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決戦!ハイサムス その7

目の前のハイサムスは、着ている服こそ損傷している。

しかし、それ以外に目立った外傷はない。

むしろ、完全回復している感じだ。


「貴様が油断して、こちらに来たところを攻撃しようと思ったのに。慎重な奴だ」


危なかった。

ハイサムスの言う通り、死体を確かめようと近づいたら、ヘルファイアで燃やし尽くされたに違いない。

しかし、これはどういう事だ?!


「どうした? 随分と驚いた顔をしているようだが?」

「当たり前です。何故、あれだけの攻撃を受けて生きているどころか、回復しているのでしょうか?」


一体、どんなトリックだ?

実はもう一人隠れていて、そいつに回復してもらったとでもいうのか?

それにしたって、こんなに短時間で回復させたのだとしたら、相当な使い手かもしれない。


しかし、驚く俺を目の前に、ハイサムスはあっさりとネタばらしを始める。


「まあ、驚くのも無理はない。私の使ったこの魔法は、弟のルガウも知らなかったのだからな」

「魔法……?」

「そうだ。これこそ、我がソード家に伝わる秘術とも言われる魔法、ソウルバーニングの効果だ」


火の魔法の一種か。

俺ですら知らないものであれば、対処できないのも仕方ない。

まさか、そんな隠し玉があったとはな。


「この魔法の効果で、私は死にかけた時に完全回復する事ができる。どうだ、恐ろしいか?」


……いや、もしかすると知っているかも。

確かそんな魔法の噂を聞いた事がある。

何でも、死ぬほどのダメージを受けた時に、寿命と引き換えに体を完全再生する魔法があるとか。


成る程、その魔法がソウルバーニングというわけか。

凄い魔法ではあるな。

だが、秘術と言うよりは、ある意味で禁呪に近い存在な気もする。


何故ならば……。


「驚きはしました。ですが、恐ろしいなんて事はないです」

「何だと! 倒した相手が何度も蘇るのだぞ! 怖くないのか!?」

「ええ、ちっとも。だって、この魔法で私に勝てるわけではないのでしょう?」


そう、この魔法を使ったところで、ハイサムスは俺に勝てない。

幾ら蘇ったところで一度倒した相手。

もう一度倒せばいいだけである。


ソウルバーニングの魔法は、使い勝手が難しい。

不慮の事故で助かりそうな魔法だが、予め事故が起こると知って事前にかけておくなんて無理だ。


自分が殺される程の力の差がある相手と戦う時に使うのも良くない。

何度も殺される時の苦しみを味わった上、最後は寿命が尽きて結局死ぬ。

それならば、一度の苦しみで死んだ方がマシだ。


だから、この魔法の噂を聞いた時に、俺は興味を持たなかったのだろう。

今の今まで忘れているくらいにな。


死んだふりでもして逃げればよかったのに。

兄弟そろって馬鹿な奴らだ。




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