-8- 乗り間違い
秦野はうっかり電車を乗り間違えた。というよりは、乗る下りと上りのホームを間違えたのである。目的地へ近づくどころか、どんどん遠ざかる車窓の風景を眺めながら、秦野は美味しそうに駅弁を頬張り、茶を啜った。それもそのはずで、秦野はこのとき、自分のうっかりミスにまったく気づいていなかったのである。^^
『次は鹿馬ぁ~~鹿馬ぁ~~~』
車内アナウンスが流れたとき、おやっ? と、秦野は初めて疑問を持った。そのとき、駅員が切符確認に現れた。
「あの…この列車、保阿へ行きますよね?」
「えっ? 行きませんよ、保阿は反対方向です…」
駅員にそう言われ、秦野はこのとき初めて乗り間違えたことに気づいた。気づいたところでもう遅い。列車はどんどん反対方向へ進んでいるのだった。
「次の駅で降りられて反対ホームで乗り換えて下さい、料金はいりません…」
秦野は駅員の言葉を聞き、よかった…と思った。
このように、悪意のないうっかりした乗り間違え[旅客営業規則:誤乗]の場合、目的地へ着く時間は遅れますが、追加運賃はかからないようです[旅客営業規則:無賃送還]。秦野さん、よかったですね。^^
完