-48- 対応
うっかりミスを冒すのは仕方がないとしても、問題はそのあとの対応である。その対応が適切か不適切かによって、それから後の展開が大きく変わることになる。
吉塚は、うっかりミスでBという商品を買ってしまった。八才になる子供に頼まれていたのはAだったが、品切れでなかったのである。
「あと一週間、お待ち頂ければ入荷しますが、どうされますか?」
店員にそう言われ、そうしようか…と思ったとき、吉塚の目によく似た商品が飛び込んできたのである。
「コレ…Aと余り変わらんのでは?」
「ああBですか…。そうですね、機能が少し複雑になりますが、そう大して違うことはないと思いますが…」
「というと?」
「はあ、ソコはお使いになられるお子さん次第でございます」
「気に入るか気に入らないか、ってことですか?」
「はあ、まあ…」
「たぶん大丈夫だと思いますからBを買います」
一週間は待てない…と思った吉塚はBを買った。ところが、である。帰宅して子供に見せるとA以外はダメだと泣いたのである。仕方なく、吉塚は勤務を終えた次の日の帰り、対応措置として店へ商品を返しに行った。
「分かりました。昨日、申しましたようにAは一週間で入荷しますので…」
うっかりミスを冒した場合は、対応を早くすることでミスはミスでなくなります。-1[うっかりミス]+1[早い対応]=0[コトはなし]ということですね。-1+0.1~0.9[遅い対応の程度差]=0.9~0.1[ミスが残る程度差]という数式が成立します。これを、うっかりの程度方程式と私は呼んでいます。^^
完




