第一話 中指を立てた少女
第一話書き直しました。
戦線離脱を拒否する隊長。
「しゃーねぇなぁ、うちの隊長はよぉ……」
満更でもないといった苦笑を浮かべたのはベイン。
彼は金髪に所々緑髪が混じるというかなり珍しい髪色をしており、こと戦場ではよく目立つ。
隊長と二人で前衛を担っているだけあり、現在も隊の中では最もダメージを負っていた。しかしながら言葉通り、彼はこの期に及んで武器を構える。
「まぁ毎度のことですし」
続けざまにミランも僅かに見える敵影へと視線を向けた。大変不服そうに見えるがやる気は充分。
残るは俺と、第零部隊唯一の魔法使いフォイ エルムダル。
顔を見合わせた互いが思った――きっと今、この人と同じ顔してる。
フォイは凄まじく嫌そうに眉を下げていた。
「私は従うけれどね……嫌だけど」
となれば――
「おいザック。行こうぜ」
キラキラとした視線を伴い名を呼ばれる。
これからテーマパークへでも行くというのか。隊長殿の瞳には一点の曇りもない。もう快晴だ。
「せめて単身突っ込んでくのだけは勘弁してください。約束を守ってくれるなら死人が出ない限り付き合いますよ」
我ながらお優しいことだが、この人に必要とされることを喜ばしく思う自分もいる。これは確かだ。
かくして、第零部隊――状況継続。
差し迫ったのは三十名程度の歩兵小隊。互いの射的に入る寸前、敵は銃を構え詠唱を開始する。対するこちらは、ミランがおもむろに中指を立てるのみ。
相手側からほんのり警戒の色が香るがそれで状況が変わるでもない。
そうして間合いが交差した刹那、幾つもの弾丸と魔法が俺達を狙って放たれた。
ありがとうございました。