-4- 買い忘れ
主婦の方は、お分かり頂けると思うが、スーパーの買い物で、ついうっかり買い忘れをされた御経験がお有りのことと思う。買い忘れは、人なら誰しも、うっかりやってしまうポカミスである。そのとおりです…と、お思いの主婦の方々も、さぞ多いことでしょう。^^
北郷は妻から頼まれたナニを忘れまいと、勤務する町役場で意識を高めていた。
「課長、どうされたんです? 気分がお悪いんですか?」
目を閉じて忘れまいと意識を集中する北郷に、課長補佐の立花が訊ねた。
「んっ? ああ、立花君か、ナニだよ。いや、何でもない…」
そのときは危うく暈した北郷だったが、勤務時間の長さを、こんなに長かったか…という思いで、ようやく退庁時間を迎えようとしていた。あと、五分でチャイムが鳴るという、まさにそのときである。
「課長、久しぶりに一杯、どうです?」
立花が小声を出し、ニヤリとした哂い顔をした。
「んっ? ああ、いいねぇ~!」
根っからの左党の北郷にとって、断る理由は何一つなかった。いや、断る理由はあったのが、うっかり忘れてしまったのである。
買い忘れをしないよう集中しましょう。油断はいけません、いけません。^^
完