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日常なお礼 ■ 07

拍手御礼のお話です。

たまにパラレってますが、気にしてはいけない。

たまに本編と時系列がずれているが、気にしてはいけない。

 魔王を討伐すべく魔界へ勇者様がやって来る事になったらしい。

 神殿が選りすぐった一品、じゃなくてお人だそうです。

 魔王が敵わないと思わせる人物像をご神託だとか占いとかで選出し、実力テストなんかの諸々を合格されたらしい。

「で、敵わないってどういった方面で敵わないのかな」

 いつものごとく執務室にて、イシュからの報告に首を傾げて問い掛けてみた訳ですけれど、魔力だって魔族の中ではピカ一な私ですよ?

 人間である勇者様と私では雲泥の差である事は分かりきっているので、魔力や魔術対決なら勇者様が白旗上げるのは間違い無いし。

 拳で語る気は更々無いので、勇者様が拳で語ると言うのであればシャイアかサナリに交代して貰えば良いし。

 それに付いて文句を言われてもねぇ?

 何せ、極悪非道で卑劣な魔族の王様だから言い訳も立つじゃない?

 私、痛いの嫌だし。

 力でごり押しして倒せる相手とは思っていないと思うんだけど、そうなると何で対抗してくるのか疑問に思うよね。

 そんな訳でイシュに聞いてみた訳だけど、結論としては分からないという回答だった。

「ん~……パワーが駄目ならラブという手もあるけれど……何だろう。私好みの素敵な男性が口説きに来てくれんのかなぁ。それだったら勇者大歓迎しちゃうなぁ」

 人間界の平和の為に頑張って魔界まで来て、真剣に私を口説き落とすとかを想像したらパブロフの犬みたいに顔がニヤニヤしてしまった。

 しかもその勇者には恋人なんか居たりしちゃって、嫌々魔界に来て、嫌々魔王で子供を口説くとかって、それでもってそんな勇者に落ちそうで落ちないとかで焦らすとか!

 更にはフラグ立って裏ルートとか発生しちゃって、勇者的にはバッドエンドとかー!

 ちょと、それ何て乙女ゲー? 何てエロゲー?

 と想像して一人楽しんで満足した所で現実に戻る私。

「魔王様を口説く等、論外です。山脈を越えた辺りで早速処分してしまいましょう」

「えー? 口説く位良いじゃない。普段から、他に楽しみ無いんだし」

 たまには普通の人からチヤホヤされたって良いじゃないか。と、眉を潜めるイシュに文句を返す。

「口説かれて魔王様が絆されてしまわないとも限らないでは無いですか。大体魔王様は人間族に甘くてらっしゃる」

「まぁ、同情はするかもしれないけれど、口説かれたからってそうホイホイ惚れたりなんかしないよ。大体、私ちゃんと好きな人いるしー」

 ちょっと胸を張って得意気に言ってみれば、イシュが目を吊り上げて詰め寄ってきた。

「好きな人とは何ですか! あのラズアルという男ですか!!」

 うん。とは言えなかったけれど、イシュの中ではラズアルさんは想定内なのかと一瞬変な所で感心してしまった。

 しかし、イシュの勢いに仰け反りながら、その表情が余りにも真剣だったので、つい出来心というか、好奇心というか、魔が差してしまったんだよね。

「イシュだよ?」

「…………はっ?」

「だから、好きな人。イシュ」

 目を丸くしたまま固まったイシュの美しい顔が、

 普段、人を蔑むような冷たい感じのする美しい顔が、目を丸くして更には口も開けっ放しという間抜け面で固まるのは、非常に珍しくて思わず噴出しそうになる。

 が、私が噴出すより先に、イシュが滂沱の涙を流すのを見てギョッとなった。

「ちょっ……な、何で泣くのよっ!!」

「魔王様が、ワタクシの気持ちを汲み取って下さったのかと思うと……本日より閨を共に致し、更にはワタクシの気持ちをその御身に刻みたく」

 驚きが去る間も無く今度は青くなるような事を真顔で言う。

 冗談じゃない!

「べ、別に本気で言った訳じゃないんだからねっ! 冗談なんだからねっ! 真に受けないでよねっ!!」

 これ以上余計な事を聞かない、言わない内にと早々に転移術にて逃げ出しましたよ。




 その為、私が移動した途端流してた涙が消えていた事や、たまたまやって来たシャイアが呆れ顔で余りからかうなと言っていた事や、薄ら笑いを浮かべてイシュが冗談ですよと返していとは知る由も無い事なのであった。

魔王と言ったら勇者だし。と無性に勇者ネタを書きたくなったが、デレツンを書いて満足しただけの話であります。

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