第八章:心を守る応援とは何か? 〜「好き」が、あなたと推しを守る文化になるために〜
推しを応援すること。
それは、日々の楽しみであり、心の支えであり、時に生きる意味になることさえあります。
けれど、その「推し活」がいつしか“疲れるもの”になってしまったとしたら?
•比べられる苦しさ
•ファン同士の対立
•推しの一言に傷つく心
•「自分の応援はこれでいいのか?」という迷い
この章では、Vtuberファンとして、“自分の心を守りながら推す”とはどういうことか
そのために必要な視点を、ゆっくり紐解いていきます。
⸻
1. 推しの物語を“信じる”ことの意味
Vtuberは、物語を纏った存在です。
ファンタジー設定、ビジュアル、台詞、歌、活動の積み重ね……
それらはすべて、“一人のキャラクター”としての人生を形作っています。
しかし、物語には困難がつきものです。
•登録者の伸び悩み
•コラボ後の炎上
•誤解を招く発言
•予告なき活動休止
そんなとき、「信じる」ことが心の支えになります。
「私はこの人の歩みを、物語として信じている」
「不完全でも、傷ついても、続いていく物語に価値がある」
信じることは、盲目的に崇拝することではありません。
“見届ける意志”であり、推しの選択を見守る勇気です。
⸻
2. 他人を貶すことでしか得られない安心は、長くは続かない
不安になるとき、人は自分を守るために他人を下げようとします。
•「あのVよりマシ」
•「こっちの界隈は民度が高い」
•「数字低い奴が推されてるの、納得いかない」
こういった言葉は一見、仲間意識や自尊心をくれるように見えます。
でもその安心感は、他人を下に見ることでしか成り立たない“砂上の城”です。
「誰かを下げて得た絆」は、いずれ壊れる
•貶した相手が成功したら、嫉妬に変わる
•自分の推しが批判されたら、報復を始める
•自界隈の中でも、格差や格付けが始まる
それはもう「好きでつながる」関係ではなく、
「勝ち負け」でつながる、脆く危うい連帯です。
⸻
3. 「好き」でつながる文化を育てるには
ファンダム文化を健全に保ち、長く推し続けるには、
“好き”を軸にした関係性を少しずつ育てていくことが必要です。
そのためにできること:
•「良いものを良い」と素直に語る
•他界隈のファンともリスペクトを忘れない
•比べるのではなく、それぞれの“魅力”を知る
•推しを通して、自分の人生が豊かになったと感じる瞬間を大事にする
それは、こんなファンの姿
•批判に流されず、黙って推しの魅力を発信する人
•対立を煽るより、架け橋になるような言葉を使う人
•推しが何か失敗しても、「この人なら大丈夫」と思える信頼を持つ人
そんなファンが少しずつ増えていけば、
Vtuberも安心して活動でき、ファン同士も支え合える空気が育ちます。
⸻
まとめ:心を守るとは、自分の「好き」に正直でいること
•比べず、貶さず、焦らず
•他者の声より、自分の“好き”を信じる
•ファン同士も“敵”ではなく、“共に歩く仲間”
Vtuber文化は、まだ未完成で、だからこそ私たちの選択が未来を決めていきます。
「好きでつながる文化は、私たちが育てるもの」
その意識こそが、Vもファンも守る最大の力になるのです。
⸻
あなたが“推す”ということ
最後に、こう問いかけてみてください。
「あなたが推す理由は、なんですか?」
その答えが、「誰よりも数字が上だから」ではなく、
「この人の笑顔が、自分の力になるから」だったなら――
あなたの応援は、きっと、誰かを傷つけない。
そして、何より自分自身を大切にできる応援になっているはずです。