元の体との再会 その1
ハイサムスを倒してから、既に三日は経過している。
しかし、未だ東軍には動きが無い。
一体、何をしているのだ?
がら空きのところを西軍が攻め放題なのはいい。
だが、アメイガスが出撃しないと困るのだ。
このままだと、俺とシャーマナイトは痺れを切らしそうである。
「失礼します! シャーマナイト魔法師団長に御報告が!」
「待っていたぞ、申してみよ」
伝令の兵がシャーマナイトを訪ね、何かを伝えた。
良い知らせだと、いいのだが。
果たして……?
「今の報告は……?」
「喜べ、東軍の魔法第二旅団が動き出した。いよいよだ」
来た!
ようやく……か。
邪魔なハイサムスを殺し、魔法第一旅団を壊滅させたのだ。
ここまでして出てこなかったら、どうしようかと思っていたぞ。
「それで、メンバーは?」
「ああ、旅団長のアメイガスに加え、その側近たちだ。側近と言っても、大隊を率いる隊長たちで、何れもアメイガスに次ぐレベルの……って、知っているか」
「隊長たちの名前は……分かりますか?」
「そこまでは。最低でもアメイガス程の有名人でないと、敵の名前を把握するのは難しいからな」
隊長たちと言うのは、弟子のカマストやモールライたちの事であろう。
俺の弟子たちも、それなりに活躍しているとは思っていたのだけどなあ……。
敵に名前を憶えられていないようでは、まだまだか。
「それで、目的の人物はいそうか?」
「心配ない。アメイガスが出陣しているのなら、必ず参加している」
シャーマナイトに教えていないのは悪いと思っている。
俺の元の体はアメイガスだ。
だから、アメイガスの名前が出た時点で、オリッシュの中身がいるのも確定。
魔法第二旅団が……アメイガスが引っ込んだ時はどうしようかと思った。
実は既に死んでいるのではないかと不安になった事もある。
しかし、時間はかかったが、ようやく元の体を戦場に呼び戻せたわけだ。
何としても、この機を逃してなるものか!
「作戦は……分かっているな?」
「私が先行して、隠れながら東軍の魔法第二旅団を探ります」
そうだ。
後は、俺が西軍の連中より先に東軍のキャンプにたどり着けばいい。
そして、アメイガスを探し当てて誘拐に成功すれば。
大丈夫。
東軍の、それも魔法第二旅団の事ならよく分かる。
こっそりと旅団長のアメイガスに近づくのも、俺ならば容易いはず。
「くれぐれも危険の無いようにな」
「はい。では、行って参ります、お兄様」
では、行くか。
シャーマナイトに朗報を届けるため。
そして、俺の体を取り戻すために!




