-100- 去り際(ぎわ)
うっかり去り際を損なえば、ずぅ~~っと居続けなければならなくなり、どぉ~~しようもないことになる。^^
とある官庁の忘年会が終わった。毎年のことだから、二次会からのプロセスは大よそ職員達は把握していた。二次会→三次会と店が変わるに従い、一人去り、そしてまた一人去りと、去り際が分かっているのか、十数人いた職員は今や、二人になっていた。最後に残った一人、皴川も今去ろう今去ろう…と去り際のタイミングを推し量っていた。ところが、そうはさせじと課長の禿尾は皴川を傍から離さない。かなり酒癖が悪く、絡み酒の禿尾はふら付く手で皴川のコップにボトルのウイスキィーを注ぎ、水を入れ氷を摘まもうとした。。
「ウィ~ッ…き、君だけだ、皴川君っ!!」
「は、はい…」
「グッと飲めっ! 飲んだら、次の店へ行くぞぉ~~っ!!」
「いや、課長。僕はこの辺で…」
「なにぃ~~っ!! 貴様っ! 俺の命令が聞けないって言うのかっ!!」
「そんなことはないですっ! ないですが、もう夜も遅いですから…」
皺川も去り際は充分、分かっていた。分かってはいたがねタイミングを失ったのである。うっかりして他の職員達との去り際競争に負け、ドン尻になったのである。
このように、うっかり去り際を失すると、されなくなります。心当たりの方は、うっかりされないよう心して下さい。^^
完