↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
53/100

-53- 信仰

 個人が何を信仰しようと、それは自由で、他人がとやかく言うことではない。だが信仰は魔物で、自分の気分を鼓舞する程度の信仰ならいいのだが、うっかり信仰にのめり込んでしまえば取り返しがつかないことになり自己破壊や人生破壊を招いてしまうから注意が必要だ。皆さんも、最近起きている信仰での被害はニュースや新聞報道で耳にされたこともお有りだろう。国会でも物議を醸(かも)し出しているくらいだが、醸し出すのは美味しいお出汁(だし)ぐらいにしていただきたいものである。^^

 とある町に住む片山は春のそよ風に吹かれ、漫(そぞ)ろ歩いていた。お決まりのコースだったから足は勝手に動いていた。コース半ばまで来たときのことである。道の際の一角に一人の男が茣蓙(ござ)を広げて座っているではないか。その男が座る傍(かたわ)らには一体の素焼きの土像が立っていた。片山は、おやっ? と訝(いぶか)しく思えたから近づいて歩を止め、その像をシゲシゲと見回した。よく見れば、仏様のようでもあり、神様のような像でもあった。片山は座る男に近づき、恐る恐る訊ねてみた。

「あのう…誠に失礼とは存じますが、コチレは?」

「…ああ、このンお方は救世主様でございます。最近、世界のアチコチで起きております戦争や紛争の惨禍をご覧になり、救世のため天から降臨されたのでございます…」

「ああ、そうなんですか…」

 そう、はっきり説明されれば、素直に返すしかない。片山は、ふ~~ん…くらいに聞き流すと、歩き出そうとした。そのときである。一人の老女がどこからともなくヨタヨタと現れ、その像の前でくと、地面に額(ぬか)づいてブツブツと呟き始めた。

「救世主様っ! 有難うごぜぇ~ますだっ!」

 そう言いながら老女は、手にした数百万円の帯(おび)のついた札束を像の前の寄進箱に投げ込んだ。その途端、ただの置き物の像に見えていた片山の目は変化し、神々(こうごう)しい像に見え出したのである。片山はその老女が雇われた桜だということを知らなかった。その日以降、この救世主像の虜(とりこ)となった片山は、日々、像の前で額づくようになり、すっかり貧乏になってしまったのである。

 うっかり信仰に陥れば土壺に嵌(はま)る・・という怖いお話でした。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。