-61- 腰を下ろす
安心してうっかり腰を下ろすと豪い目に遭遇することがある。
「ふぅ~暑いのう…。どこぞに、凌げるよきところはないか? 地に明るき者を呼べいっ!」
今川義元は、そう言いながら扇子を仰ぎながら輿の上で額に噴き出る汗を拭った。
「ははっ!」
しばらくして、別の武者が一人、輿の前へと進み出た。
「ここを少しばかり進みますると、桶狭間とか申す風通しの良きところがあるよしにござりまする…」
「おお、そうかっ! ではその地にて、織田の砦を攻め落とした話を肴に、一献、酌み交わすとでも致そうかのう、ほっほっほっ…」
今川義元は善照寺、丸根、鷲津、丹下の砦の陥落に気を緩め、そのまま田楽狭間へと進軍した。
その後、桶狭間へ進軍した今川義元は、輿を降りると床几の上へ重い腰を下ろした[輿と腰を掛けたダジャレです^^]。このうっかりした気の緩みが、その後の今川軍の命運を狂わせた。
やがて、ポツリポツリと降り出した雨はザザザァーという豪雨となり尾張一帯に降り注いだのである。
「天は我に味方したりぃ~! 者ども、兵糧、武具など重き物は打ち捨て、我に続けぇ~~ぃ!!」
織田信長の号令一下、織田軍の精鋭二千有余は桶狭間へ突き進んだのである。豪雨は馬の足音を掻き消し、さらに武具の鉄砲を使えなくした。突如の攻撃に狼狽した今川軍は混乱し、今川義元は討ち取られたのである。
油断して、うっかり腰を下ろすと、こういう残念な結果を招くことになる訳です。^^
※ 武将の敬称は略させて頂きました。ご了知頂きますようお願い申し上げます。m(_ _)m
完




