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元の体との再会 その4

東軍側の本陣にいる、謎の太った男。

どうやら、こいつが俺の元の体のようである。


あまりの事に、思わず叫びそうになってしまったが、思い止まる。


何故だ……何故あんなに太っている!?

いや、太ったのは不摂生な生活をしているからだ。

そう、今みたいに自堕落に肉を貪る感じのな!


違う、そういう事じゃない!

何故、あれだけ太るに至った生活を送っていたのだ?!

そして、何故この場に及んで肉を食べているのだ!!


オリッシュ・ジュエル……それが、貴様の選択なのか!?


今すぐ、この豚……いや、俺の変わり果てた体を連れ帰るべきか?

しかし、本陣の一番偉い奴の周りだけあってガードが堅い。

今すぐ強行するか、それとも周りの人間ができるだけ少なくなるのを待ったほうがいいか?


やはり、今しばらくはチャンスを探ろう。

確実に成功させたいし、強行ならば何時やろうが大して変わらん。


俺は、オリッシュが入ったアメイガスの体のガードが手薄になるのを待つことにした。

そして、様子を見ていて間もなく、一人の女がアメイガスに話しかける。

彼女は弟子の一人であり、第二大隊長も務める女魔法使いのモールライだ。


「アメイガス様、出撃の準備は整っております。後は皆、旅団長の出撃命令を待つばかりです」


やはり、あのデブがアメイガスの体で確定か。

名前を呼ばれるまでは、違ってほしいという微かな希望もあったのに。

だが、それも儚く散った。


「ぐへっ、ぐへへへへ。そうか、そうか」


オリッシュが動かすアメイガスの体は、気持ちの悪い笑い声のようなものを上げた。

そして、手を伸ばしてモールライの胸を鷲掴みにし、もう一方の手で彼女の尻を撫でまわす。

モールライは、怒りを堪える様な表情でアメイガスの体の方をじっと睨んでいる。


「こ、この様な時にまで……お、お止めくださいッ!」


お、おい……貴様、何をやっている……?

オリッシュ、貴様何をやっている!!

俺の弟子を傷つけるとは、どういう了見だ!?


体が入れ替わろうが、心は貴族のつもりか?

人として、やっていい事と悪い事があるだろうが!


それとも何か?

自暴自棄にでもなったというのか!?


……いや、自暴自棄になっても仕方がない状況だな、今は。


とにかく、これ以上の醜態は見ていられない。

このままだと、あまりの怒りで冷静さを失いそうだ。

そうなる前に、危険を覚悟で強引に連れて行くべきか?


俺が意を決して、アメイガスの体に入ったオリッシュを何とかしようと思った、その時だった。

赤水晶のロッドを手に持った男が、それを振り回してアメイガスを殴り飛ばす。

モールライと同じアメイガスの弟子であり、第一大隊長を務めるカマストである。


アメイガスの体はモールライから引き離された。

そして、次の瞬間。

豚の様に丸々太ったその体は、地獄の業火に焼かれる。


かつて、アメイガスの体だったものは、丸焼きの肉とは言えない黒い炭の塊と化した。


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