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お兄様は甘くなかった その10

こうして、俺とシャーマナイトはジュエル家の地下倉庫から出た。

シャーマナイトが使用人たちに挨拶をしている。

恐らくは、今からまたすぐに出かける旨を伝えているのだろう。


地下室では色々とあったが、とりあえず目的である風の上級魔法習得は叶った。

ならば、ここにはもう用事が無い。

明日以降の戦いに備えて、さっさと前線に戻りたいものだ。


「では、行こうか。オリッシュ」

「はい、お兄様」


シャーマナイトは、そう言って一人で魔法を使い空を飛び始める。

そうか、しまった。

俺も空を飛んで移動する魔法を覚えたからには、今後は自分で使わなきゃいけないのか。


正直、空を飛ぶのは少ないながら怖いし、あまり使いたくはない。

何より初めて使うので、万が一失敗した時の事を考えると、もう……。

だが、シャーマナイトを見失っては困るので迷う余裕もなく、さっさと使わなければ。


俺は意を決して、エフェクトガストの魔法を使う。

体が勢いよく空中に飛び上がり、前方に向かって高速に進む。

怖い事には変わりないが、思ったより自由に移動ができ、快適である。


俺はこのまま、シャーマナイトに付いていく感じで移動する事にした。


「……驚いた。こうも簡単にエフェクトガストの魔法を使いこなすとは」


シャーマナイトは空を飛びながら、オリッシュの体の横に位置付けて語りかける。


「ええ、何とか。使える事には使えたけど、制御はまだ上手くいかないかも」

「それだけ扱えていておきながら、よく言うわ」


いや、実際シャーマナイトに付いていくので精一杯なんだけどなあ。

できれば、今はあまり話しかけないでほしい。




こうして空を飛び、西軍の前線キャンプの上空にまで到達する。

シャーマナイトが、サッと地面に着地したが、あれ?

どうやって着地するんだ、これ?


オリッシュの体で墜落しそうになったところを、シャーマナイトがお姫様抱っこで受け止める。

た、助かった。

こんなところで落下死だなんて、死んでも死にきれないぞ。


「貴様、オリッシュの体を別の意味で傷物にする気か!」


シャーマナイトが小声で耳打ちした。


──着地を覚えるまでは、空を飛んで移動する魔法は使わない方がいいな。


前線キャンプに帰ってきた矢先の事だ。

オリッシュとシャーマナイトの到着に気付いたのか、イリーヴァとサーフェスがここまで来た。


「オリッシュ! 戦いの後に突然いなくなって心配していたんだからッ!」

「シャーマナイト様とご一緒でしたか」


二人とも心配していたのか。

これは済まない事をしたなあ。


「少し用事があったのでオリッシュと二人で出かけていた。これから、明日以降の方針について話し合いたいが大丈夫か?」


こうして、シャーマナイト魔法師団長の命により、俺たちは作戦会議を行う事となった。


いよいよ、ハイサムスとの再戦も間近。

風の上級魔法で今度こそ奴を倒さねば。


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