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異世界恋愛+α

今日から護衛と言われても。~元婚約者に、騎士として仕えることになりました。

「クラリス・イングラル公爵令嬢! きみとの婚約は今日を限りで破棄する!!」


 第一王子アルヴィン・ルクセルの突然の宣言は、誰をも驚かせるものだった。





(もーうちょっと早く、"俺"が出てきてたら違ったんだろうけどなぁ)



「ここがお前の部屋だ」


 ぶっきらぼうに示されたのは、簡素なベッドがぽつりとある、手狭な個室。

 公爵家に従事する、騎士寮の一室だ。


「あ、はい、案内ありがとうございます……」


 お礼を言ったら、憎々し気に睨まれた。


「今更殊勝な態度をとってみせたところで、この屋敷の者は誰一人お前を許さんぞ」


 明確な敵意と警告。


「婚約破棄でクラリスお嬢様を傷つけ、ありもしない罪をでっちあげようとしたこと、皆が恨んでいる。こうして公正な(さば)きがなされたこと、神のご意思だ。いち騎士として、今後の人生を励むことだな」


 俺を案内してくれた強面(こわもて)の騎士は、そう言い捨てると、さっさと立ち去って行った。


(めっちゃ……憎まれてるし)


 それも当然。


 近年、世間でよく聞く"婚約破棄"。


 軽率な王子が"真実の愛"とのたまって、浮気。

 邪魔になった婚約相手を身勝手に断罪する。


 けれども、いろいろあって立場逆転。

 王子は"ざまぁ"されて厳罰を受ける、という騒ぎが大陸各国で蔓延していたが。


 溜息を落としながら、部屋に袋ひとつの荷物を置く。


(……よりにもよって"俺"まで! "ざまぁ"されるなんて!!)


 頭を抱えるように、小さなベッドに倒れ込んだ。



 アルヴィン・ルクセル。

 ルクセル王国の第一王子として生を受けた俺ことアルヴィンは、結婚について横暴を押し通そうとした結果、王籍から抜かれた。


 現在の身分は、領地もない騎士位。

 ルクセルを名乗ることは許されず、働かないと食べてけない。


 ふった婚約者、クラリス・イングラル公爵令嬢の家にお情けで雇われ、住み込みの護衛騎士として勤めることになった。


 あまりの境遇変化に耐えきれなかったのか、王子として育ったアルヴィンはプッツン。

 ()()()()()()()()()()()()、かわりに表に出たのが"()"。


 新しく生まれた人格。


 せめて"ざまぁ"される前ならば!

 いやいや、婚約破棄する前ならば!!


 クラリス嬢との関係修復に努めることも出来たろうに、今となっては全てが遅い。


 俺は明日から、自分(アルヴィン)が捨てた令嬢(クラリス)を主人と(あが)め、仕えることになる。


 そこに抵抗があるかと言われたら、まあ……たぶん本家アルヴィンほどはない。


 けれどアルヴィンにとって、イングラル邸は敵地(アウェイ)。 

 自業自得っちゃその通りで、因果応報と言えば誰も恨めないんだけど。


(俺は"もうひとりの俺"に文句が言いたいぞ……)


 何の不満があって、お前はクラリス嬢を(おとし)めたんだ!

 超絶美人で、非の打ちどころのない姫君なのに!


 残念ながら、封じられた意識と一緒に、その辺の動機まで消えている。

 固く閉じられ、覗けない記憶。


 詳しいことがわからないまま、奉公の身とは情けない。


 しかも浮気相手の娘とか、顔すらちゃんと思い出せない上に、いつの間にか逃げられてた。


 ますます「何やってんだ?」感が強い。


 公爵家預かりなのは、アルヴィンに対し効果的に屈辱を与えることが出来ると共に、元王族の俺を厳重監視出来るという、無駄のない措置だと思う。

 さすがだね、イングラル公爵!


(じわじわといたぶられたら、イヤだなぁ)


 前途多難だ。


(とりあえず今日は寝て、明日からの絶望に備えよう)



 そう覚悟したのが、三か月前。






 まさか、こうなるとは。




「おーい、アル! 今日の昼飯に、お前の好きな豆スープがあったぞ」

「えっ、ほんと? まだあるかな?」


「あるある。食堂のおばちゃんも、お前用にって()けててくれてるはずだし、早く行ってこい」

「おー、ありがとうー!」


 勤務中、交代で食事をとる。

 テーブルに着くと、「アル、休憩か?」と言いながら、同僚たちが寄ってきた。


 なぜ周囲がこんなに好意的なのか。それは。


「でもお前も大変だなぁ。ダメ王子の尻拭いで身代わりなんて」


 出た、定番の話題。

 

「いや俺、本人……」


「いいっていいって、無理しなくても。バレたらヤバいんだろ、皆言わないよ。俺達としては使えない元王子より、腕の立つお前のほうが嬉しいし」


 いつの間にか同じ卓についてた仲間たちが、うんうんと頷く。


 この現象、俺の()が、あまりに噂のアルヴィン王子とかけ離れていたため、遠方から連れてこられた"そっくりさん"だと誤解されているのだが。


(王子としての俺への偏見がヒドイ……!)


 アルヴィンの代わりに就労している赤の他人(・・・・)と認識され、イングラル邸の中では"公然の秘密"扱いされてしまっている。


 気づくと愛称呼びされてるし、なんならアルヴィン王子に迷惑をかけられた被害者として、同情さえされている。

 本人だと訴えても、「そういうことにしておいてやろう」という返しは一体どうなんだ?


(で、でも、自分で言うのもなんだけど、俺は母上に似て美形だし、にじみ出る気品とか、そういうのがあったはずなのに……!)


 中身(ソフト)が俺だと、外見(ハード)の美貌が悲しいほど無効化されているということになる。


 一時はどうなることかと思ったから、優しくして貰えるのは助かる。が、複雑だ。

 俺だって、王子様生まれの王子様育ちなのに。


(やっぱあれか。初日に押し付けられた倉庫いっぱいの武具磨きを、鼻歌まじりにやったのがマズかったか。悲壮感が足りなかったのかも知れない)


 まったく釈然としないが、大盛りの豆スープは美味(うま)かった。









 一体何が起こったのか。わたくしはまだ、事態について行けていない。


 わたくしの後ろには、常にアルヴィン様が控えてくださっている。

 長年の婚約者だったアルヴィン様が、わたくしの護衛騎士となったからだ。


 わたくしとの婚約を破棄し、どこからともなく連れてきた平民の娘を妃とすると言い張って、"王族の自覚無し"と王家を追われた。それと同時に、相手の娘も消えた。まるで、初めからいなかったみたいに、煙のように。


 幻めいた一件で、けれどもアルヴィン様が王子のご身分を失われたのは、現実。


 婚約破棄を告げられた時、ショックよりも不思議が先立った。


 アルヴィン様とお会いする機会は、滅多になく。

 そんなアルヴィン様が、急にわたくしを呼び出し、大勢の前で(ののし)って声高に非難した。


 そのすぐ後の、ご自身の凋落。

 仕組まれたような急展開だった。



 アルヴィン様は公式行事にさえろくに参加されない勝手な王子と目されているが、違う。

 冷たく、周りに無関心と言われているけれど、本当はあたたかく優しいお方。


 わたくしは知っている。

 王宮を訪れた際、風に飛んだ洗濯ものを、探しに来る下女が見つけやすいよう、木から降ろしてあげる姿を見た。それに他にも……。貴方様はいつも、そっと気遣われている。


 そんな貴方様をお慕いしていたし、その気持ちは今も変わらない。


 わたくしの思い違いでなければ、アルヴィン様もわたくしを憎からず思ってくださっていたはずなのに……。


 立場が変わってしまった今、わたくしは自分の気持ちを隠さなくてはならなくなった。



(王子ではなくなったアルヴィン様と、わたくしが結ばれる未来は、このままなくなってしまうのでしょうか?)



 今のアルヴィン様は、王宮におられた頃とまるで違うお姿をお見せになられている。

 明るく伸びやかな笑顔と人あたりで、あっという間に周囲を魅了してしまった。


 屋敷の者たちは、"よく似た別人が身代わりに来た"と捉えているようだけれど、ずっとアルヴィン様を見ていた私にはわかる。

 間違いなく、ご本人。

 大体、十八の若さで、ここまで腕が立つ騎士なんて、おいそれといるわけがない。密かに剣に励まれていたアルヴィン様でこそ。


 アルヴィン様、わたくしにはわかりません。

 婚約破棄は貴方様のご本心?


 父であるイングラル公爵に相談したら、「しばらく静観するように」というお返事だった。

 我が家に泥を塗った婚約破棄にも関わらず、アルヴィン様を引き取った父様。


 もし何か思惑があるのならば。

 わたくしにも相談して欲しかった。

 

 クラリスにはそれが、寂しゅうございます──。





 

「リロイ殿下がいらっしゃいました」


 召使が部屋に告げに来たことで、わたくしの思考は中断された。


 また?


 第二王子のリロイ殿下は、この数か月。アルヴィン様との婚約が無くなった私の元に、何度も通っては求婚を繰り返しておられた。


 理由はわかっている。


 第一王子アルヴィン様が王位継承権を剥奪されたとはいえ、第二王子リロイ殿下の立太子はまだ。

 アルヴィン様がいつ許されて、王宮に返り咲くかわからない。


 リロイ殿下はわたくしと婚姻を結ぶことで、公爵家の後ろ盾を得て、確固たる地盤を築きたいのだ。

「そんな気持ちになれない」とわたくしがお断りしても、お構いなしにやってくる。こちらの意向など、(はか)る素振りすらない。


「お部屋にお通ししてもよろしいでしょうか?」


「いいえ。お庭でお会いします。すぐに参りますから、ガゼボで少しお待ちいただいて」



 若葉の中、庭園の椅子に腰かけ、リロイ殿下がカップを口に運ぶ。

 わたくしはリロイ殿下に対して座す。


 アルヴィン様は、もう一人の騎士ニールと並んで、私の後ろに立ってらっしゃる。


 これだけでもアルヴィン様にはお辛いことでしょうに、リロイ殿下と来たら。


 わざと物を落とし、アルヴィン様に拾えと命じたり、言い返せないアルヴィン様に見下すような視線と暴言を投げかける。


 なんという幼稚な行為。

 何が、「おい、そこのお前」よ。兄君に対して!


 元々、アルヴィン様とリロイ殿下は母親が違う。


 他界されたご正妃の息子であるアルヴィン様に対し、リロイ殿下は、アルヴィン様の母上亡き後、側妃から正妃に昇格した、エブリン妃の御子。


 エブリン妃は宮廷での力を得たものの、アルヴィン様が第一王子としてご健在だったから、リロイ殿下を王太子に押し切ることが出来ないでいた。


 そんな渦中で、エブリン妃によくよくご教育されてきたリロイ殿下の、アルヴィン様に対する敵愾心は大きい。

 アルヴィン様が失墜された今、ここぞとばかりに身分差を見せつけてくる。


 リロイ殿下の振舞(ふるま)いに、憤慨していた時だった。



「では、次の狩猟祭にはぜひお越しください、クラリス嬢。あなたの騎士たちも連れて。ですが、誰にも負けない獲物を私が仕留めましたならば、その時こそ求婚をお受けくださいますよう」


「なっ……!」


 一方的に条件と招待を押し付けて、リロイ殿下は帰って行ったのだった。





 ◇





 俺はイングラル公爵家の騎士として、王家主催の狩猟祭に駆り出されていた。

 今日はクラリス嬢のために獲物を仕留め、成果を捧げることになっている。


 主要な貴族家が揃い、各所に豪華な幕舎(テント)が張られ、高らかなラッパに人が(つど)った。開幕式だ。


 参加経験はあるものの、王室ではなく公爵家の、しかも平騎士として混ざるのは初めてで、他貴族からの視線と小声が煩わしい。


(しかしリロイが絡んで来ない分には、清々しいな)


 クラリス嬢は公爵家の総意として、リロイの求婚を正式に断った。

 狩りの結果がどうであろうと、第二王子との婚約や結婚はないと突っぱねたらしい。

 おかげでリロイが寄り付かない。


 表向きは美辞麗句の辞退。けれど言葉裏で、"第一王子に傷つけられたから、王家を信用出来ない"と、かなり際どく匂わせて、押し切ったらしい。


 なんかホントごめん。アルヴィンが婚約破棄なんかして。



 俺の耳まで聞こえてきたのは、その時従事していた同僚騎士から。イングラル公爵の言い(よう)は、エブリン妃を(あお)ってるようにすら見えたらしい。


 召使も噂していた。


「そんな情報ガバガバでいいのか公爵家」と思うけど、俺の場合、妙に親しまれているらしく、聞いてない話まで仲間内から入ってくる。


 いつの間にか公爵家の家人は、ほぼ顔見知り。


 そう。

 だから公爵家のテントに、外部の人間が出入りすると、すぐわかる。


 いま公爵家の女性用テントから出てきたメイドは、見ない顔だ。


(今って、テントの中は誰もいないはずだよな)


 クラリス嬢は、俺を含めた騎士を従え、国王の話を聞いている。

 大半の人間が広場で開幕式に並ぶ中、伝言ということもないだろうに。


(なんだ……?)


 不審を伝えようとした時だった。


 クラリス嬢が、騎士たちに向き直る。

 開会宣言が終わり、いざ狩場に入る前の激励のためだ。



「狩猟祭に参加する、わたくしの騎士たちへ。(みな)の活躍と、怪我のないよう祈って、タッセルを作りました」


 主人自ら作ったという剣護りに、騎士たちから歓声が上がる。

 イングラル家の慣習かと思いきや、これまでにない異例のことらしい。


 クラリス嬢が凛とした姿勢で、それぞれの騎士へひとつずつタッセルを渡していく。

 俺の番。彼女はそっと囁いた。


「押し付けになっているようでしたら、捨ててください」


(!?)


 束の間の交差で。


 激しく胸が痛んだ理由を知りたい。


 指触れることなくクラリス嬢が離れた一瞬、こんなに苦しい訳が分からない。


 視線は絡まなかったのに。

 切なさだけが募った。


(アルヴィン、お前どういう感情なんだよ、これ。まるで恋慕だぞ?)


"お前から婚約破棄したんだろ?"

 

 引きこもってる意識からの答えはない。


 厄介ごとばかり押し付けられたようで、過去の自分(アルヴィン)に腹が立つけど、まずは仕事だ。


 クラリス嬢のそばに残る騎士に、"見慣れない女がテントに出入りしていたから気を付けるよう"言付けて、指定された狩場に向かう。


 森は豊かだった。

 勢子(せこ)と合わせて鹿を仕留め、次はもっと大きな獲物をと息()いた時、ふいに影が落ちた。


 見上げると、天を覆う怪鳥が頭上を(すべ)り、テントの設営地へと向かっている。


「嘘だろ……!」


 即座に広場から、悲鳴が上がる。

 胸騒ぎに突き動かされ、走った先で見たのは、公爵家のテントに鉤爪を向けて舞い降りる、怪鳥。


 そしてテント前には、クラリス嬢。


 考えるより先に、身体が動いていた。

 怪鳥がクラリス嬢を掴んだ、その脚に躊躇なく飛びつく。


 多くの叫び声を後ろに、運び上げられる浮遊感。

 青ざめたクラリス嬢と目が合った。


(必ず守る……!!)


 ほんの数度の羽ばたきで、すでに狩場の森の上。 

 これ以上空高くなるより先に、怪鳥の爪を開かせないと。


 手に持つ剣をなんとか突き立てれば、嫌がった怪鳥に思い切り脚を振られた。

 投げ出されるクラリス嬢をかばう様に抱き留め、そのまま茂った枝葉に飛び込む。


 即座に防御魔法を張ったけど!


 もう何に何度ぶつかったかわからない!


 木々の間を落下し、地表に転がり落ちた。


「っ痛ぅ……」


 打ったし。


 あちこち痛いが。


「クラリス嬢?!」


 腕の中の彼女が、無傷かどうかのほうが気になった。

 目立つような外傷はなく、ほっとする。


 と、クラリス嬢も状況に気づくなり、俺を見て声を(あら)げた。


「なんという無茶をなさるのです! もし御身に何かあったらどうするおつもりで──」


 そこまで言って気づいたんだろう。

 彼女は、はっと言葉を飲む。


 いまのは、"自分の護衛騎士"に言うセリフじゃないって。

 完全に数か月前の、王子としての俺に向けた発言だ。


 ゆっくりと、俺は言った。

 

「今の俺はあなたの護衛騎士ですから、優先されるのはあなたの無事だけです。……お怪我はありませんか?」


「……ありがとうございます。(かば)ってくださったおかげで、幸いにもどこも……」


 なぜか、沈黙が降り。


 細い声が、紡がれる。



「…………だから追ってくださったのですか? 職分だから」


 彼女が尋ねた。



「違……う……」



 傷ついたように顔をそらしたクラリス嬢を追って、引き出されるように言葉がこぼれる。


「ずっと守りたかった。なのに、俺と関わると……危険な目に遭わせるから……」



 "アルヴィン"の気持ちが(にじ)みだしてくる。

 クラリス嬢が目を見開いてるが、混乱してるのは"俺"も同じで。


(な、なんだ? え、そうなの?)


 戸惑うと同時に思う。


(もしかしてそれで遠ざけた? だがそれなら。いまクラリス嬢が襲われたのは……、偶然か?)


 怪鳥なんだ。魔獣が故意に個人を狙うことは考えにくい。


 でも。

 そもそも国には結界が張られている。

 狩猟大会の会場がいくら国境近い場所だったとはいえ、魔獣が侵入したこと自体がおかしい。


「──まさか、結界が破れてる?」


 ぽそりと落ちた自分の声に、背筋が凍った。

 

「結界が消えたら、大変なことになる。すぐに張り直さないと!」




 ルクセル王国の地は、魔物が湧く裂け谷に近く、その侵略を受けやすい場所に位置していた。

 王家に伝わる宝剣で結界を維持し、年に一度、新年に、脆くなった結界を張り直す儀式が執り行われる。


 国土を守ると同時に、王家の正統性を示すためだが、常からも宝剣は王の移動に伴われ、結界に何かあれば即座に修復されることになっている。


 つまり国王が来ているこの狩場に宝剣はあり、綻びがあればすぐに結界が直されるはずなのに。



 空に舞う怪鳥たちの数が増えてきている。



「何かあったのかもしれない、です。皆も心配しているでしょうし、急ぎテントに戻らないと。()()()()()()()、歩けそうですか?」


「え、ええ」


 返事とは裏腹に、がくがくと震えている彼女の足は、力が入りそうには見えない。

 怪鳥に掴まれ、空からダイブしたなんて、ご令嬢には衝撃体験だったろう。


「失礼しても?」


 了承を得て横抱きすると、真っ赤になって顔を伏せられ、くすぐるような柔らかな髪からは、甘い香りが届いた。


(やばい。意識してしまう。ゼロ距離反対。密接した肌から脈打つ鼓動が伝わってくるのとか、反則だから)


 俺はもう確信してた。


 ──"アルヴィン"は、クラリス嬢のことが好きだ。──


「もう少し、あなたのご真意をお聞かせいただきたかった」


 小さく、クラリス嬢が呟いた。


 そうだね。それは俺も知りたい。

 意識の底をこじ開けてでも、本家アルヴィンに問い(ただ)したい気持ちだよ。


 複雑な恋心と謎を、残さないで欲しかった。









 俺の胸中もだけど、現場も混迷を極めていた。


 クラリス嬢と戻った設営地は、地上から侵入しようとする魔獣を押し留める騎士たち、逃走する貴族たち。入り乱れて騒然とした場になっていた。


「クラリスお嬢様! アル! 無事だったんだな。閣下が言った通りだ。良かった!」


 公爵家の騎士ニールが、俺たちを見て声をあげた。


「公爵がなんて?」

「アルが行ったなら、任せておいて大丈夫だろうって。信頼されてるな?」


 んな馬鹿な。追っかけてよ、そこは。


 クラリス嬢を侍女や従者たちに預けながら、ニールに尋ねる。


「どうなってるんだ? どうしてすぐ宝剣の結界を発動させない?」


 結界を再起動しないと、魔獣が国に雪崩(なだ)れ込む。


「それなんだが、陛下が怪我をされて、リロイ殿下が何度も挑まれているが、宝剣が応えないらしい」


「なんで?」

「知らん!」


 俺の疑問に、端的な返事が返る。


 新年に結界を張るのは国王だが、継承権を持つ王子として、俺もリロイも手順は叩き込まれていた。

 実践はまだだったけど、何か不具合?

 このまま結界が戻らないと、待っているのは阿鼻叫喚の地獄だ。


 貴族家テント付近の避難と防衛指示は、イングラル騎士団の団長が担っていた。現、俺の上司。

 王家や他の騎士団は、魔獣の撃退に当たっているのだろう。


「イングラル公爵はどこに?」


 ニールに問うと、「王の元だ」と言う。


「様子を見てくる! 団長に言っといて!」


「ええっ? あ、ああ」


 そのまま王家の幕舎(テント)へと走った。

 人だかりを割って、中央、リロイと宝剣までたどり着けたのは、俺に気づいた周囲が道を開けたからだ。


 何度目かのトライを見たが、リロイの手順にミスはない。

 けれども宝剣は沈黙している。


「なぜ、急に結界が消えたんです?」

 

「! アルヴィンでん……、アルヴィンどの」


 律儀に言い直したのは、近くにいた宰相。


「宝剣に血がついておりました。何者かが、(けが)れた獣の血をかけたようです」


「!!」


 結界が消えた理由を理解する。


 神聖な宝剣に無礼を働いたから、怒ったんだ。

 ルクセルの民なら、誰でも知っていること。自国の者がするはずないが、宝剣に近づける人間は限られている。


(いったい誰が──) 


 視線を巡らせると、リロイを見守っていたイングラル公爵が俺に気づいた。


 バチッと視線が合い、反射的にドキリとする。

(ヤバイ。持ち場を離れてここ来た。叱られるか?)


 公爵から、咎める言葉は出なかった。代わりに「リロイ殿下、交代を!」と彼が放った一言で、視線がこっちに集中した。


 カッと顔を赤らめたリロイが、俺を睨む。


「何しに来た! 宝剣に触れれるのは王族だけだ! お前の出る幕はない!」


 それに答えたのは俺ではなく、公爵。


「言ってる場合ですか! 早く結界を張り直さないと、魔獣が内部まで入り込み、罪なき民に被害が出ることになります。アルヴィン殿は王籍こそ離れたが、間違いなく王家の血を引いている!」


(言い方っ)


 まるで、リロイの血は違うとでも言うような表現に、辺りの空気がざわつく。宝剣が反応しないこの場でそれは、大きな印象を残した。


 とはいえ、公爵の言う通り、リロイが結界を張り直せないなら、俺がやってみるしかない。

 変な意地や確執で、被害が拡大することは避けるべきだ。


 渋るリロイは家臣らに押し切られ、宝剣がこちらに回ってきた。


 手元の宝剣から、怒り狂う波動が伝わってくる。


(うわ~~。これを(なだ)めるのか)


 深く息を吸って。


 俺は宝剣に集中した。




 荒れ狂う神気の世界に手早く意識をつなぐ(アクセス)すると、(もつ)れた意志を慎重に(ほど)いていく。

 精神力と魔力を、がっつり奪われていくのを感じる。


 宝剣が心の中を探ってきて、ふいに、深層を覆う壁を()ぎ取られた。

 そこで顔を上げてこちらを見た"意識"は──。


(!! アルヴィン!)


 封じられていた"もうひとりの俺"。



「…………っつ!」



 同時に流れ込んでくる記憶が、欠けていたピースを埋めていく。



 母が死に、俺は幼いまま宮廷に取り残された。

 エブリン妃とリロイは我が物顔で、宮廷を牛耳っていく。


 俺はどんどん締め出され、誰に誘われることもなく、部屋に引きこもることが多くなった。


 たまに俺の味方をしようとしてくれた人は、エブリン妃に追いやられたり、(むご)い目に遭わされる。

 ますます、人と話さなくなった。


 俺が出ないのを良いことに、"冷酷でワガママな王子"という噂を流された。


 "孤高の王子"なんかじゃない。孤立させられただけだ。


 けれども子どもだった俺には、状況を変える力がなかった。


 "強いほうが残れば良い"という方針の元、父である国王は何の介入もしなかった。


 そんな折、イングラル公爵家と王家との結びつきを強めるために、縁談が持ち上がった。


 婚約は、どちらの王子でも良い。

 

 エブリン妃は目を輝かせたが、イングラル公爵が選んだのは、俺だった。

 クラリス嬢との逢瀬は、俺にとって初めての幸せで、これ以上ない大切な時間となった。


 エブリン妃は怒りに震え、婚約相手であるクラリス嬢にまで嫌がらせを始めた。


 クラリス嬢と関わるのはダメだ。彼女が攻撃される。

 俺はクラリス嬢と会う時間を極力減らすことにした。


 けれどもイングラル公爵は、意思を変えない。


 公爵家の後ろ盾を得て、俺の力が増すことを阻止するため、エブリン妃はクラリス嬢に危害まで加えようとし始めた。


 怪我なり、死なり。

 結婚出来ない身体にしてしまえば良い。


 エブリン妃のやり方には、容赦がない。


 彼女が本格的に狙われ始めた。

 俺さえ身を引けば、クラリス嬢が危険に晒されることはない。


 俺は公爵に、婚約の解消を持ちかけ、公爵は、真剣な目で俺に問うた。


「アルヴィン殿下、いつまで息を潜めておられるつもりです。あなたはもう、無力な子どもではないはずだ。状況を変えるため、自ら動くことが出来るはず」


 一か八かに賭けて。

 俺と公爵は、示し合わせることにした。


 俺が失態をおかすことで、大きく隙を作り、エブリン妃の行動を大胆にさせてボロを出させる!


 イングラル公爵家の"影"を浮気相手役に貸して貰い、公衆の面前で、俺は非のない相手に婚約破棄を叫んだ。



 目立たぬように、騒がぬように。隠れるように、生きてきた。


 ああ、そうか。"俺"は。


 新しく生まれた人格なんかじゃない。ずっと押し殺してきた、"感情"。


 "生きるための、強い意思"。

 "愛する人を守りたいという、願い"。


 つまり本来の、"俺自身"──!!




(結界が戻った!)




 宝剣からの確かな手ごたえと同時に。

 俺の視界は暗転した。









(……ベッドが広い……)


 あと、ふかふか。


 気づいた俺が最初に思ったことがそれ。

 つまりここは、公爵邸の騎士寮じゃなくて……。


 首を上げて、納得する。


 王城の、俺が王子やってた時の部屋だ。


(でもなんでここに?)


 狩猟祭で、壊れた結界を張り直したことまでは覚えてる。

 外の穏やかさから察するに、魔獣は食い止められたんだろう。

 

 つまり、なんやかんやあってあの場は収束し、意識不明な俺がここに運び込まれた、と。

 公爵家じゃないのは、結界を直した立役者だから王城で治療する、みたいな流れかな。


(ちゃんと有給扱いになってるんだろうな?)


 三か月の試用期間を過ぎて、やっと得た有給。

 吹けば飛ぶような微々たる日数だけど。


(あれ? 俺、何日寝てたんだ?)


 有給全部消えてたら泣く、そう思った時だった。


「お気がつかれましたか? この一週間、ずっと案じておりました」


 すごいな。雇用主自らお見舞いだよ。


 いや待って、一週間?

 有給、消えたどころかマイナスじゃん!!


 内心の焦りを隠しながら、ベッド横に来た公爵に着座を勧めて尋ねる。


「イングラル公爵……。ああ、ええと。どうなりました?」


「──私に敬語は不要です。アルヴィン殿下。殿下の王籍は、無事復権されました。エブリン妃、リロイ殿下は現在、取り調べ中です」



 本当に、どういうことになった???




 目を丸くする俺に、公爵は狩猟祭以降の出来事を搔い摘んで話してくれることになった。


「まず、宝剣の結界を破ったのは、エブリン妃でした」


「なんっ!!」


「そのまま聞いてください。中断されると長くなるので」


「…………はい」


 彼女は俺が王籍から落ちた機会に、公爵家に自分の息子、リロイとの婚約を打診した。


 リロイが再三求婚に訪れていたことは俺も見てる。

 でも、クラリス嬢もイングラル公爵もその求婚を跳ねのけた。


 "これまでアルヴィンが選ばれていたのは、彼が王位継承第一位だったから"。


 そう判断していたエブリン妃は、公爵家の拒否にプライドを傷つけられ、次に"味方にならぬのなら障害でしかない"と判断。


 クラリス嬢の、排除を決めた。


「な──!!」


「殿下」


「…………はい」


 狩猟祭で公爵家のテントに、魔獣寄せのアイテムを持ち込んだ。それが、俺が見た怪しいメイドだったらしい。


(っつ、俺! 目撃していながら!)


 事故を装い、クラリス嬢が魔獣に害されれば良し。

 そして(あるじ)を守り切れなかった責任で、護衛騎士、つまり俺まで処分出来ればさらに重畳。


 肝心の魔獣を呼び寄せるためには、国を覆う結界が邪魔である。

 解除しても、目的を達したすぐ後に張り直せば大丈夫。


 エブリン妃は、宝剣の結界を壊すため、狩猟祭で殺された獣の血を剣に掛けることにした。


 確かに、厳重に守られる宝剣に、ただ(びと)はおいそれと近づけない。けれど王妃なら別だ。

 人目を盗んで、彼女は宝剣に血を掛ける。


 果たして宝剣は激怒。

 

 けれどここで、エブリン妃の思惑が少しずれた。


 設営地に入り込んだ魔獣により、国王が負傷。

 結界を張り直す役が、リロイに回ってきた。


 "後継者として見せ場になる"と、エブリン妃やリロイが喜んだのも束の間。


 宝剣は、リロイが自分に無礼を働いた犯人(エブリン妃)の血を引くと知っていた。


 さらにリロイの下心を見抜いたかのように、宝剣は(がん)としてリロイに(こた)えなかった。


 そこに俺が訪れ、宝剣を説き伏せ、結界を戻した──。



「なるほど。それで?」


「今回、アルヴィン殿下が国を守った功績と、リロイ殿下の血筋に懸念ありと見なされた結果、王家の跡取りとしてアルヴィン殿下の復帰が叫ばれまして、第一王子として戻されました」


 …………。いいんか、そんなんで。


 だが、リロイが宝剣を使えないとなると、宝剣が使える次代の王族が必要だ。


 "養子"を考えるにしても、直系の俺が適任。


 俺を養子に迎える、というわけわからん手間よりも、一度削った名前をそのまま戻しちゃえ、ということで、家系図から焼き消された俺の名前が、再び書き加えられたらしい。

 婚約破棄騒動も、都合よく内容を換えたとか。


 俺の意識が飛んでる間、公爵は相当動いたようだ。

 "機会を得た方が、エブリン妃を叩こう"という話になってたけど、王籍復帰の件では大きな借りが出来てしまった。



「リロイは国王の(たね)だよな?」


「さあ? ですが、要らぬ嫌疑を自ら招いたのはエブリン妃です。この際、徹底的に調べられれば良いかと。リロイ殿下もいろいろなさっていたようですね。国財の私的利用など、エブリン妃と一緒に洗われています」


「この件に関して、陛下は何と?」


「怪我の原因を作ったのがエブリン妃でしたので、お怒りですし、リロイ殿下の出自もお疑いです」


「リロイの性格上、耐えがたい話だろうな」


「はい。リロイ殿下が荒れれば荒れるほど、周囲の目は冷ややかになっています」


「そっか。一人でも多く、(くみ)する者が減れば良い」


 今後再起、出来ないように。


「そして陛下ですが、思いのほかお怪我が酷く、以前通り国政に復帰するのは難しいかと思われます」


 うっわ。


 まあ、"あの人"の方針は、"強いものが残れば良い"だ。

 自分の方針に自ら反するのは、本意じゃないだろう。


 弱ったなら、表舞台から降りるしかないな。うん。

 安心して欲しい。そのために控えてるのが"王子"だ。



「──いろいろ、明るみになれば良いな」


「御意」


 静かに、公爵が応じた。


 そう。


 母上の()()()()も、暴かれたらいい。

 きっと公爵は、それも含めて俺に力を貸してくれたんだから。


 二十年前。イングラル公爵の美しい恋人が、国王に召し上げられた。


 "弱いもの"として宮廷で虐げられるかつての恋人の姿に、どれだけ歯噛みしたことだろう。


 イングラル公爵の秘めた想い。


 互いに知らないことになっている、これが本当の、"公然の秘密"だ。

 護衛騎士の俺がアルヴィン王子の身代わりだという、デタラメ話じゃなくてな。


(ま、あれはあれで、エブリン妃の刺客を攪乱(かくらん)出来たらしいけど)


 俺は地味に傷ついたぞ……。



 王子の地位を失って無防備になった俺を、守りの固いイングラル邸に置いてくれたのは、俺が母上の忘れ形見だったという背景もある。特に騎士寮は精鋭が揃っていた。


 もちろん公爵は、その後出会った現・公爵夫人を愛してるし、誠意を尽くしてる。



 何にせよ、私利私欲で結界を壊したエブリン妃。

 スペアとして役に立たなくなった、横領罪のリロイ。

 どんなに良くても、辺境での蟄居。発覚する事柄次第では、もっと厳罰もあり得る。

 公爵令嬢殺害未遂だって、看過できない大罪だ。


 彼らにはもう、宮廷を仕切る力はないし、させはしない。



「ところで公爵。まだ気になってることがあるんだが、もしかして、クラリス嬢に婚約破棄の裏話、してない、とか?」


 計画では、彼女を無用に傷つけないよう、イングラル公爵からこの破棄は"工作の一環"と伝えるはずだったが。

 どうも接する態度から察するに、クラリス嬢は何も聞いてないのではないかという疑念が。


 俺の推測は当たっていた。

 公爵はしれっと、"何も明かしてない"と肯定した。


「アルヴィン殿下が"()()()()()()()()"()()()()()()()()()()()()()ように、我が娘も演技は無理と判断しましたので」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


 盛大に頭を抱える。


(じゃあ俺、クラリス嬢にとってはいきなり婚約破棄したイヤなやつじゃん!)



 公爵、お前、事態がうまくいかなかったら、俺をそのまま(はした)の騎士として縁切ろうとしただろっ。

 だから娘に未練を残させないよう、バラさなかったんじゃないのか?!



(くそおぅっ、こういうとこがあるよな! 大貴族なんて大嫌いだ!)


 心の父と慕ってる俺に対して、なんて仕打ち!!

 ああ、ああ、どうせ俺は、想い人を奪った憎い男の血も引いてますよ!!



「クラリス嬢に謝らないと! もう一度、婚約の申し入れを受けて貰えるだろうか」


「殿下から、直接娘にお話しください。扉の外で、待機しておりますので」


「ほんと早く言ってよね?! そういうことは!!」

 




 その後俺は、クラリス嬢に謝りに謝って、再度の婚約を結び直して貰ったのだった。


 だから。



「あっ、アル、じゃなかった。アルヴィン()()、どうしてこちらに?」


「今日は、豆スープの日だと聞いたから」



 即位後、俺の評判は、"孤高の冷酷王子"から、時折妻の実家を訪れる、"豆好きな庶民派王"に変わったようだ。



 そんなもんだ、噂なんて!



 お読みいただき有難うございました!


 もしかしたらなんですが、この作品で"なろう"投稿100作目となります。(←99か101かもしんない。カウントが怪しい)

 わーい♪ ありがとうございます──っっ\(*^o^*)/


 アルヴィン(18)、クラリス(16)、リロイ(17)、イングラル公爵(42)くらいの年齢イメージでした。

 本日のモンスター、怪鳥。で、出番少なかった。読み飛ばされてたり?


 今回、男主人公で展開しましたが、同設定で女主人公だったら……。

 迫害されてるのに悪評を並び立てられるヒロインに、意地悪な義妹。ヒーローの家で住み込み侍女になる……? 『今日から侍女と言われても』(笑) その場合は、宝剣じゃなく聖杯とかで……。めっちゃ定番や(笑)

 もし書いたら喜んでいただけるかなぁ? どうだろう? と、そんなことも思ってみたり。


 でも王子が好きなんですっ……!

 "ひょっとしてこれ、楽しいのは私だけかも"と何度も不安になりつつ、でもでも楽しく書いたので、お気に召していただけたら嬉しいです!!


 ぜひ下の☆を★に変えてご評価よろしくお願いします!!(*´▽`*)/

「この展開、読めてたぜ」「これは予想しなかった」などのご感想もいただけますと励みになります♪


挿絵(By みてみん)

 武具が好きなアルヴィンは鎧磨きのオイルに驚喜し、サンドペーパーの種類に喜びました。

 嫌がらせの通じない"孤高の冷酷王子"。ニセモノ説浮上、仕方なし!

挿絵(By みてみん)

 ↑見た目と中身(性格)が違うアルヴィン、子ども時代。


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
あらまあ素敵な物語! 意識が他人に乗り移る転生系かなと思ったけど、自分の記憶を封印していましたか。そこには思い至りませんでした! アルヴィン達カップルには、末永く幸せでいてほしいですね!
[良い点] 割烹から来ました! 今年初めての読み物♡ こちらを選んで良かったです! 二転三転する状況で目を離せませんでした。 とても良かったです。 ありがとうございました
[良い点] とっても素敵なお話でしたー♡ 読後にほっこり心が温まりました。 アルヴィンとクラリス、良かったねえ。 これからは幸せになって欲しい。 イングラル公爵の若き日の恋が切ない。 引き裂かれて…
感想一覧
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