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【カクヨムでリメイク中】異世界ダンジョンで世界を救え【こっちでもそのうち】  作者: ミジンコ


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第25話 正式稼働、王都ダンジョン

定期更新からずれてしまい、すみませんでした。

 王都にダンジョンが出現してから三日後、その知らせはヴルムリント王国と冒険者ギルドの連名で公式に発表された。


 謎の建造物、その正体がダンジョンだと知らされて真っ先に反応したのはやはり冒険者連中だった。彼らにとって新しいダンジョンの発見は、灼熱の砂漠でオアシスを見つけることに等しい。発表があった時点で国内にいた冒険者たちは、こぞってその足を王都ダンジョンへと向けた。

 

 またその流れは国内だけに留まらず、国外でもヴルムリント王国を目指して旅立つ冒険者の姿が見受けられた。

 

 それもそうだろう。新発見のダンジョンということは、それだけ中が探索されておらず未発見の財宝が手つかずで残っている可能性が高い。故にそれを手に入れようと、我先に冒険者たちが集まって来る訳だ。しかし、これにはデメリットも存在する。新発見のそのダンジョンから産出される財宝に大した価値が無かった場合、それは無駄足を踏んでしまうこととなるからだ。

 

 それもあってヴルムリント王国から少し離れたところで活動している冒険者たちの反応は、様子見と探索の大きく二つに分かれていた。


 ただ、そんな国外からの冒険者がやってくるまでにはまだ時間がある。それはヴルムリント王国で活動していた冒険者たちにとっては、大きなアドバンテージだ。それもあって発表があった初日にも関わらず、王都ダンジョンの前には多くの冒険者が集まっていた。





 ところ変わってダンジョンの中――


 ちょうど三人の冒険者パーティ―がダンジョン内を探索している最中だった。その胸の辺りには、以前有紗が森のホームダンジョンでローゼリア達に試したネックレスに似た装飾品が輝いていた。


「――なんじゃこりゃ……」


 彼らの目の前に広がるのは全体が落とし穴と化した通路だった。向こう岸までおおよそ10mはあり、とてもジャンプして飛び越えられる距離ではない。そして、ただ通路が無いだけではない。ランダムに配置された足場が塔のように何本も伸びている。

 

 恐らくは、あの石の足場を渡って向こう側まで行け、ということなのだろうが……三人組はこのような仕掛けを見るのは初めてだった。


 ゆえに最初見た時こそ驚きはしたものの、これぐらい何てことないと判断して適当な足場を選んで渡ろうとする。


 そして先頭の一人が一歩足を踏み下ろした時だった――


「うおっ!?」


「どうした!?」


 一歩踏み出したその足場が飴細工かのように脆く崩れた。


「きゅ、急に足場が崩れやがった!」


「なに!? まさかハズレってことか!?……てことはこの足場の中から外れを避けて、当たりだけを選んで進めってそういうことか……?」


 幸い、片足を付けただけだったのと岸がすぐそこにあったことで何とか落下せずに済んでいた。しかし一瞬身体を引くのが遅ければ、間違いなく落とし穴の底……落下したはずの石の足場が底に衝突した音が未だに聞こえてこない奈落の底へと落ちていただろう。


 三人組は向こう岸に見える『宝箱』を前に、こんな仕掛けがあったのかと歯噛みする。


「こんなところで諦められるかっ。一つ一つ確認していけば必ず正解のルートが見つかる! それを探すぞ!」


「「おうっ!」」


 そうして三人組は挑戦を開始したが――この空中足場の正解ルートはこのダンジョンを探索することでそのヒントを発見することが出来る。つまり、彼らがここに挑戦するには準備が足らなかったのだ。


 そしてもう一つ、彼らが知らないことがある。


 それはこの空中足場の正解ルートは――七日毎に変化する。


 果たして彼らの根気が折れず宝箱に辿り着くのが先か、それとも足場の正解ルートが変化し心を折られるのが先か…………



 また別の場所では二つの冒険者パーティ―が扉の前で揉めている姿があった。


「どけっ!! お前たちに任せておいたら何時まで経っても進めんわ!!」


「黙れっ!! お前たちこそ俺達が来る前からここで四苦八苦してただろうが!!」


 彼らが何をそんなに揉めているのか……それは扉の仕掛けが理由だった。


「そこはそっちに持っていくべきだろう!!」


「いいや、これはもうこの位置から動かさん! どう見たってこの場所がピッタリだろうが!!」


 その扉を開くためには、扉に埋め込まれたスライド式のパズルを解かなければならない。


 最初にこの場所に到着したパーティ―はそのパズルを解くことが出来ず、強引に開けようと扉に向かって攻撃をしているところにもう一つのパーティ―がやって来た。現状を見てこんな簡単な仕掛けも解けないのかと嘲笑して、いざ挑んでみたのだが……結果は御覧の通り。


 一つ言っておくと、このパズルは決して難しくはない。扉の上にある図形と同じ形をパズルの面で揃えるという部分には、両パーティ―ともに気づている。


 ただ不幸だったのは、この場に集まった二つのパーティーのどちらにも頭脳担当の人間がいなかったことだろうか。


 いわゆる、脳筋パーティ―としてそれなりに名を馳せている両パーティ―はこと戦闘に関しては野性的勘を発揮し驚異的な力を出す。しかしその優れた勘もパズルには反応しなかったようで、誰一人として正解に辿り着くことが出来ずにいた。


 かれこれ三十分近くそうしていると、更にそこに別のパーティ―がやってくる。


「あの……僕達が挑戦してみてもいいですか?」


「「ああんっ!?」」


「ひっ、あ、あの、一回だけでいいのでそれに挑戦させて欲しいな~……って?」


 口が悪く、頭に血が上っていても根は悪い冒険者たちではない。不満そうな顔はしながらも、後から来たパーティ―に扉の前を譲る。両隣に筋骨隆々の男達が立ち並ぶ中を、その年若い青年がリーダーらしき男女混合パーティーはびくびくしながら進んだ。


「だったらやって貰おうじゃないか!! 俺達がどれだけやっても解けなかったんだ!! お前みたいなひよっこに解けるとは思えねえけどな!!」


「まあ、あと少しで解けたんだがここは譲ってやろう! まあそう簡単に解けるなんて思わんことだな!! 十分して解けなかったら交代してもうらうぞ!!」


「あっ、解けました」


「「「なにぃ!!?」」」


 青年のパーティ―が自分達があれだけ苦戦したパズルをあっさり解いてしまったことに顎が外れそうな勢いで大口を開ける脳筋パーティ―の面々。


 このダンジョンではもちろん『力』は攻略の為の大切な要素だ。しかしそれは何も腕力に限ったことではない。頭の回転の速さというのもこのダンジョンでは立派な力に含まれるのだ。



 ダンジョンのあちこちでこれまでに類を見ない様式に苦戦する冒険者が多くいる中、その最前線を進む冒険者パーティ―は既に第三階層に到達していた。


 その冒険者パーティ―とは言わずもがな、グラン達。このダンジョンに最初に突入した冒険者パーティ―である。彼らのパーティ―にも頭脳担当、作戦参謀のような役割を持つ者がいた訳ではなかった。しかしそこは数多くのダンジョンを踏破してきた経験にものを言わせて、ここまで攻略の手を伸ばしていた。


 加えて、今日から加わった新しいメンバーがその能力を遺憾なく発揮することで、その攻略速度は昨日までと比べて格段に速くなっていた。


「正直、アンタが来てくれて助かったぜ『メリッサ』。まさかこのダンジョンがここまで厄介な性質をしてやがるとは思わなかったからな」


「お役に立てているようで良かったです。しかし、やはりこのようなダンジョンは珍しいですか?」


「ああ珍しいな。そもそもダンジョンに入ってるっていうのに、魔物との戦闘が一度も無いっていうのがどうかしてる。普通に考えりゃありえないことだ」


「確かに……ここまでに遭遇した魔物といえば最初にいたあのフェアリーぐらいなものですからね」


 メリッサ、そう呼ばれた彼女こそ今日からグラン達のパーティ―に臨時で加わった新メンバーである。


 王都の研究所にてダンジョンに関することを研究していた彼女は、目と鼻の先にそんなダンジョンが出現したと聞いていても経ってもいられずその調査に誰よりも早く手を上げた。そして同じく調査の為に集められたグラン達のパーティ―にくっ付いて、自分自身で内部調査をするにいたった次第だ。


「まあでも、このダンジョンが出来たばかりだったって部分がまだマシなところだな」


「それは何故ですか?」


「知っての通り、時間が経てばダンジョンは成長する。今はまだ階層一つ一つもそこまで広くなく、恐らく出現からの時間も考えれば全十階層も無いだろう。だがもしこれが今よりずっと大規模になってみろ? 考えすぎて頭痛がしてくる」


「私としては魔物が出てこないのは有難いですし、こういった罠はともすれば面白いと感じてしまいますね」


「はっ、随分と肝が据わってやがる。アンタ、学者よりも冒険者の方が向いてるんじゃないか?」


「いえいえ。それよりも向こうに宝箱が見えますけど、取りに行きますか?」


「当然だ、行くぞ!」


 宝箱があるということは、何かしら罠が仕掛けられている可能性が高い。それはここ以外のダンジョンでもそうだし、このダンジョンに来てからは特に強く感じていることだった。


 今グラン達がいる地点から宝箱までは一直線上であり、その間には何も障害らしきものは無い。しかしそれがかえって嵐の前の静けさのような気配を感じさせた。警戒しながら少しずつ宝箱の方へと向かったグラン達は――先頭を歩いていた仲間が出した合図に、足を止める。


「どうした?」


「壁に不自然な切れ目がありました。このまま進むとここから何かが飛びしてきそうですね」


「解除は出来そうか?」


「……いけそうです。少し時間をください」


「任せた」


 そこにしかけられた罠の解除を待っていると、暫くして終わったと報告する。


 しかしだからといって油断はせずに進んでいき――――無事に宝箱に辿り着くことが出来た。


 念のため、宝箱自体にも仕掛けが無いか調べるが特にそれらしいものは無く慎重に開ける。すると中には銅らしき赤茶けたコインがかなりの数と銀色のコインが数枚入れられていた。


 メリッサを迎えたグラン達はここに来るまでの道中、それなりの数の宝箱を発見しその中身を入手していた。

 

 そしてその全ての宝箱において、このコインが入っていた。むしろそれ以外には何も入っていなかったのである。


 これについては最初にフェアリーから説明がされていた。


 このダンジョンの宝箱にはその全てにたった今グラン達が手に入れたようなコインが入っている。むしろコイン以外には何も入っていないのである。当然ながらそれはこの世界で使われている貨幣という訳では無い。


 そしてこのコインには貴金属としての価値の他に、このダンジョンにおいてのみ有用な大きな価値があった。それこそが、有紗が作ったこのダンジョンの蘇生措置と並ぶほどの特異な点と言えるだろう。

 

 その価値とは――


「ざっと見た限り、銅が100枚に銀が3枚ってところですね。段々とイイ感じの収穫になってきやしたね?」


「ああ、それについては他のダンジョンと同じだな」


「しかし、こうしてランダムじゃなくて自分で欲しいアイテムと交換できるっていうのはいいですね! 欲しいアイテムを求めてダンジョン中を走り回る必要が無いのは革命でさあ!」


「そうだな」

 

 そう、このダンジョンでは宝箱から入手したコインを種類や枚数に応じて自由にアイテムと交換することが可能なのである。これは、一般的なダンジョンのように最初から宝箱の中にアイテムなりを仕込んでおく仕様とは大きく異なっていた。


「そういえば、皆さんは既に何かと交換したのですか? もう三日も潜っているからには、それなりの枚数のコインが集まったのでしょう?」


「一度だけ、一番安いポーションと交換したな」


「それは……他に気になる品が無かったから、ですか?」


「むしろその逆だな。気になるもんがあり過ぎてどれと交換したらいいのか迷っちまってるってだけだ。それにコレを集めれば集めるほど、良い物と交換できるようになるからな。折角なら一番高くて気になってる物と交換するかって思ってたところだ」


「なるほど。私はまだ交換所に立ち寄っていないので品物の種類などは分かりませんが、それほどですか……ちなみに、その交換所とはどのような場所なのですか?」


「「「…………」」」


「……?」

 

 メリッサの質問に何故か揃って微妙そうな顔を見せるグラン達。


「ああ~……外観は店、出店っぽい感じだな。隠れ家みたいな雰囲気があって俺は嫌いじゃなかった」


「ほうほう」


「そんで、スケルトンが店主をやってた」


「ほうほ――ん?」


「妙に人間臭い動きをするスケルトンで、コインを渡すと店の奥から別のスケルトンが出て来て店主のスケルトンと二、三言話すんだ。まあ声は出てなくてカタカタ鳴ってるだけなんだけどな」


「……」


「それで奥から出てきたスケルトンがまた奥に戻って、またこっちに出てくるとアイテムを持ってた。後は店主のスケルトンがそれを渡して終わりだったな」


 グランがそれを話し終える頃には、メリッサも彼らと同じ何とも言えない微妙な表情になっていた。


「……何というか、悉くこちらの斜め上を行くダンジョンですね」


「違いない。このダンジョンを作ったダンジョンマスターがいるなら、ソイツは相当な変わり者かある種の天才だぜ」


 グラン達もこれまでとは違う、自分達の経験が役立たない場面も多いダンジョンに困惑している様子だった。


 そうして多くの混乱や戸惑いを生みながらも、有紗の王都ダンジョンは営業を開始した。その一般的なダンジョンとの違いに挑戦しに来た冒険者は苦戦を強いられることとなる。しかし死んでも復活が保証されていること、そしてラインナップの中であれば好きなアイテムとコインを交換できるという物珍しい仕様に熱くなる冒険者も多数存在していた。

 

 ちなみに復活については、ダンジョン内のとある場所で高所から落下した冒険者が死と同時にダンジョンの外の堀に放り出されたことでその存在が証明された。その冒険者はフェアリーの言葉にあったように、かなり衰弱した状態でけれど身体には傷は無く命には別条ない状態だったという。

 

 そして王都にダンジョンが出現してから、おおよそ一週間と少し経った頃…… 


 ダンジョンにて、ある事件が起こった。

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