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-20- 財布
おやっ? 財布がない…と、レジ前で気づいた黒川は一瞬、頭が真っ白になった。頭髪ではない。^^ 思考が停止したのである。白川はバッグの中をアチラコチラと弄った。だが、現金を入れた財布は、とうとう見つからなかった。
「あの…カード、使えます?」
白川はジャケットに忍ばせておいたカードを取り出して店員に示した。
「ああ、使えますよ…」
その言葉を聞いたとき、白川は、やれやれ助かった…心から思った。額には、ほんの少し、脂汗が滲んでいた。支払いを終えて店を出たとき、白川は財布とカードは別に持って出た方が無難だな…と思った。その頃、自宅に置き忘れられた財布は、『チェッ! うちのご主人、うっかりが多いな…』と小さく哂った。
確かに、買物時には、うっかり財布を忘れるということもありますから、支払いが出来る手段の多い方が無難ですね。^^
完




