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-99- 怪我 2

 -91-でタイトルにした怪我という話をうっかりタイトルにしてしまったが、また別の話である。^^

 うっかりして怪我をするのは心に(スキ)があるからだ・・とよく言われる。

 粗忽は苗字どおり隙だらけでよく怪我をする男だった。隙があれば魔に刺すされると言われるように、粗忽はチクチクと虫に刺されるように刺され、ポカミスの怪我をよくした。生まれついての性分だから、これだけはどぉ~しようもなかった。^^

「粗忽さん、課長がお呼びです…」

「ああ、そうですか、どうも…」

 とある市役所の万年平職員として庁舎に名を馳せていた粗忽は、ゆったりとデスク椅子から立つと課長席へ向かった。課長の東雲(しののめ)はそんな粗忽を諦め顔で待ち構えていた。

「粗忽さん、やり直しです。ぜぇ~~んぶ間違ってます…」

「いや、そんな訳は…」

 粗忽は途中まで言いかけたが、それ以上は言わなかった。いや、言えなかったといった方がいいだろう。内心が、またか…と自分のうっかりミスを肯定したからである。

「分かりました、やり直します。どうも…」

「お願いしますよ…」

 粗忽の後輩である東雲としては、それ以上言えず、怒れなかった。ところが、奇跡が起きていた。東雲がやり直しを指示した内容は、ぜぇ~~んぶ間違っていなかったのである。だが、それが分からない粗忽は指示どおりに、ぜぇ~~んぶやり直した。

「…どうでしょう?」

「うん、これで結構です…」

 東雲が了承してOKを出した内容は、ぜぇ~~んぶ間違ったまま、うっかりミスで問題なく処理されていった。

 表面は治っても怪我は内部で化膿している場合があります。事実、我が国経済は気づかない怪我で失速し、傾いていったのでした。これは嘘のような本当の怖いお話です。^^


                   完

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