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地下室の秘密 その1

ハイサムスを倒した翌日。

残念ながら、今はまだ東軍に動きは無い。

アメイガス側が動き出すのを待つより他ない状況だ。


時間の問題である事は分かっている。

しかし、結果発表を先延ばしにされている状況というのは何とも辛い。

万が一にも別の奴が動く可能性もあるので、気になって仕方がないのだ。


今までは、ハイサムスを倒すという目下の目標があったから、それに打ち込めたのになあ。


だが、そんな何とも言えない苛立ちを覚えた人間がもう一人いた。

オリッシュを一日でも早く取り戻したいと思っている人物、シャーマナイトである。


「東軍はまだ動かないのか!?」

「そんな事を言われても、私だって待っているのだから」


変にお互いの気持ちが通じ合ってしまっているのが悲しい。


今、俺は砦にあるシャーマナイトの部屋にいる。

そこが一番、西軍の中で情報がいち早く伝わる場所であるからだ。


そして、シャーマナイトもまた次の段階に備えて俺を目の届くところに置きたがっている。

俺としても、その理由は理解できる上に自分としても好都合だ。


そんなわけで、俺とシャーマナイトは部屋の中で二人きりで過ごしているわけだが……。


「オリッシュは無事だろうか……」

「無事でなきゃ困る。私の体が無事でないとか、あってはならない事だし」

「貴様のその言葉が何よりも信用できる……というのが複雑だ」


とまあ、こんな感じだ。


暇を持て余しているのとは違うが、それに近い。

心配事があって他の事に手が付き辛い状況。

できれば、他の事をやって気を紛らわしたいのだが、中々それも難しいのである。


しかし、そんな事を言っていても始まらないか。

駄目元でいいから、俺から何か提案でも……。


そうだ。

ジュエル家に伝わっている秘術の有無について聞いてみるか。

昨日の一件で地味に気になっていたからな。


シャーマナイトが答えなくても結構。

所詮は東軍が動き出すまでの時間潰し。

俺とシャーマナイトの気晴らしになる程度の会話の種にでもなればいい。


「あの、お兄様?」

「何だ? 今となっては貴様にそう呼ばれると気持ち悪い」

「いつ誰に会話を聞かれるか分からないし、ここにいる間はそう呼ばないと……」

「くッ、仕方ないな」


シャーマナイトの気持ちも分かるし、俺だって今更お兄様呼びするのは恥ずかしい。

だが、念のためにお互い我慢するしかないか。

仕方ない。


「それで、何か用なのか?」

「今から聞く事は、魔法を学び研究する者にとっての只の興味本位。なので、答えたくないのならば無理に答えなくて大丈夫」

「何だ、変に勿体ぶって。言ってみろ」

「では早速。実は昨日ハイサムスと戦った時に、ソード家に伝わる秘密の魔法を披露されて」


それを聞いたシャーマナイトの表情が険しいものに変わった気がした。

今日に限っては元から不機嫌なので気のせいかもしれない。

しかし、触れられたくない話題の可能性もある。


だが、臆しても仕方がないので俺は踏み込む。


「同じ魔法御三家のジュエル家にも、代々伝わっている秘密の魔法ってあるの?」



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