元の体との再会 その9
俺がここに戻ってきたもう一つの理由。
例の人体生成の魔法を使い、俺が入る新たな体を手に入れる事である。
「成る程。こちらとしても、それが一番無難か。下手に引き剥がそうとしても、何が起こるか分からないからな」
「あんまり興味の無い魔法だったけど、こうなったからには話は別。何としても習得しないと」
新しい体を手に入れる事に興味が無いというのは本当だ。
だが、今の不安定な状態は前よりも一層キツい。
だから、この体をオリッシュに明け渡して別の体に逃げたいというのが本音である。
「兄上さあ、さっきから話している人体生成の魔法って何? 今のこの状態に何か関係あるの?」
「えっ!? ああ、そうだな。いい機会だからオリッシュにも話しておかないとな」
突然の切り替わりを見たシャーマナイトは、困惑しながら応答した。
まあ、当然の反応だな。
俺だって、まだ慣れていない。
本当に、いきなりなのだ。
こんな感じで体の主導権を奪われて、オリッシュが勝手に動き出す。
そして、その間は体が言う事を聞かない状態なので、何とも気持ち悪い。
俺が気合を入れれば体の主導権を取り戻す事はできる。
しかし、常に気合を入れておかなければ、主導権はオリッシュに戻ってしまう。
故に、必要な時以外は大人しくしておかないと疲労感が半端ない。
「えっ!? この体、魔法で作られてるの?!」
「まあ、簡単に説明するとそういう事だ」
「ふーん。よく分からないけど凄い体なんだね、兄上」
「……分からないなら、分からないままでいい」
アホだ。
こいつ、この体のせいで魔法の才能が無い事にまるで気付いていない。
ある意味で幸せな奴だな。
だが、俺はこのアホのせいでアメイガスの体を失ったのだ。
思い返せば、あの時の様子はまさにアホが欲望のままに生きた様な姿だったな。
くそッ、思い出したらまた怒りの感情が湧いてきた。
いかん、落ち着かなければ。
ここで暴れても何にもならない。
やるにしても、まずは体を何とかするのが先だ。
「それで、今度は私の体に入り込んでいるアメイガスの体を作るんだね、兄上」
「ああ、そうだ。オリッシュの体からアメイガスを取り出すのだが……あ、アメイガスだと!!」
ここでバレたか……。
正直、今となっては隠しておく意味も薄い。
それに、バレるのも時間の問題だと思っていた。
しかし、シャーマナイトはどう思うかまでは分からない。
一応は敵側の旅団長であり、何より西軍を苦しめていた元凶だ。
場合によっては……。
「ほ、本当にアメイガス……なの……か?」
「ああ。そういえば、まだ言っていなかったかしら?」
さて、どう出る?




