦労だったね」


 満足そうにこちらを見つめる会長。


「詳しく言うと能力に関しては電気を放出したり帯電させたりと割と自由に扱えるみたいです。応用して高速移動もできるみたいですね。オカルト研究部については会長と直接話してからでないと決められないと」


 俺は追加で説明を加える。


「うーん、まあそうか。まあでもとりあえず検討してくれるだけ十分だよ。直接話せるんだったらそれに越したことはないしね」


 会長はニヤついている。どうせ俺たちを嵌めた時のように、会話で口八丁手八丁で丸め込む気なのだろう。この人には退学させるというカードがあるからな。退学をちらつかせられたら多くの生徒は唯々諾々と従うしかない。三上先輩に関して言えばバレー部のことで脅すだけでも従ってくれるだろう。


「少し気になったんですが、会長は三上先輩とお知り合いなんですか?」


「いいや?こっちが一方的に知っているだけだよ?そりゃまあ僕は一応生徒会長だから名前も知られてないってことはないと思うけど」


 ほう、どうやら王元会長と三上先輩の間に直接的なつながりはないらしい。


「会長はオカルト研究部の研究ノートが代々引き継がれていると言っていましたよね。それは過去に能力者について調べたことが載っているんですよね。三上先輩は一年前につまり俺たちと同時期に勾玉を手に入れたと言っていました。その時の、つまり前生徒会長と2年生以上の能力者の間に何か関わりはあったんですか?」


「面白いところに気付くね。でも特になさそうなんだよ。もしも三上ヒカルと前会長の間に関わりがあったならそもそも君たちに調査してもらう必要も無くなっていたと思うんだけどね。前会長はどうやら一切研究ノートに手を加えていないみたいなんだ」


「一切?」


「そう、全く痕跡が無いんだよね。何か意図があるのか、単純にこんなもの信じていなかったのか知らないけどさ。まあそれもこれも君たちがオカルト研究部に入部してくれたら見せてあげられるんだけどね」


「というわけで君たちも体験入部ができただろう。どうだい?そろそろオカルト研究部に正式入部してくれないか?」


 俺は会長の提案に疑問をぶつける。


「正式入部って言いますけどそれって現状とどう違うんですか?現状俺たちは会長の言う儀式のため、ひいては学校の恒久的な平和のために協力しているわけですけど、それだけではなくて退学を引き合いに出されたから協力しているわけです。退学をこのまま脅しに使いながら協力させられるのと正式に加入することに何か俺たちにとって違いはあるんですか?」


「だっていつ退学になるかもわからないまま学校生活を送るのは嫌だろう?正式入部してくれたら退学で脅したりはしないよ。それとまあ、正式に入部してくれるというのであれば、もう少し勾玉の能力やこの学校の秘密、オカルト研究部についてや儀式についても詳しく教えてあげられるよ。それと君の望む平穏な勉強漬けの学園生活だっけ?それもこちらからサポートしてもいい。教師をアテンドしたり図書館を優先的に使わせてあげたりね。君が望む学校生活の一助になれるように協力してあげられるよ」


「もちろん朱莉ちゃんだってそうだ。何か望むことがあれば助けてあげられる。食堂のお弁当割引券とか、売店の5%オフ券とか、当たりやすい自販機を教えてあげたりとか」


「私だけしょぼくないですか」


 朱莉のツッコミに会長はご満悦の様子で笑っている。


「まあ一例だよ、何か望むものがあってそれに僕が助けられるなら協力しよう。ま、それもこれも正式入部してくれればだけどねー」


 会長は飄々と話す。俺たちの在学する権利を握っておきながら態度が軽い。


「まあ結論は急がない。このまま退学を人質に君達を使役するのも僕にとっては構わない。心が痛むとかもないしね。このまま協力し続けてくれるなら、そしてそれで能力者の素性や能力が割れていくならその過程なんてまあどうでもいいんだよ。君たちのためを思ってオカルト研究部に勧誘しているということは忘れないでほしいね」


 話を終えて俺たちは生徒会室を後にする。


 疲れた。会長との会話は異様に疲れる。飄々としていながらこちらにとって心労がかかるような揺さぶりやブラフをかましてくるからリラックスして会話できないんだよな。


「翔太、結局正式入部しないの?」


「いや、うーん……。どうだろうな。まあ退学させられたら困るから正式入部するべきなんだろうけど……」


 ただここで正式入部してしまうといよいよ俺の平穏な学校生活というものは実現し得なくなるだろう。三上先輩と出会って他にも能力者がいることは確定した。今までの話が全部夢オチでした、みたいな展開はもう期待できない。いよいよ現実として俺たちが勾玉の能力者として勾玉に選ばれてしまったことを受け入れなければならない。そしてそれにまつわるあれこれに巻き込まれようとしていることもまた揺ぎ無い事実なのだ。


「朱莉は決めたのか?」


「私は別に元々翔太ほど嫌がってないし、退学なんて脅されたら入るしかないでしょー。何なら今会長に何お願いしようか考えてるくらい。しょぼいとは言ったけど3年間学食が割引されるんだったら結構でかいかもなー。でも当たりつき自販機で私当たり引いたことないんだよねー。そっちもいいなぁ」


 朱莉は笑顔で何やら幸せなことを妄想しているようだった。随分頭がお花畑な奴だなと思いつつこういう時に思い切りがいい朱莉が少し羨ましくもある。


「私部活行ってくるからー。じゃあねー」


 そう言って朱莉は去っていく。夕陽に照らされた朱莉の笑顔は可愛かった。


 去っていった朱莉と別方向に歩きだしつつ、俺は考える。


 正式入部か……。まあ退学になるわけにはいかないしな……。でもそもそも一生徒会長に生徒を退学にさせる権利なんてあるのか?とはいっても何か退学になるような噂を流されたり、既成事実を造られたりと可能性は考えられるよな。ガン無視というわけにもいかないか。どうしたもんかな……。

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