-76- 大当たり
大当たり・・という言葉を聞けば、誰もがハッピーな出来事を想像するに違いない。だが、大当たりにはもう一つの意味があり、事故に遭遇するという不運なアクシデントもあるのだ。この場合の大当たりには誰もが巡り遭いたくないに違いない。^^
逆巻は五月の連休を商店街の福引きクーポンで大当たりした三泊四日の旅行に出かけていた。多少のお金は持って出る必要はあったが、交通費や旅費はいらないのだから、これはもう大当たりという気分だった。
『次はぁ~焼き豚ぁ~焼き豚ぁ~、鋤焼線は乗り換えですぅ~』がら
鼻声で流暢な駅員の車内アナウンスを聞きながら、車窓に流れる風景を眺め、買った駅弁に箸をつけるる坂巻は、小さな幸せの絶頂にあった。ところがである。その列車が踏切でエンストした車と大当たり事故を起こし、脱線転覆したのである。幸いにも逆巻は全治一ヶ月の傷で済んだが、楽しい旅行は夢と消えるし、勤務を欠勤しなければならなくなるし、生活は乱れに乱れたのである。こんなことなら福引に大当たりしなければよかった…と逆巻は病院のベッドで恨めしく思った。
このように、大当たりには幸、不幸の両面があるのです。うっかり大当たりしない方がよさそうですね。^^
完




