表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お財布令嬢〜愛の切れ目がお金の切れ目〜貴方にはもう貢ぎません!  作者: 迦陵れん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/58

破られた約束

「あっ……! あいつら、お揃いのアクセサリーを身に着けてるぞ!」

「えっ!?」

「嘘?」


 その声によって、今まで二人を見ていなかった人達の視線までもがザガロとジェニーさんへ釘付けとなり、周囲は一気に騒がしくなった。


「まさか入学初日に、あんなにも堂々とお揃いのものを着けてくるなんてな」

「よっぽど他の殿方に奪われたくないのでしょうね」

「しかもあのイヤリングとイヤーカフ、もの凄く高そうじゃないか?」

「メラニン侯爵家のご嫡男の婚約者といえば、ノスタリス子爵家のご令嬢でしょう? あのぐらい端金なのではなくって?」


 思い思いに、好き勝手に噂される内容に、私は歯を食いしばって下を向く。


 いくらメラニン侯爵が再婚して、後妻と連れ子を迎えたことは世間に知られているといっても、子供の年齢や容姿までは伝わっていない。つまり、ザガロとジェニーさんが兄妹だと知る人は、この場に私以外いないということなのだ。


 それなのに、学園入学初日という特別な日に、まるで周囲に見せびらかすようにしてお揃いのアクセサリーを身に着けてくるなんて、私に対する悪意でしかない。


 先日、彼と二人で慌ててオーダーしに行った私達のブローチは、まだ完成の連絡さえきていないのに。あれが完成するまで、ジェニーさんとお揃いの物も、身に着けない約束ではなかったの?


 裏切られた──という気持ちと、今すぐ彼を問い詰めたい気持ちに駆られる。


 けれど今ザガロの前に出ていけば、私は間違いなく好奇の目に曝されるだろう。


 そして周りから言われるに違いない。


『あっちの可愛くない方が婚約者だったのか?』と──。


 そんなのは嫌だ。そんな屈辱には耐えられない。


 けれど彼は約束を破った。それについて放置するわけにはいかないし、償いはしてもらう必要がある。


 どうすればいいの? どうすれば──。


 考えても答えは出ない。最近はこんなことばかりあるような気がする。


 こんなことなら、もういっそのこと婚約を破棄したい。そうして彼を忘れてしまいたい。


 だけど私はまだ、ザガロのことが好きなのだ。だから離れたくない。婚約破棄などしたくない。


 けれど、こんな風にジェニーさんと仲睦まじくしている光景を見せられるのもまた、地獄でしかなくて。


『愛や恋など、金の前では何の力も持たないことを分からせてやれ』


 突如として、父の言った言葉が脳裏に蘇った。


 言っていることは理解できるものの、未熟な私にはどうしたらいいのかが分からない。


「お金で愛が、買えたらいいのに……」


 思わず口から、そんな言葉が漏れた。


 その呟きは独り言のようなもので、だからこそ、とても小さな声だったはずなのに。


 それを聞いていた人がいたなんて、私は夢にも思っていなかったのだ──。


 



 


 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ