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地下室の秘密 その4

ちょ、ちょっと待て。

いきなり過ぎて理解が追い付かない!!

今、俺が使っている体は魔法によって作られたものだと!?


「どういう事? 話によっては……」

「まあ、落ち着け。少なくともオリッシュの中身を取り返して、この体に入れるまでは協力してもらうぞ」


今、俺が真っ先に浮かんだ不安。

それは、この体が人質としての価値が無いかもしれないというもの。

最悪、中身さえ取り返せば、体はまた新しく作ればいいからだ。


しかし、シャーマナイトがこの体を必要としている時点で、それは無さそうだ。

そもそも、四属性の魔法が使えなければ人体生成の魔法は使えない。

そんな人間、現存するかも怪しいからな。


とにかく、今はシャーマナイトの話を聞くか。


「落ち着いたから、続けて」

「この体を作ったのは私の父だ。昔、オリッシュが死にかけた時に、新しい体が必要になってな。この禁忌の魔法に手を染めたのだ」

「そんなに簡単にできるものなの?」

「まさか。ただ、父は妹を助けるのに必死だった。それだけだ」


成る程なあ。

子を思う親の思いがやり遂げたのか。


「それで、その父親は? 貴方が現当主の時点で大方察しがつくけど」

「ああ、既に亡くなっている。だから、これと同じものを作る事はできない。それに、貴様が入っているこの体は、大切な父の形見でもあるのだ」


そりゃあ壊せないわな。

とりあえず、オリッシュの体に人質としての価値は十分あると。


しかし、何故シャーマナイトはこんな話を?


「こんな事、私に話してよかったの?」

「だから話すかどうか悩んだ。手がかりといっても、過去にオリッシュがこの体に入れ替わった経験があるという事だけだしな」


ああ、そういう事か。

折角新しい体を作っても、それに入る方法がなければ意味が無いからな。

体を入れ替える魔法があるって予測は、当たらずとも遠からずか。


「確かに、貴方の言う通り関係性としては弱いかも。役立つとしても、お互いが元の体に戻る時くらい」

「私もそう思っている」


まあ、こんなものか。

俺が無駄に期待してしまったのか悪かったな。

しかし、人体生成というのも、これはこれで驚きである。


オリッシュの奴も、死にかけて体が変わったり、俺の体と入れ替わったり大変だな。


……ん?


「オリッシュは元々、生まれ持った体じゃないのか?」

「ああ。残念ながら生まれ持った体は幼少の頃に死んでしまった。妹も覚えているかどうか」


という事は、俺が入っているこの体には、魔法御三家の血が入っていない。

つまり、魔法御三家が代々引き継いでいる魔法の才能なんて引き継いでいるわけがない。

故に、オリッシュ・ジュエルは魔法が使えない事にずっと苦しんでいたと。


──おかげで、一つ謎が解けたな。


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