No.2-19 「初体験」
ピンク色の間接照明、ダブルサイズのベッド、コンドームやらのアメニティ。
ラブホ感しかしない部屋。
湿ったシーツが事の途中だと教えてきた。
デゥアルは俺を仰向けにしたまま、舌を通じて唾液を俺の口に垂らす。
ほのかな熱をもつ唾液が、ピリピリと舌を痺れさせた。
唾液の気泡が口の中で割れる。
顎を抑えられているせいで吐き出すことができず、デゥアルの唾液が食道を流れる。
脳がやばい。
デゥアルの毒のせいか、快感が直にくる。
頭がぼーっとなる。
「んあっ!」
デゥアルの恍惚した表情に集中していると、自分でも触れたことのない恥部をデゥアルがなぞった。
既に粘液まみれになっているあそこを愛おしく、入念に。
それだけで喘いでしまう。
「かわいい……慌てふためくヤナが、とても」
デゥアルは色っぽく笑いながら、そっと指を一本挿入した。
痛みなのか、快楽なのか、味わったことのない感覚が体全体に行き渡る。
顔の横にあるデゥアルの腕を両手で握りしめて、変な感覚を耐えようとする。
ほんとっ、なにこれ。
お腹に異物感がっ……怖い。
ぎゅーっとなって、くちゅくちゅって聞こえて……こんなの、知らない。
デゥアルは俺が握っている腕を背中に回して、体重をかけぬよう気をつけて体を密着させた。
俺よりもはるかに大きく、柔らかい胸が重なり合って、二つの固い突起物の感触が胸に刺さる。
体全体に感じる火照った肌が臍辺りの熱を上げる。
「だめっ、なんか……でちゃう」
一定間隔で膣を攻められ、無意識におしりが浮かぶ。
自分から発せられているとは思えない水音が反響し、この体で、いや、人生で経験したことのない幸福感があふれてきた。
「ああっ、だ……っめ!」
なにか、おしっこではない液体がでた。
内ももが激しく痙攣し、ぴちゃっと水たまりに足を踏み入れた音がした。
ベッドに落ちるおしりに冷たい感触が広がるも、果てた時の熱がそれを凌駕した。
もう……いや。
異物感なんてなくなった。
男だったら1、2回で終わりなのに、この体だと終わりがない。
「ここはどうです?」
デゥアルは敏感になってひくひくと痙攣しているあそこを指でV字に開く。
ただそれだけなのに、開かれたと同時におしりが跳ねて足先がピンとなる。
そして、デゥアルは引っ込んでいた突起物を指の腹で押した。
「がぁ……あ、ああっ、はぁ!」
いった…イった。
息ができなくて、意識もはっきりしなくて、苦しくて、でも……きもちいい。
体が密着しているせいで身動きをとることができない。
快楽から逃げようにも体重差がある上に、力が入らないこの状況では不可能だ。
デゥアルは片方の指で乳首を、片方の指で突起を弾いている。
指がその動作を行うたびに、俺の体はびくっびくっと反応してしまう。
乳首の先端を指で強弱をつけて摘んだり、手のひらでぷっくらとした胸を揉んだりしながら、デゥアルは頬から鎖骨までキスを繰り返す。
俺の中がデゥアルの指を受け付けてしまっているのか、焦らすように動く指が愛おしく感じてきた。
一本の刺激に慣れ始めると、締め付けている襞をこじ開けるようにもう一本の指が入ってきた。
苦しい圧迫感と、意志を持って動作する二本の指によって、またイかされた。
腰がくだけてぺたっと横たわると、膣を弄っていた指が抜かれ、不思議と喪失感に襲われる。
中で締め付けていたものがなくなって、開いた穴を閉じるものが欲しくなった。
しかし、すぐに喪失感は失われることに。
「そこ! ……汚い……よ、舐めない、で」
なぜなら、デゥアルは頭を下げて、いくつもの襞を掻き分けるように膣へ舌を侵入させたからだ。
指よりもざらざらしている熱い舌が新たな快感に浸らせてくた。
突起物の周りの肉に硬い歯の感触が伝わって、舐められている、吸われていると実感を強くさせた。
いつしか限界を迎え、デゥアルの頭を力一杯抱きしめて、
「ごめ……もう、だめ。いっ!」
デゥアルはとめどなく出てきた俺の愛液を口に含み、ごくん、と喉を鳴らす。
甘い声が、顔の綻びが、涎が止められない。
人にされるのってこんなに心地いいんだ。
頭がふわふわってなる。
恥ずかしさなんてどこかにいっちゃった。
気持ちいいってことしか考えれない。
ベッドの上で心身共に疲れ果てていると、デゥアルは上半身を起こして、ベッドの下にあるタオルを拾い、自分の体を拭き始めた。
その姿を見て、つい手が伸びてしまった。
言ったら戻れなくなると理解しているが、あの快楽を覚えてしまったら先のことなんてどうでも良くなってしまう。
終わろうとしていたデゥアルに対し、
「ねぇ……もうおしまいなの?」
上目遣いでおねだりをすると、デゥアルは躊躇うことなくタオルを捨てて、俺の体に馬乗りになる。
デゥアルの内股から垂れる粘液がくちゅっと音を立てた。
「そんな顔をされたら、私……容赦しませんから」
デゥアルは息を荒くして俺の両手首を掴み、俺の頭上で固定する。
興奮する息遣いが耳元で囁かれ、その都度、心臓が痛くなる。
「勘違いしていそうなので申しますが、私の唾液はヤナの不快感を抑えているだけで、快楽を増強させる効果を付与していません。
ですので、ヤナが感じているのは、ヤナがえっちだからです」
「……ぜったい、嘘。
じゃなきゃ、こんなにおかしくならない」
だって、デゥアルに舐められたり、噛まれたりしたら体の奥が疼いちゃうもん。
痛いはずなのに、俺の汚いとこを舐めた舌でされてるのに、嫌悪感ってのがまったくなくて、もう一回、もう一回ってねだってしまいそうになる。
デゥアルは自分のものだと印をつけるように、耳たぶやおっぱい、肋骨あたりに噛み跡を残す。
しばらくしても押印は止まず、上半身が歯形に塗れる。
デゥアルは満足したのか、深く息を吸うように体を起こして、目も当てられないことになっている下腹部に触れようとしたが、まだ印が付けられていない場所がある。
「にぇえ……こほは?」
ベロをえーって出す。
「……だから、そう誘ってくるからえっちなんです」
デゥアルは湿った髪を耳にかけて、突き出した舌を甘噛みする。
他の噛んでいた部分より繊細なせいか、甘みを味わった。
いたっ……きもちいい。
デゥアルが俺を求めている。
背景にはユラがいるけど、いつも冷静で、毅然な態度をとっているデゥアルが、俺に触れて吐息を、ねばねばしている液体を漏らしている。
初対面の時からは想像もできなかった光景が目の前にある。
「もう……満足」
「してはいけません。
まだ始まったばかりですよ」
「えっ、ちょ……〜〜っん」
デゥアルは手の拘束を解いで、股の割れ目をぷにっと押したり、広げたりと小さな刺激を繰り返す。直接触れられないもどかしさ。
デゥアルも俺が悶えていると知ってか、弱い力のまま達せぬよう気をつけて指を動かしている。
入れられないことが切なくて、お腹の奥が足りないって嘆いてる。
ぴくって立ってる尖ってるのが触ってって飛び出しちゃってる。
「デゥアル、早く……入れて」
「どこにですか?」
「どこって……あ、あそこ」
「きちんと言ってくださらなければわかりません」
「あうぅ、まっ……おまん、こ」
「ふふっ、……よく言えました」
ねっとりと耳に張り付く声で発された後、デゥアルは腰を引いてから俺の横腹をがしっと掴み、腰を持ち上げた。
開脚させた足をデゥアルは自分の肩に置いて、浮いた背には太ももを下敷きにして安定させる。
いわゆる、まんぐり返しの体勢。
デゥアルはぱっくりと開いた股に顔を近づける。
露わになった裸を見下ろされているのと、身動きが取れないせいで恥ずかしさが半端ない。
さらには、デゥアルの唾液と俺の愛液が混じった液体が腹に垂れて臍に溜まる。
息がしづらい。
足が宙に浮いてるから、変に力が入っちゃう。
舐められてるのが見えて、自分が本当に女の子になったんだって実感させられて、噛まれて笑顔になって……。
「おれ……こんなんじゃ、なかったのに」
じんじんと体を浸透する痛みに喜んで、変に感じてしまう自分に怒って、快楽に身を任せてしまう自分が哀しくて、色んな体位であそこが舐められるのが楽しくて。
最低な喜怒哀楽が怖くなって、涙が堪えきれなかった。
涙で、血で、唾液で、鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をデゥアルに見られたくなく、胸を隠していた手で顔を覆う。
すると、膣内をひくつかせる刺激が止み、背中に手を回して体を起こした。
デゥアルは背中に回した腕に力を入れて、俺をぎゅっと抱きしめた。
大きな谷間に顔が埋まる。
デゥアルの体温が安心感を与えてくれた。
「泣いている子を虐めるほど鬼ではありません。
今日は終わりにして、お風呂に浸かりましょうか」
「うん……ごめん、デゥアルは楽しそうだったのに。
俺、急に怖くなって……迷惑、かけてるよね」
「大丈夫です。
いくらヤナが私に迷惑をかけようとも、私はヤナのことを突き放したりはしません」
デゥアルは片手を俺のおしりに敷いて抱っこする。
そのままベッドから立ち上がり、何かを拾ってから部屋を移動した。
脱ぐ服などないので、そのまま浴室に入る。
俺をゆっくりと椅子に下ろし、デゥアルはシャワーの温度が高くなるまで待つ。
「んんっ。……デゥアルって急に優しくなったよね」
「そうですね。お姉様が予想と違う行動をしていたので、私も考えや行動を改めないといけませんでした」
「……意味わかんない」
デゥアルは分からなくて結構と言わんばかりに、シャワーヘッドをこちらに向けた。
お風呂でしなくてはいけないことは全てデゥアルがやってくれた。
下着だけ履いて、ベッドに腰を落とし、デゥアルに髪を乾かしてもらう。
ずっと果てていたせいか、体が疲れてついうとうとしてしまう。
「帰りは車ですので、寝ていても大丈夫ですよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……いきなり代わってすまなかったのぅ。主人様は寝てしまったのか」
「っ、お疲れ様でした、ユラ様。
【創造主】の使徒が現れたのですか?」
「べへモスじゃ。
楓のおかげでなんとか生還できた。ぎりぎりじゃったがな。
しかし、途中から主人様の瞳から覗いておったが、あまりにも甘やかしてはおらんか?
愛情でも芽生えてしまったかのぅ、カカッ」
「……あり得ません。これは愛情ではなく、同情です。
ある程度の常識はお姉様から教えられていますが、故意的におかしなことを平常だと……ある種の洗脳を受けていたので、不憫に思いまして」
「本当か?」
「はい」
「そうか……であれば、壊れぬようメンタルケアを頼む。
しっかりと主人様を守ってやってくれ」
「もちろんです」
「カカッ。我は楓を待たせておるからアザーワールドに戻る。
他に問題はないか?」
「……強いて言えば、明日のプールのために噛み跡を消さなければいけないところですね」
「それは……こほんっ、あーあー、事故せず帰るんじゃよ。では」
ユラ様の意識が切れて、ベッドでうつ伏せになる。
そして、部屋には退室十分前を知らせる電話が鳴り響いた。
「せめて、行ってしまう前に服だけは着て欲しかったです」
自身の身支度すら終わっていないのに、人の着せ替えまでしなければいけなくなり、退出時間に間に合うわけがなく、追加料金を払うこととなった
お金はお姉様から貰っているので支障はないが、時間を破ってしまったことがショックで仕方なかった。




