-33- 連絡
連絡をうっかり忘れた場合、話はややこしくなるだろう。^^
相手と12:20に会う約束で、平林は車を運転していた。そのとき平林の車のデジタルタイムは11:40を指していた。運転席からは当然、その時刻表示は見えていたから、平林は、まだ、40分はあるな…と、さほど気にも留めていなかった。つい、うっかりしたのである。ただそのうっかりしたことが迂闊にもミスを招いてしまった。、気に留めて連絡さえしていれば大ごとにはならなかったのだ。平林が連絡をうっかり忘れたのは、向かう途中に立ち寄った道の駅に原因があった。道の駅にに設けられた店のカウンターで美味いうどんを啜り、それでやめりゃいいものを、平林はそのあと美味なコーヒー[エスプレッソ]に吊られ、フラフラと時を費やしてしまったのである。それでも、『すみません。少し遅れますが…』とかなんとか、携帯で連絡しておけば問題は起きなかったのだ。相手は平林が時間になっても来ないものだから、イライラしていた。それは、連絡すらなかったからだ。
平林が、ようやく道の駅を出たのは12:10だった。いくらにんでも残り時間10分は、さすがにきつい。平林が目的地の温泉に着いたのは12:40で、コトはすでに終了して後の祭りだった。
「あの…警視監は?」
「またか…って言われながら、お帰りになりましたよ」
「いつ頃です?」
「ほん今。…と言いましても五分は経ってますかねぇ~」
「怒られてました?」
「いえ、警視監は怒っておられませんでした。ただ…」
「ただ、なんです?」
「うちの鯉が怒っとるだろうって…」
平林は警視監に頼まれた限定販売の鯉の餌を買い、12:10に出会って手渡すことになっていたのだ。うっかり馬鹿と言わざるを得ない。
その後どうなったのか? 私は聞いていないが、たぶん、またか…とは言われたように思う。
このように、うっかり連絡せず・・も常習となれば、相手に諦らめの免疫が出来るからか、怒られなくなるようです。^^
完




