敵軍と最弱女魔法使いと体が入れ替わる!? その8
「それでは、侵入者がまだいると?」
「その通り。だから気をつけるんだ。さっきみたいに一人で歩いていたら襲われるかもしれない」
「分かりました。大人しくしています」
まあ、当然の指摘だな。
「ところで、何方が殺されたのですか?」
「それが、まだ分からないのだ。パッと見では判断がつかない程に死体が黒焦げててな」
想定通り……か。
だが、ハーモレイクが行方不明だと気づかれれば、奴の死体だとバレる。
そうなると、最後に会っていた俺に一度は疑いがかかってしまう。
後はそこさえ切り抜けられれば。
とりあえず、今のところは何とか切り抜けられそうだな。
ところで、ここは何処だ?
今いる場所は簡易的だが個室の病室。
そして、さっき歩いた感じでは何処かの砦内のようだったが。
「お兄様? ここは何処なのですか?」
「は? 何を言っているんだ、オリッシュ?」
「記憶喪失のせいなのか、その……思い出せなくて」
「そうだったな、すまない」
便利だな、記憶喪失。
しばらくは記憶喪失のフリをして色々と聞いていこう。
「敵の侵入者が来ているという事は、敵地が近いのでしょうか?」
「敵地には近いが、このハイネ砦が差し迫って危険という事はない」
ハイネ砦か。
俺が率いる魔法第二旅団が次に攻める予定の場所だ。
……確かに、今は安全だな。
近々東軍がここに攻め込んでくるならば好都合。
上手く行けば、俺の体に出会う事ができるかもしれないな。
元に戻る方法は分からない。
しかし、少なくとも自分の体を取り戻すチャンスではある。
そして、数時間が経過。
あれから、シャーマナイトはベッドの近くにある椅子に座ったままだ。
こいつ、仕事はどうした?
時々、部下らしき人間が出入しているが、何時までこの病室にいる気だよ?
「あ、あの、お兄様? 何時までこの部屋にいらっしゃるのでしょうか?」
「今日は一日中だ」
「お、お仕事は?」
「言っただろう? 今日はここでオリッシュを守ると」
妹に対して過保護すぎるだろ、この兄!
こんな近くでずっと監視されていたら落ち着かねーよ!!
これでは寝られやしない。
「まだ、東軍の侵入者が潜んでいるかもしれないからな。ここにいた方が守りを固めやすい」
しまった、俺のせいか!
確かに一ヶ所に集まっていた方が効率よく守れる。
仕方なくこの窮屈な状態に我慢していると、また一人報告に現れた。
「失礼します。シャーマナイト様、殺された人間が誰なのか判明しました」
「ええい、殺された間抜けの事なぞ今はいい! それより、犯人はまだ見つからないのか!?」
「そ、それが、殺されたのはハーモレイク魔法第一旅団長でして……」
「なんだと!?!?」
……来たか。
ここが正念場だ。