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-13- 連絡

 つい、うっかり連絡しなかったばかりに、物事が暗転することがある。

 大晦日の朝、松戸は正月前の門松がそろそろ届くだろう…と、玄関前で注文した業者が来るのを待っていた。ところが、小一時間が経とうと、いっこうに業者が来る気配はなかった。

「いったい、どうなってんだっ!!」

 いつもは温厚な松戸だったが、このときばかりは怒りが心頭に発し、思わず叫んだ。松戸は家へ入ると、ブツブツ怒りながら発注した業者に電話をかけた。

「松戸ですっ! 門松、今日と言ってましたよねっ!」

『いや、今年は息子が就職したから、サイズを少し大きめにするか迷ってるんで、また連絡するって言ってられましたよ…』

「ええっ! そんなこと言ってましたっ!」

『はあ、確かに言っとられましたよ…』

「本当にっ!?」

『本当も嘘もありゃ~しませんよ。松戸さん()は、毎年注文して下さるお得意さんなんでね、そのうち連絡が入るだろうって言ってたんですがね。連絡が、とうとうなかったもんで…』

 業者の言い訳を耳にしたとき、松戸は、しまった! うっかり連絡するのを忘れてた…と電話連絡しなかったことに初めて気づいた。

「あの…これからじゃダメでしょうね」

『いや、それは…。なにぶん、受注作りさせてもらってますんで、ご容赦願いやす…』

 それ以降、松戸家の門松は印刷された紙の門松に模様替えすることになった。小さなうっかりが、暗転させるのだから怖いものである。

 安くつく…とお考えになれば、逆に吉転かも知れませんよ、松戸さん。^^


                   完

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