日常なお礼 ■ 06
拍手御礼のお話です。
たまにパラレってますが、気にしてはいけない。
たまに本編と時系列がずれているが、気にしてはいけない。
普段は獣族領地にて勤めているゼシェアラル男爵は、隷属と言う名の妻の願いを叶えるべく長と魔王殿へ相談をしに魔王殿へと上がった。
謁見の場所として王の間で控えているよう告げられた男爵は、手続きを済ませた後に王の間へと向かう途中、目の前を勢い良く通り過ぎていった塊に思わず身構える。
何かと塊へ目を向け掛けた所、直様勝色の大きな塊が先の塊を追い駆けて横切っていった。
最初に通り過ぎた塊を見れば、五つの球体を棒で繋ぎ合せた不可思議な塊であり、どこかへぶつかる度に予想外の方向へと勢い良く跳ね飛んでいく。
それを追い駆ける勝色の塊は、これから謁見をするはずである我が長と魔王様である。
声を掛ける暇も無く、男爵は顎を落としたまま通り過ぎていった二人の背を唯見つめるばかり。
床から壁へ、壁から天井へと跳ねる球体の塊を追い駆ける長の背に跨る魔王様は、小さい体は疎か首も前後へがっくんがっくんと激しく揺れている状態に思わず手を伸ばし掛ける男爵である。
あの様に激しく揺れまくっていては、いずれその小さい体が落ちてしまうのではと不安に駆られる。
球体の塊が天井へ跳ね上がった時、平時であれば流石は我が長と褒め称える所であるが、如何せん天井が近過ぎた為に、派手な音を立てて魔王様が額をぶつけられ長の背から落ちてしまわれた。
あれは痛かろうと手を伸ばしたまま固まっている男爵の先で、額を押さえ蹲っている魔王様。
それを覗き込む我が長の、耳が垂れ下がり尾を丸める様子にそっと視線を逸らす男爵であった。
何も見なかった事にしてぎこちない動きで王の間へと向かう男爵の背に、イシュアレナ大公の声が響いている。
「屋内でその様なお遊びはなりませんっ!」
その後、王の間にて額を赤く腫らした涙目の魔王様と無事に謁見する事が叶った男爵であった。
その日、淫魔族のステアーナ侯爵当主であるリフェラードは、内勤の為に魔王殿へ上がり一通りの職務を終えて休憩がてら娘の様子を伺いに広く長い廊下を進んでいた。
前方から双頭双尾の姿をしたシャイアマティウ大公がやって来た為、ステアーナ侯爵は挨拶を交わすべく立ち止まり低頭をする。
「何も言うな」
下げた頭を上げ掛けた所へ、シャイアマティウ大公が一言低く告げる。
何故にと思いながら見れば、大公の背中で突っ伏して寝ている魔王様のお姿がある。
何も言うなと言われてしまえば侯爵の身では問う事も叶わず、背におられる魔王様を気遣ってかゆっくりとした足取りで廊下を進む大公の背を唯々見送るステアーナ侯爵。
巨体に見合わず静かな足取りの割りには機嫌良さげに揺れ双尾に、ステアーナ侯爵は唇を緩め本来の目的である娘の元へと向かったのである。
本日も魔界は平和であります。
フリスビーに続く第二弾。