元の体との再会 その3
ようやく、手に届きそうな位置まで来たのだ。
早く、しかし慎重にアメイガスを探さなければ。
チャンスが遠のいてしまう前にな。
それに、あまり時間を掛け過ぎると西軍も動き出すからな。
イリーヴァたちが東軍と戦い始めると、このキャンプ内も騒がしくなる。
可能な限り急ぎたいが、見つかるのだけは避けたい。
キャンプ内を動き回っていたところ、見知った男女が話しているのを見つけた。
第一大隊の千人隊長カマスト、そして第二大隊の千人隊長モールライ。
二人とも、俺の……アメイガスの側近であり、大切な弟子でもある。
どうする?
思い切って、この場に飛び出し事情を説明するか?
いや、止めておこう。
今の俺は、あくまで西軍の人間として生きている。
それに、元に戻れる保証もない。
それに、所詮は師匠と弟子の関係。
弟子を師匠の生き方に巻き込みたくは無いしな。
何より、何処までも師匠に付いていくような自立心の無い弟子を育てた覚えもない。
何を話しているのかは気になるが、今はアメイガスを探す方が先だ。
俺は、隠れながら引き続きアメイガスの居場所を探す事にする。
カマストとモールライが、この場にいるのは確認できたからな。
アメイガスが近くにいるはずなのだが……。
付近には、偉そうに椅子に座っていて、肉を貪っている太った男がいるだけだ。
何だ、あのデブは?
まるで、奴がこの本陣で一番偉い奴みたいな態度を取っていやがるが……。
アメイガスは何処にいるのだ?
まさか、東軍の魔法第二旅団そのものが別の奴に乗っ取られたか!?
しまったとは思ったが、アメイガスが失脚なり別のところに異動したのは変だ。
もしそうなら、シャーマナイトも何かしら情報を得ているはずだ。
ならば、アメイガスも何処かにいるはずなのだが……。
駄目だ、見つからない。
この辺りにいるはずなんだけどなあ。
ひょっとして、ここは本陣ではないのか?
いやいや、隊長たちも終結しているし、ここが本陣だ。
しかし、旅団長のアメイガスが本陣にいないなんて事があるか?
とは言え、中身はオリッシュだったな。
もしかすると、普通ではやらない事をやらかしている可能性も……。
まさか、戦場から逃げ出したんじゃあ?
その可能性もあるが、旅団長が逃げ出したのに他の奴が逃げ出さないのは妙だ。
防衛ならばまだしも、これから攻め返そうとしている連中だしな。
ああッ!
それにしても、さっきから肉を食っている場違いのデブが邪魔だ。
何なんだ、こいつ?!
……ん?
いや、待て。
見覚えが、ある気が。
おい!
マジかよ!?
勘違いだと思いたい!!
これ、俺の体じゃねーか!!!!




