日常なお礼 ■ 01
拍手御礼のお話です。
たまにパラレってますが、気にしてはいけない。
たまに本編と時系列がずれているが、気にしてはいけない。
「魔王様、清々しいエムとは一体何でございましょうか」
用紙を見た後、真顔で問い掛けてくるイシュに、依子が嫌そうな表情を浮かべるが、律儀にも説明して返す。
「……肉体及び精神的な苦痛で、性的に満足しちゃう『異常性欲者』の事」
「生憎、ワタクシは異常性欲者ではございません。あえて言うのであれば、魔王様一筋の性欲者でございます。ワタクシの性欲の全ては、魔王様へ捧げておりますっ!」
「全然、意味分からないしっ!! 一筋じゃなくて結構だし、捧げられても困るからっ!! 寧ろ除外してっ!!」
真顔で詰め寄りながら熱く訴えてくるイシュに、依子は声を上げつつ顔を引き攣らせて後退る。
後退る依子を残念そうに見た後、再び用紙を見るイシュ。
「ワタクシに一目惚れ? 愚かな。ワタクシは魔王様と初めてお会いした時に、運命を感じました。これが一目惚れというものでございますね。ワタクシの心は、魔王様一色一筋でございます」
「鳥肌立つから止めて……」
顔を背け、二の腕を擦りながら依子がぼやく。
「所で、変態さの衝撃が忘れられないとありますが、一体何の事でございましょうか」
「胸に手を当てて考えてみれば? たくさんあり過ぎて、どれだか分からないって意味?」
徐に、依子の胸に手を伸ばしてくるイシュを、依子は透かさず書類の束で叩きのめす。
「だ・れ・が! お約束な事しろって言ったのよっ! アホでしょ! 馬鹿でしょ! 馬鹿っ!!」
「あっ! 魔王様っ。そのように激しくされましたら、イシュは……」
肩が上下する程、目一杯ぶっているにも拘らず、頬を上気させて恍惚としているイシュに、依子は地団太を踏み鳴らした挙句、鼻息も荒くイシュを置いて部屋を出て行く。
「ワタクシの事を『可哀想』と申す者もいるようですが、魔王様から久々に激しい寵愛を受けて、イシュは幸せ者でございます」
ほぅ、と充実した吐息を零しつつイシュが呟くと、遠くから依子が叫ぶ。
「頭が『可哀想』だって意味よっ!!」
「魔王様っ!! そのような遠くからも声を聞き取り、ワタクシを気にされて下さるとは!!」
暫し、魔王殿内で激しい鬼ごっこが繰り広げられた一日。
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