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元の体との再会 その6

「待ってくれ、オリッシュ・ジュエル。俺たちは西軍と交渉がしたい」

「私たちには、これ以上戦う理由が無いの。だから……」

「何が交渉だ、何が理由が無いだ! 甘ったれた事言いやがって、死に晒せ!」


俺は怒りに任せ、魔法を解き放った。

今までの人生で馴染みのある火の魔法に、入れ替わった体で習得した風の魔法。

この二つの力を組み合わせ、広範囲を熱風で攻撃する魔法が誕生する。


「この炎の風で、貴様らをじわじわと焼き弄ってやる!」


フレイムストームとでも名付けるべきか?

以前に原理を考えはしたものの、実行には移さなかった火と風の合成魔法である。

初めて使ってみたが、中々上手くいくものだな。


元の体に戻るまでは火の魔法をもう使えないかと思っていた。

だが、こうなってしまっては東軍も西軍もどうでもいい。

俺の元の体は失われて東軍には戻れないし、西軍に戻る理由も無いからな。


「どうして、火の魔法が使える!?」

「カマスト、貴様よくも俺の体を焼き尽くしてくれたな!」

「な、何を言っているのだ!?」


分からぬか?

もう少し、賢ければ生き長らえただろうに。

馬鹿な弟子……いや、元弟子だな。


「どうしても、戦うつもりなの?」

「モールライ……いや、この場にいる全員の命で償ってもらうぞ! 俺の体を、俺の体を殺した事を!!」

「ひ、ひぃ……狂ってる!」

「何が狂っているだ! ここは戦場だ、ピクニックにでも来たつもりか!!」


もう少し、自立した強さがあれば……あるいは……

だが、もう遅い!

この恨み、元弟子たちの、この場の東軍の兵たちの命で流してくれるわ!!


「な、何だ今の音は!」

「こっちだ! これは、敵襲……なのか?」

「火の魔法……まさか、仲間割れ?!」


東軍の他の兵たちも騒ぎに気付いたようだ。

だが、敵襲よりも先に仲間割れを疑うとはな。

オリッシュのせいであんな事になっていたとはいえ、情けない話である。


そんな兵たちを、俺は怒りに任せてフレイムストームの魔法で次々と焼き払う。

とっさの事で防ぐ事もできずに次々と燃えていく魔法第二旅団の兵たち。

だが、幾ら魔法兵を焼き払おうとも、俺の体を焼き殺された恨みは増すばかり。


「おのれえええええ! よくも、よくも俺の体を! 許さんぞ、許さんぞォ!!」


風の魔法で宙に浮きながら、俺は炎の風で兵たちを焼き続ける。

そのあまりの惨劇を前に、モールライはあろう事か逃げ出そうとした。


「逃がすか、死ね!」


俺はウィンドカッターの魔法でモールライを後ろから、横に真っ二つにする。

逃げの姿勢でさえなければ防げたかもしれない。

だが、逃げたばっかりに、彼女は逃げる足を失う事となった。


「さあ、この光景を見て後悔しろカマスト! 次はお前の番だ!!」


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