表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/100

-22- 駅弁

 篠塚は急に駅弁が食べたくなり、そのことだけで、ぶらっと家を飛び出した。もちろん、お金だけはバッグに入れて、である。ところが、駅に着くと駅に出入りする人が、まるで物珍しい動物でも見るかのように篠塚に視線を向けるではないか。

『んっ!?』

 篠塚は(いぶか)しく思いながら、ふと自分の姿に視線を落とした。すると、出たのはいいが、寝起きのパジャマのままだったことに気づかされた。と同時に、篠塚は俄かに恥ずかしくなった。だが、別に悪さをしている訳ではないし裸でもない。篠塚は自分に言い聞かせるように目を閉じ、羞恥心を消そうとした。その甲斐あってか、十分ほど駅のベンチに座っていると羞恥心は少しづつ遠退いていった。篠塚は、『ファッションだっ、ファッションっ!!』と念じながらベンチを立った。駅弁を打っている駅までは数駅だった。

物食(ものぐい)まで往復一枚…」

「往復ですね? ¥860です…」

 駅員は事務的に篠塚に言った。篠塚はバッグから財布を取り出すと支払って改札を抜けた。

 しばらく電車を待ち、揺られながら篠塚は無事、物食駅に着いた。ところが、である。物食駅の構内で売られているはずの駅弁売り場は閉じられていた。[本日 休業]の小さな立札が掲示されていた。篠塚は、うっかりして駅弁屋の休日を確認していなかったのである。

 過去の記憶だけに頼るのは、うっかりミスを起こします。確認を忘れず注意したいものです。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ