プロローグ 第零部隊
よろしくお願いします。
「お前ら、この世で最も幸せな空間を知ってるか? よし、言ってみろ」
戦場のど真ん中。ボロボロの武器を携えた四人に向けてアホみたいな質問が飛んでくる。
みなが思った――絶対にここではない!
「知っているとすら言ってません。何がよしですか」
ツッコんだのはミランだった。
ミランは桃色の髪をボブにした少々気難しい少女だ。なぜ少女が戦場で武器を構えているのかについては説明している暇はない。
「さぁ戦線を離脱しますよ」
副隊長である手前、これ以上メンバーを危険に晒すことはできない。
俺は強引に隊長の腕を引いて後退しようとする。
「いやだ」
「おい」
「いやだ! いやだいやだいやだぁぁぁぁあ! 書類整理に武器の整備。上からの押し付け業務に訓練指導。ゲームしてれば呼び出され? 眠っていれば叩き起こされ……挙げ句の果てには風呂に入れば銃撃される! 俺は戦場から外に出たくないっ!!」
じだんだを踏み鳴らし、しまいには仰向けに倒れべそをかく隊長。
毎度毎度のことながら殺意をおぼえる。一体何度、この人のせいで死にかけたか。
しかし一体何度、この人に命を救われたのか。
ミドラ国軍 第零部隊。欠陥品やらバーサーカーやら死神やら呼ばれる連中五人の所属部隊。
役割は特攻、切り込み、おまけに殿。しかして死者数いまだ零。
敵軍からは怪物呼ばわり、自軍からは腫れ物扱い。
第零部隊は今日も、バカな隊長が呼び込む災難と、弾丸の嵐をくぐり抜けて生く。
今後、普通に魔法やら特殊能力やら登場するので濃厚な戦記ものが読みたいかたは御了承ください