日常なお礼 ■ 02
拍手御礼のお話です。
たまにパラレってますが、気にしてはいけない。
たまに本編と時系列がずれているが、気にしてはいけない。
受け取った用紙を眺め、太い首を傾けるシャイア。
「言っておくが、俺は犬族ではなく『狼族』だから、ソコの所間違いないようにな?」
「狼から派生したのが犬でしょ? 似たようなモンじゃない」
横から用紙を覗き込んだ依子が、にこやかにシャイアを見上げて告げる。
「所で、魔王様よ。その手に持ってる丸いのは何だ?」
「これ? ガルマに作って貰ったの。フリスビーっていう道具でね? 投げると遠くまで飛ぶの」
嬉しさ全開、満面の笑みで説明する依子に、長身な体を少々仰け反らせてシャイアがたじろぐ。
依子が前後に揺らすフリスビーに、なぜか心騒ぐシャイア。
「取って来――――いっ!!」
高らかな声と共に、遠くへと飛ばされるフリスビー。
依子の横を一陣の風が吹き抜けていく。
ガルマの術で、永遠に飛んでいくフリスビーを追い駆ける双頭双尾の狼。
「シャイア、素敵……フリスビードッグに憧れてたんだ、私。シャイア居てくれれば、ペット諦めても良いかも」
うっとりと呟いた後、落ちた用紙を拾い上げる依子。
「えーっと? シャイアの主食について? シャイアとサナリは肉食だから、普段は人工人肉を食べているけど、彼らにとって私の魔力はプロテインや筋肉増強剤みたいな位置付けになるのかなぁ」
用紙を眺め呟いていると、フリスビーを咥えた泥だらけのシャイアが戻ってくる。
「どこまで飛ぶんだ、これは! 大体俺は犬ではないと言っているではないかっ」
律儀に依子へフリスビーを返しながら、もう一つの頭が文句を零す。
が、二つの尾は激しく振られている。
「…………」
「もう終わりか?」
「いや、シャイア嫌なら、止めておこうかなって」
そう返しながら、フリスビーをしまおうとする依子の手を、太い前足がタシッと遮る。
「嫌とは言ってない。良い運動になるから、たまには付き合っても良い」
「そぉ?」
にまぁと依子は笑うと、反対方向へ勢い良くフリスビーを飛ばす。
再び、勝色の弾丸が全力でフリスビーを追い駆けて行った。
なぜかその後、大鷲となったサナリまで加わり、激しいフリスビー争奪戦を繰り広げた挙句、フリスビーは脆くも壊れ、肩を落とした依子の姿が見れたとか。
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