-19- 一寸先
一寸先は闇・・とはよく言われる例えだ。星二つ差だからほぼ優勝…と思っていた若手力士が十四日目で怪我をして、ややこしい話になる・・ということもある。^^ 誰も怪我を予想して怪我をする力士はいない。一抹の夢が萎まれたファンも多いことだろう。--; まあこれも、一寸先が秘めた魔の力である。こういう魔は地獄へ送還して戴きたいものだ。^^
尾崎は焦っていた。取引先との重要な契約調印の時間が刻々と迫っていたのである。それにしても遅い列車だっ! …と、尾崎は地下鉄に揺られながら腕を見た。もう10分ほどしか契約調印までの時間は残っていなかった。尾崎は列車を飛行機のように飛ばしたい心境に駆られていた。調印するビルがある駅までは、どう考えても数十分が必要だった。尾崎は我慢できず携帯で先方へ連絡を入れた。
「どうも、月川電工の尾崎です。誠に勝手なお願いですが、当方の都合で一時間延ばして頂けないでしょうか…」
『はあ、そうですか…。ええ、結構ですよ。それじゃ~10:30ということで…』
「有難うございます。いま、そちらへ向かってますんで…」
『はい、了解しました。では…』
尾崎は、やれやれという安堵の気分で揺れる座席に座りながら目を閉じた。コトは朝から始まっていた。朝7:00に車で家を出たのだが、乗る地下鉄の駅までの道路が渋滞でストップしていたのである。フツゥ~なら半時間もかからない距離だった。尾崎は目を閉じながら、一寸先は闇だな…と思うでなく思った。
確かに、世の中は一寸先は闇ですね。念には念を入れて頑張りましょう。^^
完




