第31話 一人の男が産んだVIII番目のねずみ
男は髭を蓄え、眼鏡に汚れた白衣を纏っている、如何にも胡散臭そうな奴だった。
護衛の男は全身に鎧を被り、顔を確認できない、腰には両刃の剣らしき物を下げており、明らかに俺を警戒しているのだろう。
男は急かす様にこう言った
「早速だが、例の物を見せてもらおうか?」
「ここの学者は初めて会った奴相手に自己紹介も出来ないのか?」
俺がそう言うと男は思い出した様に
「失礼した、ここの学園で学者をやっている、アルベルトと言う」
「貴族ではないのか?」
「ハハハ、昔はそうでしたが最近は平民から学者になる人も結構居ましてね、学者になること自体は難しい事では無いので、わざわざこんなところに通わなくとも」
「成る程ねぇ、で、あんたは何故これを見せて欲しいと?」
バレットM82を学者に見せながら言うと
「まぁ、出来れば触らせても欲しいんだがね、理由は簡単だよ、対魔装甲を全身に纏い、大剣でも早々叩き割ることのできない大鎧を、装甲の薄い関節を狙ったとはいえ、数百m先から、1撃で、正確に、魔力反応を我々でもわからないレベルにまで押さえ込み、大鎧を無力化した魔道具を見てみたいと思ってね」
「成る程」
(魔道具、ね、、)
俺は少し考えるそぶりをすると
「触らせてもいいぞ、」
「部屋の中を見た後に、だがな」
「分かった!それじゃあ早速行こうか」
男は護衛と共にウキウキしながら塔を降りて行った
俺もそれを追う様にしてついていった
「それにしても、そこまで気になるのかい?この扉の先が」
「あぁ」
「まぁ、見られた所でだし、いいけどね」
男はそう言うと扉に向けて言葉をいい、手をかざした
すると扉は何かが外れた様にガチャンと音を鳴らし開いた
中に入ったが最初は何も見えなかった、男が呪文を唱えると、部屋中のランタンがボッと一斉についた
そして部屋が明るくなった時、それは見えた、一瞬壁と見間違えたが違った、間違いない、重量188t全長10m全幅4m 55口径 12.8cm KwK44戦車砲、副砲としてIV号と同等の7.5cm砲を搭載した世界最大の、、、、、、
「超重戦車マウスだ」
マウマウダァ




