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不敬なのも貴女

珍しく3話完結です。よろしくお願いします。

 ようやく、ようやく。やっとこさ主要メンバーの移動が叶った。長かった。


 自分たちの恥が見世物になっているというのに、なぜ移動しなければならないんだ、そんな理由はない自分たちは正しい、と居丈高な男爵一家がテコでも動かなかったので、仕方なく殿下が近衛兵に指示を出した。


 担いででも連れ出せ、と。


 恥の上塗りも半端ない芸当である。いっそ舞台俳優とかになったらええんでない? と遠い目をしちゃうよね。


 彼らは猿轡をされた上に簀巻きにされて、担がれて行った。むがもがなにかを叫んでいたが知ったこっちゃない、こちとらお仕事お疲れちゃん。


 それを見送る好奇の目は、獲物を狙うハンターの目だった。あれ絶対あとで話聞かれるパターンだ。逃げたい面倒殿下に丸投げしようそうしよう。


 ルステアと殿下、男爵一家の3人は、国王陛下が待つ会議室へと案内された。でっかくて重たいテーブルが間にあれば、せめて物理攻撃は防げるだろってことかい? 甘さが天元突破すんじゃね? お花畑はそんなもの飛び越える謎の生命体だぞ?


 国王は上座。殿下とルステアはテーブルの右側に、男爵一家は左側にそれぞれつく。てか椅子に縛りつけられてますが、見間違いだろうそうだろう。


 遅れて、男爵の兄である子爵が入室したが、迷わずルステアの隣に座る。わかってらっしゃるぅ。


「久しぶりだね、ルステア」

「国王陛下におかれましてはご機嫌麗しゅうございます」

「堅苦しいのはなしにしようよー」

「他の方がおりますので」

「じゃあそっち先に片付けようかー」


 のほほんしすぎじゃね、陛下? なんかニッコニコしてルステアさん見てた時は、ほんわかと愛情たっぷりの表情だったのに、お花畑御一行に向ける視線のなんと冷たいことか。


「女公爵、災難だったね」

「災難で済めばよろしいのですけれど、陛下?」


 つい咎める口調になったのはしょうがない。あの場にいたなら、陛下だって笑ってられなかったはずだ。


「全くです、陛下。ルステアに不敬を働いたそこの小娘をいかがなさいますか」

「男爵令嬢だったね。貴族のマナーを知らないのか」

「家庭教師が1日もったためしがありませんわ」

「それは、まぁ、なんと」


 一応、公爵家の敷地に暮らしてるので、男爵の支払いで家庭教師を手配してはみたが、結果は死屍累々。どの手練れも匙を折って投げる始末。


 平民を躾ける方が楽じゃないかとまで言わしめたご令嬢が、そこで猿轡をされ簀巻きになっている男爵令嬢である。


「娘の躾は親の責任だな。不敬罪もあるようだし、男爵位を返上し3人は領地にて蟄居せよ。その後は子爵に任せる」

「寛大な措置に感謝致します」

「ああ、子爵は男爵に降格だ。女公爵に迷惑をかける前に回収すべきであった」

「申し訳ありません。公爵殿にも大変ご迷惑をおかけ致しました」


 子爵の潔さを見習えや、そこでむがもがぎゃおーんと吠えとる奴らよ。


「陛下。子爵さまは頑張ってはくださったのですよ? あれらが予想以上に愚かであっただけで」


 ルステアさんは、フォローをするつもりではないが、事実を述べた。


 なにせ、子爵がいくら説明しようとも理解せず、力ずくで回収しようにも全力で抗うおバカさんだったのだから。


 人の話はちゃんと聞けやと。


「救いようがないねー」

「全くですわ」

「ルステアになにかあったら、陛下だけでなく私も怒るところだ」


 そらもう、全身全霊をもって報復する所存である。権力者怖い。


 てか、ようやく大人しくなったお花畑御一行よ。おかしいと思わないのかい? ルステアさんがこんなにも王家に溶け込んでるのを。


 まるで家族のように見えないかい?


 まぁ、だからおバカさんなんだろうけどな。公然の秘密を知らないとか、ないわー。


「だから、わたくしは貴女の姉ではないと言ったでしょう?」


 微笑むルステアさんは、目だけ凍てつく氷のようだった。寒っ。


お花畑御一行に言葉は通じない不思議。

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