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お兄様は甘くなかった その7

「分かった、貴様に協力しよう。全ては妹を救い出すためだ、仕方ない」


シャーマナイトの奴が快く承諾してくれた。

余計な裏が無い、奴自身の願望から承諾した協力だからな。

俺としても信用に値する。


全く、一時はどうなるかと思ったぜ。

オリッシュの中身が偽物だとバレた時はどうしようかと思った。

だが、結果的に今までの騙し探りの関係が解消され、事がスムーズに運びそうである。


「それじゃあ、早速と言うか少し前に頼んだ事だけど、風の上級魔法の書を見せてもらえない?」

「それで妹を救えるならば。だが……」

「何か心配事でも?」

「貴様が元の体に戻った時に悪用されないかが心配なんだ」


ああ、そういう事か。


「それなら大丈夫。私が東軍にいる限りは風の魔法は使えないから。今のオリッシュの体で火の魔法が使えないのと同じ」

「つまり、本来東軍の人間が使えないはずの風の魔法を使うのは色々まずいと?」

「そういう事。それでも心配なら、私が貴方に火の魔法を教えようか?」

「いや、折角だが遠慮しておく。教わったところで使えないだろうし。むしろ、貴様が何故風の魔法を使いこなせるかが分からない」


シャーマナイトたち魔法御三家は、生まれつき魔法の才能を持って生まれるのだったな。

だったら、一からの修行で一つの系統の魔法を会得して極めれば応用が利くこともわからないか。


「私が風の魔法を難なく使いこなせたのは、魔法の修行と研究をして魔法を覚える方法を独自に編み出したから」

「……よく分からないな。私は生まれつきの才能か、気が付いたら風の魔法を使えていたからな」

「簡単に言うと、私は魔法全般を覚えるための基礎を知っている。だから、やり方と系統魔法の経験さえあればどんな魔法を習得できるのだ」

「結果だけ見れば、本さえ読めばどんな風魔法も覚えた私と似ているな」


成る程、これが才能ある者の魔法の覚え方なのか。

俺の方法では、上位の魔法を覚えるには最低限の経験が必須なのにな。

系統の縛りはあれど、魔法御三家はそれすら必要無いとは。


「では、今から魔法の書を探す。すぐに見つかればいいのだが、少し待っていろ」


シャーマナイトが魔法の書を探しに部屋の奥へと入っていく。

その間に、俺は念のために出口の扉を少し開き、鍵が掛かっていないことを確認する。

そして、扉が閉まらない様に、その辺に置いてあった石の欠片を挟む。


これで、万が一の退路は確保できた。

最も、今の状況ならばそれも必要なさそうだが。


今は、シャーマナイトが本を見つけるのを待つとしよう。


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