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-39- 敵味方

 今の平和に見える我が国でも戦国時代のような敵味方入り乱れての見えない争いは起きている。だが、うっかり見えない計略に乗せられれば、悲しい憂き目となる怖い世の中なのである。とはいえ、命に係わる争いでないだけが、せめてもの救いではある。藻瓜グループの子会社である早川商工[株]の社長、早川もそんな都会の見えない争いの一角で生きる一人だった。

「社長、電話連絡があり、すぐにでも契約をお願いしたいと得川ホールディングスから矢の催促が…」

 社長室のデスクに座る早川に、専務の平岡が小声で(ささや)いた。

「そうか…。もう少し様子を見てからでも遅くはあるまい」

 早川は悩み顔で小さく返した。得川ホールディングスと競合する居下(いした)産業との契約がすでに内定していたからである。しかし、得川ホールディングスと居下産業では経営規模に大差があった。そのとき、常務の稲葉が慌てながら駆け込んできた。

「社長っ! 大変ですっ! 我が社の株が…」

「株がどうしたっ!」

「M&Aでっ!」

「M&Aだと…。確かに合意はした。合意したにはしたが、来月半ばのはずだぞっ!」

(しび)れを切らせたものと思われますっ!」

「誰がっ!」

「得川ホールディングスですっ!」

 平岡が徹夜した眠そうな赤い眼で叫んだ。

「…一刻を争いますっ! すぐに得川ホールディングスにお電話をっ!」

 稲葉が早川に忠言した。

「わ、分かった!!」

 かくして、早川商工は居下産業との契約内定を反故(ほご)にし、得川ホールディングスとの契約を締結する締結する運びとなったのである。

 このように、敵味方が入り乱れ、うっかり気を抜くことが出来ないのが世の中ということでしょう。^^


                   完

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