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地下室の秘密 その7

あの攻撃をオリッシュ一人だけが回避していたとは思えない。

かと言って、他に生き残りがいたわけでもない。

そうなると、答えは一つ……。


この魔法で作られた体が丈夫で、常人ならば死ぬレベルの攻撃を耐えた。


信じ難いが、そうとしか思えない。


思い返せば入れ替わってから半日は思う様に動けなかった。

当時は体に慣れていないせいだとばかり思っていたが。

今にして思えば、あれはダメージを受けていたせいだろう。


それでも、一晩で回復するとは凄まじい体だな、おい。


なんてこった。

今までは、この体を傷つけまいと必死に頑張ってきたのに。

もしかしたら、多少の無茶には耐えられるのか、この体?


一応、裏を取る形でシャーマナイトに探りを入れてみるか。


「ところで。オリッシュはこの体で何か苦労している事とかなかった? あるいは、逆に何か気になった事とか?」

「何だ、きなり改まって? これと言って別に無いが……何か分かった事でもあるのか?」

「分かったというか……この体、普通と違って丈夫過ぎる気がして……」

「そうなのか? それならそれで越したことは無いが……まさか、何か問題でもあるのか?」


シャーマナイトは急に驚いた感じの表情をした。

いや、俺としては不安を煽るつもりはなかったのだがなあ……。


「むしろ、そういう問題があるなら知りたかったんだけど……」

「そ、そうか」

「知らないなら……特に問題ないかな?」

「ならば、いい」


そうなると、手掛かりは人体生成の魔法について書かれているこの本だけか。

体感的に普通の人間よりも強いとは思うが確証が乏しい。

過信はしないでおこう。


しかし、人体生成の魔法か。

ある意味では魅力的だし、幼少期のオリッシュもこの魔法で助かっている。

使い方次第で有用な魔法だとは思う。


だが同時に、禁忌の魔法として隠されているのも何となく理解できる。

事実上、人間を生き返らせるその行為は、生命の摂理に反するしな。

それを良しとしない人間が隠匿する風習を作ったのかもしれない。


真偽は分からないが、今となっては火・水・風・土の四属性の魔法を一人で習得するのは困難。

事実上誰も使えないのだ。

しかし、少なくともそれをやってのけた男が一人いたわけだが……。


「ねえ、貴方のお父さんはどうやって風以外の三属性の魔法を?」

「それぞれの魔法の書を手に入れてだ。かつて、私の母を助けられなかった父が、その悔しさから人体生成の魔法のために入手した」


成る程なあ。

かつて、自分の妻を助けられなかった男がその方法を学び、後に娘を救うと。

泣かせる話じゃないか。


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